私のマッスルミート&マッスルメイト

【Vol.12】慶應義塾大学ユニコーンズ  主将RB李卓

【Vol.12】慶應義塾大学ユニコーンズ 主将RB李卓

マッスルミートとは、人が成長する過程において、自らの筋肉と初めて出合った瞬間のこと。今回は、大学アメリカンフットボール界ナンバーワンRBが、自らの「筋肉の軌跡」を語る。

※インタビューは2016年5月に実施


■「僕が1000ヤード走っているようじゃダメ」

関東大学アメリカンフットボールリーグの強豪・慶應義塾大学ユニコーンズを率いる主将・李卓(り・たく)。1年生時代からスーパーRBとして注目を集め、昨年度はリーグ戦で971ヤードを獲得し、関東大学リーグのリーディングラッシャーとなった。

「1000ヤードにあと29ヤード足りませんでした。でも、僕が1000ヤード走っているようじゃダメ。どうせなら走りたかった気持ちはもちろんありますが(笑)、一人の突出したランナーがそれだけ走るのは、優勝できなかったチームにありがちなことなので。

昨年僕がたくさんボールをキャリーしたのは、それだけ未熟なチームだったから。"パスが通らないから僕頼み"で持たせてもらい、獲得ヤードが増えたに過ぎません。勝つチームは常に、パスとランのバランスがいい。パスが通るからランニングプレーが出るし、ランプレーが出るからパスが通る。僕に頼らずもっとパスでヤードを稼げたら、チームは優勝してもおかしくありませんでした」


昨シーズンは法政大との接戦を落とし、日本大にはパワー、スピードともに圧倒され惨敗。優勝した早稲田大にこそ最終戦で勝利したものの、順位決定後の相手はメンバーを一部、温存していた。結果は、関東学生リーグ戦4位。またしても目標を果たすことができなかった悔しさのもと、キャプテンに立候補。総勢200名を超える大学アメリカンフットボールチーム随一の大所帯を率いる。

「今の慶應にはまず、フィジカルが足りない。そこを埋められれば、日本一に届く可能性は高くなる。そのため今年は『個で日本一』という目標を掲げました。今のリーグ戦は『戦術で勝とう』『一体感で勝とう』なんてレベルじゃどうにもならない。まずは個々が自分を高め、1対1で相手を圧倒する。それができないと、チームとしての勝利は望めません。選手一人一人が強いフィジカルを身につけ、初めて戦術や一体感が生きる。そう考えて、日々トレーニングに打ち込んでいます」

昨年の敗因の一つとなったフィジカル不足という現実と、一人一人が真正面から向き合い、己を高める。そして個の力を結集し、日本一の栄冠を勝ち取る。それが彼の率いる2016ユニコーンズの悲願だ。


■「ああ、これが超回復か!?」

182㎝88㎏。これまで多くの好RBを輩出してきたユニコーンズにおいても歴代ナンバーワンといわれる卓越したパワーとスピード、そしてランニングセンスを誇る。そんな彼が身体のベースを作ったのは、愛知の南山中~南山高時代だ。

「アメリカンフットボールを始めたのは、中1の時。筋力トレーニングは当時から行っていましたが、自重のみで基礎体力をつける感じでした。器具を使ったウエイトトレーニングは高校1年から。雨でグラウンドでの練習ができない日の他、朝練の一環として自主的に取り組んでいました」

そんな彼の『マッスルミート』(筋肉と出合った瞬間)。それは高校時代、器具を使ったウエイトトレーニングを始めて間もなく訪れた。

「腕立て伏せや腹筋といった中学時代の自重トレーニングは、つらいだけで面白くなかった。でも高校に入り、器具を使ったウエイトトレーニングに本格的に取り組むと、とても面白くなった。そんな中で『オレ、筋肉ついてきたな』と感じたのは高校1年のころ。ギリギリの重さでベンチプレスに取り組むと、翌日に筋肉痛が来るように。そして自分の大胸筋を見てみると、大きく張っていて、それでいて力も漲っている。その時『ああ、もしかしてこれが栄養講習会などで言われている超回復か!?』と実感できました。

重いウエイトを持つことでどんどん身体が大きく、太く進化していく。それがわかると、トレーニングが面白くなりました。放課後の練習以外にも自主的にウエイトトレーニングを行い、ベンチプレスの他にスクワットもハードにやりました。そのおかげで、今のフィジカルの基礎をしっかりと固めることができたと思います」

高校時代からスーパーRBとして注目を集め、大学進学後は本格的にウエイトトレーニングに取り組み、1年春から試合出場。大学レベルでプレーしても、パワーの差を感じることはなかった。

