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Part 68「大腿直筋を刺激する」

Part 68
「大腿直筋を刺激する」

目  的: 大腿直筋の発達
メリット: スクワットでは刺激しにくい大腿直筋を的確に刺激できる

近年になって「Posterior Chain(ポステリア・チェーン)」という概念が流行するようになり、下半身ではハムストリングや大殿筋の重要性が叫ばれるようになった。スクワットでも膝関節ではなく股関節を優位に動かすフォームが一般的となってきている。

しかし大腿四頭筋を鍛えなくても良いというわけではない。膝関節の伸展や股関節の屈曲の能力はほとんどの競技において高いレベルで必要とされ、また急激な方向転換の際にブレーキをかけるときや、ピッチングやゴルフのスイングで「壁をつくる」ときにおいても主役として働く。
人体でもっとも体積の大きい筋肉が大腿四頭筋であることからも、その重要性は明らかだろう。

大腿四頭筋のうち、外側広筋と内側広筋、中間広筋は膝関節の伸展が主な作用となる。そして大腿直筋はそれに加え、股関節の屈曲も行う。つまり足を後ろから前に持ってくる動きだ。
外側広筋と内側広筋、中間広筋は大腿骨と脛骨を結ぶ単関節筋なのに対し、大腿直筋は骨盤と脛骨を結ぶ二関節筋である。そのため、この筋肉を強く刺激するためには膝関節の伸展だけでは足りず、股関節の屈曲動作が必要となるのだ。

キング・オブ・エクササイズと呼ばれるスクワットにおいては、膝関節の伸展と股関節の伸展が同時に行われる。スクワットにおいて外側広筋と内側広筋、中間広筋は容易に刺激される。しかし股関節の伸展が行われるスクワットでは、その逆である股関節の屈曲作用を持つ大腿直筋への刺激が弱くなってしまうのだ。(※1)

では股関節の伸展が行われないレッグエクステンションならどうか。しかしレッグエクステンションのスタートポジションにおいて、股関節は既に屈曲している。つまり最初から最後まで、大腿直筋が弛緩している状態で動作を行うことになるわけだ。そのため大腿直筋にストレッチをかけることができず、十分な負荷を与えることができない。また、そもそもレッグエクステンションで股関節の屈曲は行われない。

股関節が伸展された状態(大腿部を後ろに持ってきた状態)においてこそ、大腿直筋はストレッチされる。この状態で負荷をかけ、さらに股関節の屈曲を行うことができるエクササイズ、それがスプリット・スクワットである。


スプリット・スクワットのやり方

  • 1.バーを担ぎ、両足を前後に開く。
  • 2.20~30cm程度の高さの台を用意し、その上に前足を置く。
  • 3.両足の幅はやや広め。
  • 4.腰を前に突き出すようにして、深くしゃがんでいく。
  • 5.後ろ足のヒザが地面に触れる寸前まで下ろす。
  • 6.後ろ足が伸びきるまで立ち上がる。このとき、前足は伸ばし切らなくても良い。
  • 7.指定回数を行ったら足を入れ替え、同じ回数を行う。

<スプリット・スクワット>

ここでポイントとなるのは、後ろ足において大腿直筋が刺激されるということだ。そのため、このエクササイズでは腰をしっかり前に突き出すことにより、後ろ足の大腿直筋をストレッチさせることが重要である。 スプリット・スクワットでは前足の力を主に使って行うことが多いが、この場合は前足と後ろ足、両方の力を均等に使って動作を行うようにして欲しい。
なお、スミスマシンを使って行っても良い。上級者はチェーンを用いると良いだろう。

<スプリット・スクワット チェーンバージョン>


もう一つ紹介しよう。ウォーキング・リバースランジである。ウォーキングランジでは前に歩いていくが、こちらは後ろに歩いていくのである。広い場所で行い、周囲には十分に注意すること。

<ウォーキング・リバースランジ>

なおスプリット・スクワットとランジは良く混同されるが、スプリット・スクワットは両足とも動作中に動かない動作であり、ランジは片足を前や後ろ、横に向けて踏み出す動作である。フェンシングにおける「突き」の動作がランジだと覚えておくとよいだろう。



  • ※1:Unique activation of the quadriceps femoris during single- and multi-joint exercises.
    Eur J Appl Physiol. 2016 May;116(5):1031-41. doi: 10.1007/s00421-016-3363-5. Epub 2016 Mar 31


Mr.D
栄養・サプリメント・トレーニングについて、聞けば全てに答えを持っているウォリアー界の生き字引的存在。数々の有名選手のパフォーマンスアップの裏にもMr.Dの存在が...。

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