体重・脂肪DOWN

不要なものは削ぎ落とせ~冬のダイエット対策

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不要なものは削ぎ落とせ~冬のダイエット対策

不要なものは削ぎ落とせ~冬のダイエット対策

よく喰らい、よくトレーニングし、よく寝る。これぞウォリアーのオフシーズンだ。デカく強くなった肉体は、翌シーズンの活躍を約束してくれることだろう。
しかし問題もある。シーズン中に比べて運動量が低下しているため、体脂肪が増えてしまいがちなことだ。余計な脂肪を身にまとっていたのでは、思うようなパフォーマンスは発揮できない。
体脂肪を減らすことにより、体重が軽くなり、パワーウェイトレシオも改善される。ただし闇雲にダイエットして筋肉量を減らしてしまったのでは、元も子もない。筋肉量を維持しつつ、体脂肪を減らしていくためには、どうすればいいのだろうか。


◆体脂肪を減らすための3つの鉄則


1.食事を小分けにしろ

ウォリアーの脳は1日に120gものブドウ糖を必要としている。ご飯にして軽く茶碗3杯程度だ。もちろん脳だけでなく、他のさまざまな器官がエネルギーとしてブドウ糖を必要としている。
ダイエット時に摂取カロリーを減らすと、糖質の摂取も少なくなる。そして糖質が不足する。しかし不足したままではマズイので、ここで「糖新生」という代謝が活発になる。これはアミノ酸やピルビン酸、乳酸、グリセロールなどからブドウ糖を作り出す代謝で、特に筋肉を分解して取り出したアミノ酸が主な原料となる。
つまり糖新生が活発になると、筋肉が壊されてしまうということだ。苦労して得た筋肉が簡単に壊されてしまったのではたまらない。ゆえに糖新生をできるだけ抑える必要がある。そのためには、小分け食が非常に有効だ。
糖新生は血糖値が低い時に起こりやすい。血糖値が低いと、体内に糖質が少ないと判断されるわけだ。食事をすると血糖値が上がり、インスリンが分泌されて、しばらくすると血糖値が下がる。
一度にドカ食いすると、大量にインスリンが分泌されて、血糖値も急激に下がる。ドカ食いすれば次の食事までの間も長くなるから、血糖値が下がっている時間も長くなる。すると糖新生が活発になってしまう。

逆に小分け食はどうか。食べる量が少ないためインスリンも少量しか追加分泌されず、血糖値も一気には下がらない。そして次の食事までの時間が短いため、血糖値が低くなっている時間は短い。よって糖新生も活発にはならない。
食事の回数が2回だったら3回に、3回だったら4回にしてみよう。5回あるいは6回にできれば、なお良い。筋肉量をキープしたまま体脂肪を落としていくことができるはずだ。


2.カルニチンを摂取せよ

体脂肪がエネルギーとして燃やされる時には、脂肪酸がミトコンドリアに運び込まれる必要がある。しかし脂肪酸はそのままミトコンドリアに入り込むことができない。「アシルカルニチン」に変換される必要があるのだ。
脂肪酸がアシルカルニチンになるときに必要となる酵素が、CPT1である。この酵素を作るためには、アミノ酸のカルニチンが必要となるのだ。
そしてアシルカルニチンがミトコンドリアに運び込まれると、今度はCPT2という酵素によって分解される。そうしてはじめて、脂肪酸をエネルギーとして使えるようになるのだ。このCPT2も、カルニチンなしでは作ることができない。
カルニチンはリジンとメチオニンから体内で合成することができる。しかしその合成能力は20代をピークとして、徐々に低下していく(下図B参照)。30歳を過ぎるとダイエットの効果が出にくくなるが、それはカルニチンの不足も関係しているのかもしれない。
カルニチンが不足しているのなら、外部からそれを摂取する必要がある。サプリメントで摂取するのがベストだが、食物の中では羊や鹿の肉にカルニチンが多く含まれていることは知っておいていいだろう。


Age and Sex Dependency of Carnitine Concentration in Human Serum and Skeletal Muscle
Clinical Chemistry December 2001 vol. 47 no. 12 2150-2153


3.CoQ10を摂取せよ

ミトコンドリアでエネルギーができると前述したが、その経路を「電子伝達系」と呼ぶ。電子伝達系においては複合体Ⅰから複合体Ⅳまでの間で電子がやり取りされ、その途中でエネルギー(ATP)が合成される。
複合体の間で電子を受け渡すときに使われるのが、CoQ10である。つまりCoQ10が足りないと、エネルギーをスムーズに作り出すことができない。
CoQ10もカルニチンと同様、体内で作り出すことができる。体内ではコレステロールが合成されているが、この時、同じような経路を使って合成されるのだ。しかし、加齢に伴って体内におけるCoQ10の合成は低下し、例えば心臓におけるCoQ10の量は20歳の時を100%とすると、40歳では68.2%、80歳では42.9%になってしまう¹²。年をとってエネルギーが低下したと感じるのは、CoQ10の合成能力が低下しているからでもある。
そのため、サプリメントで補う必要が出てくるのだ。
またCoQ10には抗酸化作用や免疫力を高める作用もあり、風邪やインフルエンザに罹りにくくなるという効果も期待できる。冬のウォリアーにとって、CoQ10はマストアイテムとなるだろう。

 

(後編に続く)

