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Part 13 「筋幻惑法」

Part 13 「筋幻惑法」

トレーニングによって筋肉を発達させ、パフォーマンスを改善していく。その段階において最も重要なのは、「徐々に負荷を増していくこと」です。これは漸進的過負荷、すなわち「オーバーロードの原則」と呼ばれ、トレーニングごとに使用重量を2.5kgずつ増やしていったり、インターバルを10秒ずつ短くしていったり、セット数を1セットずつ増やしていったりすることが、オーバーロードに当たります。
私たちの身体は刺激に対して適応していくことにより、少しずつ強くなっていきます。ですから、常に同じ負荷をかけていくだけでは発達の見込みはありません。適応させていくためには、使用重量を増やしたり、単位時間内での運動量を増やしたり、運動量それ自体を増やしたりしていく必要があるのです。

オーバーロードの原則に従ってトレーニングしている場合、トレーニングノートがマストアイテムとなります。前回のトレーニング内容をチェックし、それに少しだけプラスアルファした内容を、今回のトレーニングでこなすようにするのです。
この場合、「ほんの少しだけ増やす」というところがポイント。少しでも早く発達させたい気持ちはわかりますが、いきなり何十キロも使用重量を増やしてしまったりするようでは、効率的なトレーニングとはなりえません。
一か月に2.5kg増えるだけでも、一年で30kgの増加になります。「漸進的」という言葉の通り、少しずつ少しずつ増やしていくようにしてください。

初級~中級者レベルの間は、このオーバーロードの原則に従ってトレーニングを行うようにします。しかし、上級レベルになったら時々は原則から外れたトレーニングをすることで、効果がもたらされることもあります。それが今回ご紹介する「筋幻惑法」です。

身体が発達する原理は、「刺激に対する適応」。それは不変です。しかし、上級レベルになるとトレーニングに対する刺激に耐性がついてしまい、なかなか新鮮な刺激を得ることができなくなります。
例えばベンチプレスの使用重量を2.5kg増やしたとしても、「またベンチプレスか!」と私たちの脳と神経、筋肉は判断してしまうため、適応しようとしないのです。
しかし、ベンチプレスではなくインクラインベンチプレスにしてみたらどうでしょうか。あるいはダンベルフライにしたら?
新しい刺激に脳も神経も筋肉もビックリし、あわてて適応しようとするでしょう。

ベンチプレス インクラインベンチプレス
ベンチプレス
インクラインベンチプレス
ダンベルフライ
ダンベルフライ

エクササイズを変えるだけでなく、トレーニング頻度を変えてしまうというのも一つの方法です。「あれっ、おととい背中をやったばかりなのに、また今日も背中!?」、「もう二週間も脚のトレーニングをしていないけど、久しぶりにスクワットやっても耐えられるかな......」、「一日で全身の種目をやってしまうなんて、そんなのあり得ない!」といった感じで、ある意味デタラメなプログラムにしてしまうのも、予期せぬショックを与えることができます。
他にもインターバルを思いっきり短くしたり長くしたり、超ハイレップスやローレップスを試してみたりなど、さまざまな方法で筋肉を幻惑させ、新鮮な刺激を与えていくという方法が、「筋幻惑法」です。

筋幻惑法を秩序立てて行うことも可能です。例えば胸のプログラムとして、次の3つを用意します。

胸の筋幻惑プログラムA
  1. 1.ベンチプレス 2~3レップス 2セット インターバル6分
  2. 2.ダンベルベンチプレス 3~4レップス 2セット インターバル6分
胸の筋幻惑プログラムB
  1. 1.インクラインダンベルベンチプレス 8~10レップス 4セット インターバル4分
  2. 2.インクラインダンベルフライ 8~10レップス 4セット インターバル3分
  3. 3.バタフライ 8~10レップス 4セット インターバル3分
胸の筋幻惑プログラムC
  1. 1.ケーブルクロス 15~20レップス 10セット インターバル1分
  2. 2.ダンベルプルオーバー 20~25レップス 10セット インターバル1分
  3. ※1と2はスーパーセットで行う。

このように、エクササイズやセット数、レップス数、インターバルなどにバリエーションをつけたプログラムを幾つか用意し、それを順番に行っていく。そうすれば、毎回違う刺激を与えることができます。

プラトーに陥っていて、かなり長期間に亘って伸び悩んでいる。そのような上級トレーニーは、是非一度、この「筋幻惑法」を試してみてください。

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