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日本人よ、もっと鍛えよ!~長距離走編 その2 多くのランナーに最も足りないのは、栄養摂取の正しい知識

日本人よ、もっと鍛えよ!~長距離走編 その2 多くのランナーに最も足りないのは、栄養摂取の正しい知識

老若男女がランニングを楽しむ今、マラソンはもはやブームとはいえないほど、生活に密着したものとなった。しかし、ケガをせず安全に、好タイムでフルマラソンを走るためのトレーニングと栄養の知識は、まだ十分なレベルとはいえないのではないか。多くのランナーをサポートするアンダーアーマーランナーズハウス中野の矢作祥子店長と、スタッフの松本圭介に話を聞いた。


■「筋肉の回復を助けてくれるプロテインを、積極的に飲んでほしい」

―― まず長距離選手は、いたずらに体重を落としたがる傾向があります。それに対して、一般のランナーの方はどのような状況ですか。


アンダーアーマーランナーズハウス中野
店長 矢作祥子

矢作 高橋尚子選手の全盛期は、世の中も体重を落とせ落とせという傾向にありました。でも野口みずきさんが出てきたことで、徐々に、筋トレをガンガンやってストライドを伸ばして走ることも大事だといわれるようになりましたよね。でも皆さん、体重が増えるのを気にしている傾向はあります。短期的に増えるのは確かによくありませんが、長いスパンで身体を作っていくことで筋力が上がれば、心肺機能も成長するし、ベスト体重もそれに応じて上がっていく。ですから、あまり気にしすぎる必要はないと思います。






アンダーアーマーランナーズハウス中野
副店長 松本圭介

松本 選手でも一般の方でも、もう絞る箇所がないのに「身体を絞れば速くなる」と考えている人は多いですね。無理に身体を絞って、コンディションを悪くしている。もっとフィジカルトレーニングをしっかりやれば、タイムも伸びるし、ケガも減ります。中・長距離ランナーはアキレス腱を負傷することが多いですが、体幹の筋力不足によって股関節が疲れてしまい、足先で走ってしまうようになる。その結果フォームが崩れ、身体に負担がかかるケースもよくあります。また、栄養に関する知識は、皆さんまだ足りませんね。例えばフルマラソンを走るとしたら、3カ月前からしっかり走り込みつつトレーニングを積み、栄養摂取もきちんと行うべきです。



矢作 1番大事なのはやはりプロテインです。バルクアップする人のもの、と捉えられがちですが、それは違います。筋肉の回復を助けてくれるものなので、積極的に飲んでほしいです。プロテインを飲むと筋肉が増え、身体が重くなると考えている人は多いですし、私も現役時代はそう思っていました。でも、きちんと走り込んでフィジカルトレーニングを行いながら適量を摂る限り、体重が急激に増えることはありません。

松本 プロテインは最低でも、トレーニング直後は必ず飲みたいところ。あとは練習内容にもよりますが、しっかり追い込んだ日は筋肉の修復という意味で、朝や夜も摂るべきかと思います。ムダな脂肪をつけない、という意味で一番いいのはSTOICですね。


■「いいトレーニングをするためにも、栄養摂取が大事」

―― フルマラソンなどのレースに臨む場合、それまでの期間でどのようなトレーニングと栄養摂取を行っていくべきでしょうか。

松本 レースまでの期間を3分割し、1カ月ごとにテーマを決めていくのがベストだと思います。例えば3カ月とすると、まず、最初の1カ月は走り込んで「脚を作る」。1回あたり12~15kmを週に3~4回は走りたいですね。目安は1週間で50km。月間で200kmは走りたいですね。そしていいトレーニングをするためにも、栄養摂取が大事。食事とサプリメントで栄養をしっかり摂ることです。

矢作 ビタミン スーパープレミアムで体調を保ちつつ、食後にジョイントZMAを摂って身体をケア。そして走る前にBCAA、走った直後にR4プロテインを摂ってほしいですね。体脂肪が気になる方は、走る前に4ウェイメガバーンを飲んでおくのもいいと思います。

松本 2カ月目は走る量をキープしながら、動きを作る。フォームを固め、筋力トレーニングもしっかり行います。そして最後のひと月は、ペースを意識。目標タイムのペースを体に染み込ませていきます。そして、レースの2~3週間前からは疲れを抜いていくこと。筋力トレーニングの量はやや落としますが、休み過ぎてもダメです。筋肉量をしっかり保つことを意識して下さい。レース当日に筋肉痛が残らなければ大丈夫です。そして体調をしっかり管理すること。そういう意味で僕が特にお勧めしたいのがグルタミン。身体作りと免疫力アップという意味で、走った後に摂るとすごくいいです。

―― レース直前に、カーボローディングを行う方は多いですね。

松本 方法はいろいろですが、僕の場合はいったん糖質を減らして、最後の3日に糖質を多めに摂っていました。最初は朝だけ糖質を摂り、昼と夜はカット。これを2週間行って、レース前の3日間は炭水化物をなるべく摂りました。急激にすごい量を食べる人もいますが、胃腸を壊す可能性がありますので、あまりお勧めしません。一般のランナーの方なら、少し減らし少し増やす、という程度でもいいと思います。

矢作 レース1週間前に30kmぐらいの長い距離を走っていったん糖質を体から抜き、レースの3日前から糖質をしっかり食べる。そんな行い方もありますね。

―― 当日はどのようにレースに臨みますか。

松本 まず、レース5~6時間前にストレッチやジョギングなど軽く体を動かします。その後、4時間半~5時間前を目安にいったん朝食を摂ります。食べ過ぎて胃腸に負担がかからない程度に、バナナやご飯など糖質をメインに食べるといいでしょう。目安は700~800kcal。おにぎり2つとバナナ数本、100%ジュース、味噌汁などでそれぐらいでしょうか。パワーゼリーや、Jel-Xなどもお勧めです。そして、レース2時間前にカステラやバナナ、パワーゼリーなど軽めの補食を、400~500kcalを目安に摂っておくといいですね。

矢作 レースにはパワーゼリーをぜひ携帯してほしいですね。だいたい90分過ぎぐらいでエネルギーが枯渇してくるので、そのタイミングで一度飲むこと。パワーゼリーは3時間台のランナーならば一つ。4時間を超える方はもう一つぐらい持っておきたいですね。また、ゼリー類はかさ張って嫌だという方にはレース前とレース中にBCAAを飲むのもお勧めです。スティックタイプならそんなにかさ張りませんからね。それと、脂肪を有効に使うという意味で、4ウェイメガバーンを飲むのも有効です。私も初めてマラソンを走った時、10kmごとに飲んでみたのですが、よかったです。

松本 そして、レース後もしっかり栄養を。打ち上げに行きたい気分になりますが、まずはその前に、Jel-Xなどを補給をしてほしいですね。翌日の疲労感などの違いが感じ取れると思います。


矢作 まずは正しい知識をつけて、身体を作る。そして、トレーニングやレースの後にしっかりケアを行うことで、タイムは確実に伸びるはずです。

松本 その際に大事なのは、正しい栄養摂取に関する知識です。例えば皆さん「走った後にアミノ酸を」ぐらいの知識はあっても、アミノ酸がどういったもので、どんな効果があるのかは知らなかったりする。楽しく走り、いいタイムを出すためにも、僕達もその部分をしっかり啓蒙していきたいですね。

前田成彦
DESIRE TO EVOLUTION編集長&株式会社オフィス221代表。学生~社会人にてアメリカンフットボールを経験。自らもウォリアーたるべく一昨年よりトレーニングを本格再開。ベンチプレス150kg挙上を目指し、日々筋トレに励む。

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