「日本の大学ならば、今の実力で十分通用する。高校で頑張った貯金があるから、十分やれそうだ」

どことなく、そんな慢心が生じた。しかし間もなく、自分が見ていた世界がいかに狭いものであったかを自覚することになる。関東大学リーグを飛び越えた先にあった、果てしなく大きな世界。それを見たことで、世界基準の身体作りに目覚めた。

「まず2年生になる時、アンダー19の世界選抜に選ばれたことが最初のきっかけです。1年の秋、リーグ4試合目にケガをして入院。シーズンを棒に振って体重も落ちてしまい、1から身体を作り直している段階で、世界選抜に選んでいただけた。この時を契機にして、自分の中の意識が大きく変わっていきました。

世界選抜のトレーニングのためフロリダのIMGアカデミーに行ったのですが、世界中から選手が来ていて、彼らは皆ものすごく大きかった。確かに技術でいえば、日本の選手が間違いなく一番上。でも、サイズがまったく違う。逆にいえば、日本の選手がこれぐらいサイズがあればもっとすごいのに、と思いました。

そして世界レベルの選手になるには、もっとサイズを上げねばならない。それを自覚し、よりいっそうウエイトトレーニングに打ち込み、体重も増やしていきました。このタイミングで世界を見ることができたのは、すごく大きかったです。

二つ目のきっかけが、昨年の夏に経験したワールドカップです。僕は学生で唯一選ばれたものの、出場はキッキングが中心でメキシコ戦で少しキャリーした程度。でも栗原(嵩)さんなど、トップ選手の皆さんとともに戦うことができ、本当にいい機会になりました。

栗原さんとは遠征中のオフに一緒にウエイトトレーニングをしたのですが、ぜんぜんついて行けませんでしたね。栗原さんからはトレーニングや食事、そしてプロ選手としてアメリカを目指す姿勢など、さまざまなこと教わり、アドバイスもいただきました。この時の経験で、視野が世界レベルにまで広がった。そしてもっと強くなりたい、もっとバルクアップしたい、と感じるようになりました」


■「今年はもう、数字はどうでもいい」

熱心にウエイトトレーニングに取り組んだ成果で、体重は入学時と比べて8㎏アップした。もちろん、トレーニング前後の栄養摂取を怠ることはない。

「ウチのチームの場合、練習は早朝から始まります。朝はトーストやヨーグルトなどを食べて、練習後に弁当。そして夕方と夜にそれぞれ食事。この4食に加え、ウエイトトレーニング後に、マネージャーが作ってくれたホエイプロテインFASTを欠かさず摂っています。

プロテインの味の好みは特にありませんが、夏場になると、甘ったるくてぬるいプロテインを飲むのはつらいもの。しかも、毎日毎日同じ味は飽きますよね。今回、ホエイSPを試したのですが、ヨーグルト味はさっぱりしていておいしい。これならば、暑くても問題なく飲めます。夏の練習後は、こういう爽やかな味がいい」


大学生活最後のシーズン。主将としてエースRBとして、強い決意とともに挑む。

「昨年は代表で、インサイドゾーンやアウトサイドゾーンでのラインのブロックのを生かし方や、重心を低くした状態での身体の切り返しなど、いろいろな課題を持ち帰ることができました。その課題をつぶすことができた結果、リーディングラッシャーになれたのだと思います。

今は、昨年からワンランク上のプレーをするための課題を模索しているところ。昨年できたことを、もっと高いレベルで追求する。それが現状のテーマです。

そして秋のシーズンについては、数字にはこだわりません。キャプテンとして、大事なところで確実にゲインをする。そして『あいつに持たせれば絶対に取れる』という存在でありつつ、時折、スタンドが沸き返るような走りをやってのける。そんな選手に必ずなります。そしてアメフトの醍醐味ともいえるビッグプレーを、どんどん見せていきたいですね。ぜひ、期待して下さい」

これまで幾度となく、あと一歩で逃してきた関東1位、そして悲願の日本一の座。願っても願ってもつかみ取れなかったものを、今年こそつかみ取る。そのために欠かせないものが、磨き上げてきた戦術とチームの一体感に、鍛え上げた圧倒的なフィジカルを上乗せすること。リーグ戦での大爆発に向けてひたすら牙を研ぐ、大学ナンバーワンRBの視界は良好だ。


前田成彦
DESIRE TO EVOLUTION編集長&株式会社オフィス221代表。
学生~社会人にてアメリカンフットボールを経験。昨年よりトレーニングを本格再開し、学生時代のベンチプレスMAX超えを目指し奮闘中。お気に入りのマッスルメイトは、ホエイプロテインSTOICにR4とグルタミンをブレンドしたオリジナルドリンク。

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