競技パフォーマンスUP

リスクを冒さぬ退屈な日本のサッカーを、圧倒的なパワーで変革する。 いわきFCが巻き起こすフィジカル革命 ~その4 後編

リスクを冒さぬ退屈な日本のサッカーを、圧倒的なパワーで変革する。
いわきFCが巻き起こすフィジカル革命 ~その4 後編

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リスクを冒さぬ退屈な日本のサッカーを、圧倒的なパワーで変革する。 いわきFCが巻き起こすフィジカル革命 ~その4 後編

リスクを冒さぬ退屈な日本のサッカーを、圧倒的なパワーで変革する。
いわきFCが巻き起こすフィジカル革命 ~その4 後編

※2016年12月時点(取材時)の情報です

今年の春、福島県社会人2部リーグからスタートを切ったいわきFC。「日本のサッカー選手のフィジカルスタンダードを変える」という壮大な目標を掲げて身体作りに取り組み、リーグ戦の他、数々の大会で勝利を重ねていった。1年目シーズンの活動を終えたチーム首脳陣と選手達が、この1年を振り返る。

■一番いいプロテインを摂っているのだから、いい身体ができるに決まっている。


管理栄養士 斉藤裕子

いわきFCの選手達は、週5~6日のフィジカルトレーニングと毎日のサプリメント摂取で、身体を一気に大きくしていった。彼らの栄養摂取状況について語るのは、株式会社ドームの管理栄養士/公認スポーツ栄養士・斉藤裕子である。

イメージ「ベースのサプリメントは皆、一律で同じものを摂っています。まず全員共通で毎食後に摂取しているのが、ビタミンSP、Joint SP、ZMA SPです。そして朝と夜の食後にEPA、練習前にBCAA、練習後にR4とSPを摂っています。練習は午前で終了し、午後からはDIB(ドームいわきベース)で仕事に入りますが、その合間に補食としてJel-X、そして就寝前にSLOW。ほぼフルラインアップで摂取しています。そこから選手個人個人の状況を踏まえてアドバイスを行い、足りない栄養があれば個別で補う。そんなイメージです」

摂取量とタイミングはすべて決められており、毎日、体重や体調、睡眠時間、間食の回数(サプリメント他)、食事内容などについて自己申告を行う。サプリメントに感じる効果は、それぞれ若干異なる。FW菊池将太・MF久永翼・DF古山瑛翔の3選手は語る。


菊池将太 選手

「プロテインは大学時代から飲んでいましたが、決められた量を決められたタイミングできっちり摂っていたわけではありませんでした。ちゃんとやると、コンディションがまるで違いますね。特に効果を感じたサプリメントはホエイプロテインSP。身体を大きくしたかったので、最高級のプロテインを特別に摂らせてもらいました。SPは気持ちが変わりますね。一番いいのを摂っているのだから、一番いい身体ができるに決まっています(笑)」(菊池)



久永翼 選手

「僕がいいと思うのはJoint SPとEPAです。大学時代は足首の捻挫や肉離れ、骨折などケガが多く、ケガで4年間が終わった感じでした。でもこっちに来てしっかりトレーニングをしてサプリメントを摂ったら、負傷は自然と減っていった。今年1年で、ケガで練習や試合を休んだのは尻を打撲した2日間だけ。もちろん他にもいろいろな理由があるとは思いますが、Joint SPとEPAを飲んでから、明らかにケガは減ったのは確かです」(久永)



古山瑛翔 選手

「正直、いろいろ摂っているうちどれがよかったかは不明ですが、それは、どこにも故障がなかったからだと思います。以前とは、食事への意識がまるで違う。今までは食事のことをまったく考えておらず、お腹がすいたら食べたいものを食べていた。お菓子なども食べていましたからね。でも今は指導を受けて志向が変わった。ケガが減ったし、何がよくて何が悪いか、区別もつくようになりました」(古山)



いわきFC強化部スタッフ
田村雄三

■残念ながら、目指すサッカーはできなかった。

週5~6回のウエイトトレーニングと毎日の栄養摂取で、飛躍的に大きくなった選手達の身体。夏以降も、チームの快進撃は続いた。10月には、全国クラブチームサッカー選手権大会で優勝。全国社会人サッカー選手権大会はベスト8に終わったものの、11月には福島県社会人リーグ2部を圧倒的大差で全勝優勝。1部昇格を決め今年のシーズンを終えた。
しかし、株式会社いわきスポーツクラブ代表取締役・大倉智は疑問を感じていた。確かに身体作りは100%上手くいった。だが、チームが掲げる「魂の息吹くフットボール」を体現することは、本当にできたのか。

大きな反省すべきポイントが、JFLへの飛び級昇格を目指して戦った全国社会人サッカー選手権大会。チームは準々決勝で敗れてベスト8に終わり、昇格はかなわなかった。しかしそれ以上に、大きな問題があった。それは、昇格を意識するあまり自分達のサッカーを放棄したこと。辛勝した2回戦のVONDS市原戦の終盤、そして敗れたヴィアティン三重戦の後半から、パワープレーでゴリ押しの戦いをしてしまった。


