体重・筋量UP

Part 66 「三角筋後部のコンパウンドエクササイズ ~ロープ・リアデルトプルダウン」

Part 66 「三角筋後部のコンパウンドエクササイズ ~ロープ・リアデルトプルダウン」

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Part 66 「三角筋後部のコンパウンドエクササイズ ~ロープ・リアデルトプルダウン」

Part 66 「三角筋後部のコンパウンドエクササイズ ~ロープ・リアデルトプルダウン」

目  的: 三角筋後部の発達
メリット: 高重量による的確な三角筋後部への刺激

筋肉の「力」は、筋繊維の横断面積に比例する。
また筋肉の「スピード」は、筋繊維の長さに比例する。
そしてパワーは「力×速度」で求められる。つまり筋繊維の「横断面積×長さ」、すなわち筋体積が、パワーと直結することになる。言い換えれば、大きな筋肉ほどパワーがあるわけだ。
ここで問題である。上半身で最も大きな筋肉は何だろう?

答えは「三角筋」だ。
三角筋の体積は大胸筋や広背筋などより遥かに大きいのだ。 (※1、※2)
大胸筋や広背筋のトレーニングに精を出しているウォリアーは多いと思うが、三角筋を重視したプログラムは組んでいないのではないか。

「大きな筋肉から鍛えろ!」という鉄則がある。
昔は三角筋の大きさが認識されていなかったため、広背筋や大胸筋を先にトレーニングするのが当然だった。
しかし真実がわかった今、トレーニングプログラムを再考する必要があるだろう。

ここで問題となるのが、エクササイズの選定である。
大胸筋にはベンチプレス、広背筋にはチンニングやロウイングなどの「コンパウンドエクササイズ」がある。
コンパウンドエクササイズとは、単一ではなく数多くの筋肉を使う多関節運動のことだ。 ベンチプレスでいえば大胸筋だけでなく三角筋前部や上腕三頭筋も使われる。
そのため、高重量を扱うことができ、強い刺激を与えることが可能となる。

この逆がアイソレーションエクササイズだ。
これは一つの筋肉だけを狙った単関節運動であり、大胸筋の場合でいえばダンベルフライがその例となる。
単一の筋肉だけを動かそうとするため、使用重量は軽くなる。

三角筋の代表的なコンパウンドエクササイズは、ミリタリープレスやバックプレスとなる。
しかしこれらのプレス系エクササイズは三角筋前部や中部への刺激が主となり、後部への刺激は強くない。
三角筋後部のためのコンパウンドエクササイズは何か。
代表的なのは「リアデルトロウ」だが、ひとつ問題がある。挙げるにつれて肩甲骨が自然と寄せられるため、僧帽筋に刺激が移行してしまうのだ。
リアデルトロウのように、バーを身体に近づけていく動きは自然と肩甲骨が寄せられてしまう。
また上腕と肩甲骨の位置関係を考えると、前から後ろに引くロウイング系の動きは、僧帽筋が関与しやすい。上から引くプルダウン系の動きの方が、僧帽筋は関与しにくくなる。
そこでロープを利用したプルダウン系エクササイズを紹介しよう。


■ロープ・リアデルトプルダウンのやり方

  • 1.人差し指と中指でロープを挟み、コブを握り込む
  • 2.ラットマシンに座り、上体をやや後傾させる
  • 3.両手を近づけた状態からプルダウンを行う
  • 4.両手を左右に離しながら外側に広げつつ、フロントプルダウンを行う
  • 5.三角筋後部の収縮を感じ取り、ゆっくりと元の位置に戻す
【参考動画】

この「ロープ・リアデルトプルダウン」は高重量を扱うことができ、僧帽筋への関与が少ない状態で三角筋後部を強く刺激することができる。
リアレイズやリアデルトロウが今一つ効かなかったというウォリアーは、ぜひ試してほしい。

Mr.D

 



Mr.D
栄養・サプリメント・トレーニングについて、聞けば全てに答えを持っているウォリアー界の生き字引的存在。数々の有名選手のパフォーマンスアップの裏にもMr.Dの存在が…。

