Doctor's Voice

【Vol.2】自分の月経周期をちゃんと把握していますか?

【Vol.2】自分の月経周期をちゃんと把握していますか?

女性には約1ヶ月サイクルの月経周期があります。このサイクルを上手く味方につけることができるかどうかで、トレーニング効果に大きな差が出ることが多いです。

男性にはそういったサイクルは存在しませんので、いつでもどんなタイミングでもコンスタントにトレーニングしていただいてOKです。超回復などの時期を考慮してしっかり鍛えれば常に筋肉は発達しますし、いい練習やカラダの準備ができれば、すなわち試合でのいいパフォーマンスにつながるわけです。

しかし女性はそうではありません。まずは自分のカラダの周期を知り、調子のいい時期と悪い時期をしっかりと把握することが大事です。1ヶ月のサイクルの中でコンディションのいい時期をとらえ、そこでいいトレーニングを積む。そして停滞する時期については、やり過ごす方法を考える。女性が最大限のトレーニング効果を得るためには、そういったメリハリが必要なのです。

女性にとってトレーニングに最も適した時期は、月経が終わってから排卵までの5~7日間。この時期は、女性として最もコンディションがよく美しくいられる時期。1ヶ月の周期の中で、最も体にむくみがなく、便通もよく、ムダな脂肪が落ちやすい時期で、お尻もキュッと上がっています。

ちなみに、この時期にお尻が上がっているのには、理由があります。排卵期とは、女性が妊娠できる時期、言い換えれば、女性が妊娠したい時期。すなわち"男性に押し倒してほしい"時期なんです。そのため生物学的にはオスである男性の目線を意識して、お尻のトップの位置が5cm近く高くなるというデータもあるほどです。

この5~7日間は、きっちりトレーニングをして夜の食事に気をつけるとかなり効果を感じられるはずです。筋力トレーニングをするなら最もキレのいい身体に仕上がりますし、スポーツ選手なら、この時期に試合をあてるのが一番です。

そして排卵~月経までの14日~17日ほどの期間は、調子のいい時期に作ったコンディションを、キープする時期と考えましょう。この期間は、プロゲステロンというホルモンが卵巣から分泌され、体が「妊娠しているといいな。妊娠しているかも。」と感じている時期。水分をため込んで体がむくみ、重く感じる傾向があります。腸管の壁もむくむため腸の蠕動運動はわるくなり、便秘になりやすい時期でもあります。また月経前は感情が不安定になっていらついたり落ち込んだり、男性ホルモンの影響で吹き出物が出ることもあります。でも、なるべく気にしないこと。体調や体型をキープできれば、それでOKです。

そして月経が始まってからは、決して無理をしないこと。運動をすべて禁止する必要はありません。身体の調子がいいと感じるならばトレーニングやスポーツをしてもいいし、ストレッチ程度にしてもいい。頭痛や腹痛、だるさや眠気があるならば自宅でゆっくり静養するという選択も大切となる時期です。

ちなみに、オリンピックの女性金メダリストの統計によると、メダルを獲った日は確かに月経後の調子のいい時期というケースが最も多いようです。しかし、月経の時期にメダルを獲った選手も実際にいます。自分なりに、約1ヶ月の期間の中でどの時期が最も調子がいいのかを自分なりに把握しておくことが大事です。

またアスリートの方には、低用量ピルを上手に活用することをお勧めしています。試合当日を月経期から外すことはもとより、コンディション調整にも有用であると考えられています。

JISS(国立スポーツ科学センター)に出入りする日本トップクラスのアスリートで比較すると、低用量ピルの普及率は世界では約40%。それに対し、日本ではまだ2%に過ぎません。「生理はずらすことができる」という認識は、日本ではまだまだ広まっていないのが実情です。「ピル=避妊用=悪いことに使う」というお母さん世代の倫理観や副作用の恐れが、日本における低用量ピル普及の大きな妨げになっているのは間違いありません。

現在、日本の婦人科で処方されるピルはドーピング検査にも問題はありませんし、副作用がなるべく出ないようにどんどん改良されてきています。スポーツを積極的に楽しんでいる女性ならばまずはオフシーズンに試してみて、問題がないかをチェックするといいでしょう。

1ヶ月毎日毎日、コンスタントにベストのコンディションで過ごせる女性はほとんどいません。時には休んだり、自分を甘やかしたりしながら、自分自身のコンディションのサイクルを自分で知り、上手くつき合っていきましょう。


高尾 美穂
産婦人科専門医・医学博士・株式会社ドーム委託契約医師
東京慈恵会医科大学産婦人科大学院、慈恵医大付属病院産婦人科勤務を経て、2011年10月より株式会社ドームの委託契約医師に。
また、日本マタニティヨーガ協会マタニティヨーガ指導資格を持つyoginiでもある。

Share
twitter
facebook
印刷用ページへ