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水分補給の最終形 ~水分補給の注意点

水分補給の最終形 ~水分補給の注意点

ウォリアーの身体の60~70%は「水」からできている。今や水分補給の重要性は一般にも知れわたり、運動時の水分摂取を禁止する指導者はさすがにいなくなったようだ。

しかし、「ただの水」を補給するだけでいいのだろうか?

「ただの水」にも効果はある。その一つが脱水を防ぐことだ。では脱水により、どのような問題が起こるのだろうか。


◇脱水による問題とは

体内の水分が減ると、血液の量が減る。また汗の量も減る。汗の量が減ると、体温が上がりやすくなる。すると皮膚の血流を増やすことにより、冷却効果を得ようとする。

しかし全体の血流量が減った状態で皮膚への血流が増えると、心臓への血流はさらに少なくなる。すると心臓はより多くの血液を送り出そうとする。そして心拍数は高まり、心臓への負担はどんどん増えていく。

また血流が低下すると、酸素や栄養素の運搬もスムーズにいかなくなる。当然パフォーマンスは低下し、一般には体重の1%の水が失われるとパフォーマンスの低下が起こり始めるとされている。そして2%が失われた時点で喉の渇きを覚え始め、3%以上が失われるとパフォーマンスの低下が自覚できるようになり、集中力の低下も起こるのだ。

またミトコンドリアにおいてエネルギー(ATP)が産生されるとき、CPTⅡという酵素が必要になる。しかし遺伝子のタイプによっては(日本人の13.9~19.8%)、体温が40度を超すとCPTⅡの機能が急速に低下することがわかっている。すると脳を含めた全身の血管内皮細胞の障害が起こり、重篤な熱中症となりうるのである。(※1)

他にも交感神経や脳への影響、ATCHやコルチゾルなどストレスホルモンの増加、酸化ストレスの増大など、脱水によるダメージは非常に強いものがあるのだ。


◇自発的脱水とは

ただの水を飲むことによって、脱水による悪影響は避けることができる。しかし汗を大量にかくと、同時にミネラルも流出してしまう。そこにただの水を補給するとミネラルが欠乏し、また血液を含めた体液が全体的に薄まってしまう。

体液が薄まるのは問題である。そこでウォリアーの身体はわざと水を排出することにより、体液を濃くしようとする。この現象を「自発的脱水」と呼ぶ。つまり水を飲めば飲むほど、自発的脱水により体内から水が排出されてしまうという悪循環に陥ってしまうのである。

いわゆる「水中毒」は、この作用により起こるのである。自発的脱水を防ぐためには、水だけでなく、ナトリウムやカリウム、マグネシウムなどのミネラルを含んだドリンクを飲むようにしたい。なお日本体育協会のガイドラインでは「0.1~0.2%の食塩」が推奨されており、これをナトリウムに換算すると「100ml中に40~80mgのナトリウム」となる。

ナトリウム以外にも運動中に摂ったほうよいものも当然ながらある。では、運動中に摂るべきはどのようなものか、それは次号で解説しよう。


※1:
熱中症の新しいリスクファクターとしての熱不安定性フェノタイプ症
Nihon Kyukyu Igakukai Zasshi Vol. 22 (2011) No. 7 P 350-351

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