【参考文献】

  • 1:Age-related changes in the lipid compositions of rat and human tissues Lipids July 1989, Volume 24, Issue 7, pp 579-584
  • 2:Biochemical, physiological and medical aspects of ubiquinone function Biochim Biophys Acta. 1995 May 24;1271(1):195-204
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よく喰らい、よくトレーニングし、よく寝る。これぞウォリアーのオフシーズンだ。デカく強くなった肉体は、翌シーズンの活躍を約束してくれることだろう。
しかし問題もある。シーズン中に比べて運動量が低下しているため、体脂肪が増えてしまいがちなことだ。余計な脂肪を身にまとっていたのでは、思うようなパフォーマンスは発揮できない。
体脂肪を減らすことにより、体重が軽くなり、パワーウェイトレシオも改善される。ただし闇雲にダイエットして筋肉量を減らしてしまったのでは、元も子もない。筋肉量を維持しつつ、体脂肪を減らしていくためには、どうすればいいのだろうか。


◆体脂肪を減らすための3つの鉄則


1.食事を小分けにしろ

ウォリアーの脳は1日に120gものブドウ糖を必要としている。ご飯にして軽く茶碗3杯程度だ。もちろん脳だけでなく、他のさまざまな器官がエネルギーとしてブドウ糖を必要としている。
ダイエット時に摂取カロリーを減らすと、糖質の摂取も少なくなる。そして糖質が不足する。しかし不足したままではマズイので、ここで「糖新生」という代謝が活発になる。これはアミノ酸やピルビン酸、乳酸、グリセロールなどからブドウ糖を作り出す代謝で、特に筋肉を分解して取り出したアミノ酸が主な原料となる。
つまり糖新生が活発になると、筋肉が壊されてしまうということだ。苦労して得た筋肉が簡単に壊されてしまったのではたまらない。ゆえに糖新生をできるだけ抑える必要がある。そのためには、小分け食が非常に有効だ。
糖新生は血糖値が低い時に起こりやすい。血糖値が低いと、体内に糖質が少ないと判断されるわけだ。食事をすると血糖値が上がり、インスリンが分泌されて、しばらくすると血糖値が下がる。
一度にドカ食いすると、大量にインスリンが分泌されて、血糖値も急激に下がる。ドカ食いすれば次の食事までの間も長くなるから、血糖値が下がっている時間も長くなる。すると糖新生が活発になってしまう。

逆に小分け食はどうか。食べる量が少ないためインスリンも少量しか追加分泌されず、血糖値も一気には下がらない。そして次の食事までの時間が短いため、血糖値が低くなっている時間は短い。よって糖新生も活発にはならない。
食事の回数が2回だったら3回に、3回だったら4回にしてみよう。5回あるいは6回にできれば、なお良い。筋肉量をキープしたまま体脂肪を落としていくことができるはずだ。


2.カルニチンを摂取せよ

体脂肪がエネルギーとして燃やされる時には、脂肪酸がミトコンドリアに運び込まれる必要がある。しかし脂肪酸はそのままミトコンドリアに入り込むことができない。「アシルカルニチン」に変換される必要があるのだ。
脂肪酸がアシルカルニチンになるときに必要となる酵素が、CPT1である。この酵素を作るためには、アミノ酸のカルニチンが必要となるのだ。
そしてアシルカルニチンがミトコンドリアに運び込まれると、今度はCPT2という酵素によって分解される。そうしてはじめて、脂肪酸をエネルギーとして使えるようになるのだ。このCPT2も、カルニチンなしでは作ることができない。
カルニチンはリジンとメチオニンから体内で合成することができる。しかしその合成能力は20代をピークとして、徐々に低下していく(下図B参照)。30歳を過ぎるとダイエットの効果が出にくくなるが、それはカルニチンの不足も関係しているのかもしれない。
カルニチンが不足しているのなら、外部からそれを摂取する必要がある。サプリメントで摂取するのがベストだが、食物の中では羊や鹿の肉にカルニチンが多く含まれていることは知っておいていいだろう。


Age and Sex Dependency of Carnitine Concentration in Human Serum and Skeletal Muscle
Clinical Chemistry December 2001 vol. 47 no. 12 2150-2153


3.CoQ10を摂取せよ

ミトコンドリアでエネルギーができると前述したが、その経路を「電子伝達系」と呼ぶ。電子伝達系においては複合体Ⅰから複合体Ⅳまでの間で電子がやり取りされ、その途中でエネルギー(ATP)が合成される。
複合体の間で電子を受け渡すときに使われるのが、CoQ10である。つまりCoQ10が足りないと、エネルギーをスムーズに作り出すことができない。
CoQ10もカルニチンと同様、体内で作り出すことができる。体内ではコレステロールが合成されているが、この時、同じような経路を使って合成されるのだ。しかし、加齢に伴って体内におけるCoQ10の合成は低下し、例えば心臓におけるCoQ10の量は20歳の時を100%とすると、40歳では68.2%、80歳では42.9%になってしまう¹²。年をとってエネルギーが低下したと感じるのは、CoQ10の合成能力が低下しているからでもある。
そのため、サプリメントで補う必要が出てくるのだ。
またCoQ10には抗酸化作用や免疫力を高める作用もあり、風邪やインフルエンザに罹りにくくなるという効果も期待できる。冬のウォリアーにとって、CoQ10はマストアイテムとなるだろう。

 

(後編に続く)

【参考文献】

  • 1:Age-related changes in the lipid compositions of rat and human tissues Lipids July 1989, Volume 24, Issue 7, pp 579-584
  • 2:Biochemical, physiological and medical aspects of ubiquinone function Biochim Biophys Acta. 1995 May 24;1271(1):195-204