【参考文献】

  • 1 :Characterizing upper limb muscle volume and strength in older adults: A comparison with young adults J Biomech. Author manuscript; available in PMC 2013 Jan 10.
  • 2 :Upper limb muscle volumes in adult subjects. J Biomech. 2007;40(4):742-9. Epub 2007 Jan 22.
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◆目的
三角筋後部の発達

◆メリット
高重量による的確な三角筋後部への刺激

筋肉の「力」は、筋繊維の横断面積に比例する。
また筋肉の「スピード」は、筋繊維の長さに比例する。
そしてパワーは「力×速度」で求められる。つまり筋繊維の「横断面積×長さ」、すなわち筋体積が、パワーと直結することになる。言い換えれば、大きな筋肉ほどパワーがあるわけだ。
ここで問題である。上半身で最も大きな筋肉は何だろう?

答えは「三角筋」だ。
三角筋の体積は大胸筋や広背筋などより遥かに大きいのだ。 (※1、※2)
大胸筋や広背筋のトレーニングに精を出しているウォリアーは多いと思うが、三角筋を重視したプログラムは組んでいないのではないか。

「大きな筋肉から鍛えろ!」という鉄則がある。
昔は三角筋の大きさが認識されていなかったため、広背筋や大胸筋を先にトレーニングするのが当然だった。
しかし真実がわかった今、トレーニングプログラムを再考する必要があるだろう。

ここで問題となるのが、エクササイズの選定である。
大胸筋にはベンチプレス、広背筋にはチンニングやロウイングなどの「コンパウンドエクササイズ」がある。
コンパウンドエクササイズとは、単一ではなく数多くの筋肉を使う多関節運動のことだ。 ベンチプレスでいえば大胸筋だけでなく三角筋前部や上腕三頭筋も使われる。
そのため、高重量を扱うことができ、強い刺激を与えることが可能となる。

この逆がアイソレーションエクササイズだ。
これは一つの筋肉だけを狙った単関節運動であり、大胸筋の場合でいえばダンベルフライがその例となる。
単一の筋肉だけを動かそうとするため、使用重量は軽くなる。

三角筋の代表的なコンパウンドエクササイズは、ミリタリープレスやバックプレスとなる。
しかしこれらのプレス系エクササイズは三角筋前部や中部への刺激が主となり、後部への刺激は強くない。
三角筋後部のためのコンパウンドエクササイズは何か。
代表的なのは「リアデルトロウ」だが、ひとつ問題がある。挙げるにつれて肩甲骨が自然と寄せられるため、僧帽筋に刺激が移行してしまうのだ。
リアデルトロウのように、バーを身体に近づけていく動きは自然と肩甲骨が寄せられてしまう。
また上腕と肩甲骨の位置関係を考えると、前から後ろに引くロウイング系の動きは、僧帽筋が関与しやすい。上から引くプルダウン系の動きの方が、僧帽筋は関与しにくくなる。
そこでロープを利用したプルダウン系エクササイズを紹介しよう。


■ロープ・リアデルトプルダウンのやり方

  • 1.人差し指と中指でロープを挟み、コブを握り込む
  • 2.ラットマシンに座り、上体をやや後傾させる
  • 3.両手を近づけた状態からプルダウンを行う
  • 4.両手を左右に離しながら外側に広げつつ、フロントプルダウンを行う
  • 5.三角筋後部の収縮を感じ取り、ゆっくりと元の位置に戻す
【参考動画】

この「ロープ・リアデルトプルダウン」は高重量を扱うことができ、僧帽筋への関与が少ない状態で三角筋後部を強く刺激することができる。
リアレイズやリアデルトロウが今一つ効かなかったというウォリアーは、ぜひ試してほしい。

Mr.D

 



Mr.D
栄養・サプリメント・トレーニングについて、聞けば全てに答えを持っているウォリアー界の生き字引的存在。数々の有名選手のパフォーマンスアップの裏にもMr.Dの存在が…。

【参考文献】

  • 1 :Characterizing upper limb muscle volume and strength in older adults: A comparison with young adults J Biomech. Author manuscript; available in PMC 2013 Jan 10.
  • 2 :Upper limb muscle volumes in adult subjects. J Biomech. 2007;40(4):742-9. Epub 2007 Jan 22.