競技パフォーマンスUP

渇いた身体に補給しろ! パフォーマンスを高める水分補給とは

渇いた身体に補給しろ! パフォーマンスを高める水分補給とは

DESIRE TO EVOLUTION

競技パフォーマンスUP

渇いた身体に補給しろ! パフォーマンスを高める水分補給とは

渇いた身体に補給しろ! パフォーマンスを高める水分補給とは

人間の肉体は60%以上が「水」である。筋肉に限っていえば、70%を水が占めている。それが足りなくなると、どうなるか。

■脱水の影響

体内の水分が減ると、血液の量が減る。また汗の量も減る。汗の量が減ると、体温が上がりやすくなるため、皮膚の血流を増やして冷却効果を得ようとする。全体の血流量が減った状態で皮膚への血流が増えると、心臓への血流は少なくなる。
血流が滞れば、酸素や栄養素の運搬もスムーズにいかなくなるため、パフォーマンスは低下する。また体温が高くなりすぎると酵素の活性も低下するため、代謝も滞る。一般的に、体重の1%の水が失われるとパフォーマンスの低下が起こり始め、2%が失われた時点で喉の渇きを覚え始める。そして3%以上が失われると、パフォーマンスの低下を自覚できるようになり、集中力の低下も起こる。

脱水によりパフォーマンスが低下するだけではなく、ACTHやコルチゾールなどのストレスホルモンが分泌されたり酸化ストレスが増加したりなど、さまざまなダメージが起こり得る。
喉が渇きはじめた時は、もう遅い。できれば運動前にある程度の水分を補給し、身体を十分に潤しておきたい。そして運動中も水分を小まめに摂取することを心がける。水分摂取量における日本体育協会の指針を、以下に紹介しておこう。

■水分補給量の目安(日本体育協会による)

■電解質の必要性

大量の発汗により、水だけでなく電解質も失われる。「水+電解質」が失われた状態で「水」だけを補給すると、体内が水で薄まり、電解質濃度が低下してしまう。 これを防ぐために、さらに水を排出して電解質の濃度をキープしようとしてしまう。この働きを「自発的脱水」と呼ぶ。
自発的脱水を防ぐためには、水だけでなく、ナトリウムやカリウム、マグネシウムなどの電解質を含んだドリンクを飲むようにしたい。なお日本体育協会のガイドラインでは「0.1~0.2%の食塩」が推奨されており、これをナトリウムに換算すると「100ml中に40~80mgのナトリウム」となる。

■糖質の必要性

運動時に糖質を補給することにより、筋グリコーゲンが節約されてスタミナを維持することができる。また運動時間が長くなってくると、脂肪をエネルギーとして使う割合が徐々に増えてくる。しかし運動時に糖質補給をすることで、血糖値と糖質酸化率(糖質をエネルギーに変換する割合)を維持することができ、パフォーマンスを向上させることができる、とされている。
なお日本体育協会の指針では、「4~8%の糖分」が推奨されており、これは100mlのドリンク中に4~8gの糖質が含まれている、ということを指す。糖質の種類としては、消化吸収が早く、胃もたれしにくい「クラスターデキストリン」がベストであろう。

■たんぱく質の必要性

エネルギーになるのは糖質と脂質だけではない。実はアミノ酸もエネルギー源となる。ベテランのサイクリストを対象にした研究では「糖質のみ」を与えた群に比べ、「糖質+プロテイン」を与えた群のほうが29%~40%も自転車を長く漕ぎ続けることができ、また運動後の筋損傷の割合を83%も低く抑えることができた、という結果が出ている。
運動時に水分を補給することは、もはや常識である。しかしそれは「パフォーマンスの低下を抑える」というだけの消極的なアプローチだ。そうではなく、「パフォーマンスの最大化を求める」というポジティブなアプローチが必要だ。「ただの水」ではなく、さらに糖質や電解質、たんぱく質を加えたドリンクを飲む。それがウォリアーの常識となる日は近いだろう。

Share
twitter
facebook
印刷用ページへ

人間の肉体は60%以上が「水」である。筋肉に限っていえば、70%を水が占めている。それが足りなくなると、どうなるか。

■脱水の影響

体内の水分が減ると、血液の量が減る。また汗の量も減る。汗の量が減ると、体温が上がりやすくなるため、皮膚の血流を増やして冷却効果を得ようとする。全体の血流量が減った状態で皮膚への血流が増えると、心臓への血流は少なくなる。
血流が滞れば、酸素や栄養素の運搬もスムーズにいかなくなるため、パフォーマンスは低下する。また体温が高くなりすぎると酵素の活性も低下するため、代謝も滞る。一般的に、体重の1%の水が失われるとパフォーマンスの低下が起こり始め、2%が失われた時点で喉の渇きを覚え始める。そして3%以上が失われると、パフォーマンスの低下を自覚できるようになり、集中力の低下も起こる。

脱水によりパフォーマンスが低下するだけではなく、ACTHやコルチゾールなどのストレスホルモンが分泌されたり酸化ストレスが増加したりなど、さまざまなダメージが起こり得る。
喉が渇きはじめた時は、もう遅い。できれば運動前にある程度の水分を補給し、身体を十分に潤しておきたい。そして運動中も水分を小まめに摂取することを心がける。水分摂取量における日本体育協会の指針を、以下に紹介しておこう。

■水分補給量の目安(日本体育協会による)

■電解質の必要性

大量の発汗により、水だけでなく電解質も失われる。「水+電解質」が失われた状態で「水」だけを補給すると、体内が水で薄まり、電解質濃度が低下してしまう。 これを防ぐために、さらに水を排出して電解質の濃度をキープしようとしてしまう。この働きを「自発的脱水」と呼ぶ。
自発的脱水を防ぐためには、水だけでなく、ナトリウムやカリウム、マグネシウムなどの電解質を含んだドリンクを飲むようにしたい。なお日本体育協会のガイドラインでは「0.1~0.2%の食塩」が推奨されており、これをナトリウムに換算すると「100ml中に40~80mgのナトリウム」となる。

■糖質の必要性

運動時に糖質を補給することにより、筋グリコーゲンが節約されてスタミナを維持することができる。また運動時間が長くなってくると、脂肪をエネルギーとして使う割合が徐々に増えてくる。しかし運動時に糖質補給をすることで、血糖値と糖質酸化率(糖質をエネルギーに変換する割合)を維持することができ、パフォーマンスを向上させることができる、とされている。
なお日本体育協会の指針では、「4~8%の糖分」が推奨されており、これは100mlのドリンク中に4~8gの糖質が含まれている、ということを指す。糖質の種類としては、消化吸収が早く、胃もたれしにくい「クラスターデキストリン」がベストであろう。

■たんぱく質の必要性

エネルギーになるのは糖質と脂質だけではない。実はアミノ酸もエネルギー源となる。ベテランのサイクリストを対象にした研究では「糖質のみ」を与えた群に比べ、「糖質+プロテイン」を与えた群のほうが29%~40%も自転車を長く漕ぎ続けることができ、また運動後の筋損傷の割合を83%も低く抑えることができた、という結果が出ている。
運動時に水分を補給することは、もはや常識である。しかしそれは「パフォーマンスの低下を抑える」というだけの消極的なアプローチだ。そうではなく、「パフォーマンスの最大化を求める」というポジティブなアプローチが必要だ。「ただの水」ではなく、さらに糖質や電解質、たんぱく質を加えたドリンクを飲む。それがウォリアーの常識となる日は近いだろう。