継続的に筋肉を発達させていくためには、常に新鮮な刺激を与える必要があります。もちろん基本となるトレーニングは、「漸進的過負荷の原則」に従って常に扱う重量を少しずつ増やしながら、より強い物理的ストレスを筋肉に与えていくことになります。しかし、高重量のトレーニングばかりでは筋肉が刺激に慣れてしまい、発達が頭打ちになってしまうこともしばしばあるのです。
そこで筋肉の発達に有効となるシグナルを、物理的なストレスから化学的なストレスに変えることによって、新たな刺激へと変換する方法を紹介しましょう。
前腕やカーフのエクササイズを行うと、筋肉に焼けつくような痛み(バーンズ)が走ります。その時が、筋肉に「化学的ストレス」が与えられている時なのです。
トレーニング中に筋肉が疲労してくると乳酸が蓄積され、そこから水素イオンが解離します。さらにATPの分解によっても、水素イオンは発生します。この水素イオンは酸性ですので、これが大量にできると筋肉内の環境も酸性となります。これが焼けつくようなバーンズの原因となるのです。
この化学的ストレスを与えるための有効なテクニックとして、以前に「スロー&ノンロック」をご紹介しました。
追い込むためのテクニック Part 5 「スロー&ノンロック」![]() |
レッグエクステンション |
筋肉がダメージを受けると、侵害受容器(※)が敏感になり、弱い刺激でも反応するようになります。100レップス法の後半では、耐えきれないような痛みに何度も襲われることでしょう。
しかしそれに耐え抜き、100レップスをこなせば、今までに経験したことのない強烈な化学的ストレスを筋肉に与えることができるのです。
※侵害受容器...身体の安全を脅かすような刺激(痛みを感じるような強い刺激、熱による刺激、化学物質による刺激など)のエネルギーを電気インパルスに変える器官。
なお、100レップス法は単関節運動で行うほうが有効です。多関節運動では補助筋が疲労してしまい、対象筋に十分な刺激を与えられなくなる可能性が高くなります。もともと物理的なストレスを狙ったものではありませんので、単関節運動で動作をしっかりコントロールしながら行うようにしてください。