いわきFC強化部スタッフ
平松大志

これについては大倉、いわきFC強化部スタッフの田村雄三、平松大志の3者から、それぞれ反省の言葉が聞かれた。

「強化方針として『絶対にJFLに行こう』と賭けていたわけではありませんし、今年の結果がダメだったとも思いません。でも今年、僕らがやろうとしているアグレッシブなサッカーを確実に体現できたかというと、まだまだ。課題はソフト面。フィジカルは右肩上がりだけに、自分達のサッカーの戦術や細かい決まりごとを、もっと煮詰める必要がありました」(田村)

「ファンに感動を与えるアグレッシブなサッカーを、毎試合見に来てくれるサポーターに見せられたのか。そう自問自答するならば、見せられなかった。勝ち負けにこだわらず、やるべきことを貫かねばなりませんでした」(平松)



大倉智 代表取締役

「身体は大きくなった。県1部に昇格できたし、全国クラブチームサッカー選手権でも優勝できた。つまり成果は悪くない。でもわれわれが目指す、90分間ノンストップで走り続け、前に前に出て、常に敵陣でアグレッシブにプレーするサッカーを体現できたのか。

残念ながら、できなかったと言わざるを得ません。身体を大きくできたことを、もっとサッカーに結びつけていかねばならない。コンタクトでは相手をはじき飛ばし、90分間ノンストップでアグレッシブに走り続け、攻撃的にプレーする。その部分では、向上の余地がたくさんある。

フィジカルについても、もちろんここで終わりじゃない。今年は専用のトレーニング施設が完成していなかったので、グラウンドに器具を持ち込んでウエイトトレーニングを行っていました。これはトレーナーから見ると、決して満足のいく内容ではなかったはず。でもこの11月、ドームいわきベース(DIB)にグラウンド。来年5月にはクラブハウスがオープンします。その中にDAHができるので、今後、フィジカルトレーニングについては100%の取り組みができる。

ですから、次はサッカーの内容をフィジカルともっと連動させねばなりません。90分間足が止まらず、でかくて強い。相手が『もうかなわない。勘弁してくれ』と音を上げるぐらいの圧倒的なフィジカルをベースにした、素晴らしいエンターテイメントを見せたい。そのためにも、このオフは徹底的に鍛え上げたいですね」(大倉)

■来年は自分達の戦いを貫き、積み上げた力で勝つ。

来春のクラブハウス完成後はユースチーム、そして女子チームも順次立ち上がる予定になっている。中でもチーム首脳陣が期待を寄せるのが、ユースアカデミーでの若手育成だ。食育から始まってDNSがしっかりサポートし、世界で戦うサッカー選手にふさわしい身体を作っていく。ユースの育成と今後のビジョンについて、大倉は語る。

「いい選手が育てば、年代別の日本代表にピックアップされることもあるでしょう。そうなればさらに注目されますし、18歳ぐらいで身体のしっかりした選手に成長したら、ヨーロッパのクラブから声がかかる可能性もある。今、ヨーロッパのスカウトは15~16歳から目をつけていますから、十分にあり得ることです」

今後、環境はさらに充実していく。だからこそ今は、掲げるサッカーをより具体的な形に仕立てていかねばならない。「魂の息吹くフットボール」をするためには何が必要で、どんな練習を積めばいいのか。それを今一度整理し、ピッチでしっかりと表現していかねばならない。

「忘れてはならないのが、僕らの商品はサッカーであるということ。お客さんを熱狂空間に巻き込んでお金をいただくわけで、試合を見たお客さんに『楽しかった』『活力をもらえた』『面白い』と言っていただかねばなりません。それを今一度、肝に銘じたい。そして来年は自分達の戦いを貫き、積み上げた力で勝ちたいと思います」

来年は高卒と大卒で10人程度の新入団が見込まれ、おそらく、選手の半数近くが入れ替わる。競争はさらに激化し、チームは確実にレベルアップするだろう。来年は、チームカルチャーを構築する大切な年。「魂の息吹くフットボール」の真価があらためて問われる。

(前編をみる)

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今年の春、福島県社会人2部リーグからスタートを切ったいわきFC。「日本のサッカー選手のフィジカルスタンダードを変える」という壮大な目標を掲げて身体作りに取り組み、リーグ戦の他、数々の大会で勝利を重ねていった。1年目シーズンの活動を終えたチーム首脳陣と選手達が、この1年を振り返る。

■一番いいプロテインを摂っているのだから、いい身体ができるに決まっている。


管理栄養士 斉藤裕子

いわきFCの選手達は、週5~6日のフィジカルトレーニングと毎日のサプリメント摂取で、身体を一気に大きくしていった。彼らの栄養摂取状況について語るのは、株式会社ドームの管理栄養士/公認スポーツ栄養士・斉藤裕子である。

イメージ「ベースのサプリメントは皆、一律で同じものを摂っています。まず全員共通で毎食後に摂取しているのが、ビタミンSPJoint SPZMA SPです。そして朝と夜の食後にEPA、練習前にBCAA、練習後にR4とSPを摂っています。練習は午前で終了し、午後からはDIB(ドームいわきベース)で仕事に入りますが、その合間に補食としてJel-X、そして就寝前にSLOW。ほぼフルラインアップで摂取しています。そこから選手個人個人の状況を踏まえてアドバイスを行い、足りない栄養があれば個別で補う。そんなイメージです」

摂取量とタイミングはすべて決められており、毎日、体重や体調、睡眠時間、間食の回数(サプリメント他)、食事内容などについて自己申告を行う。サプリメントに感じる効果は、それぞれ若干異なる。FW菊池将太・MF久永翼・DF古山瑛翔の3選手は語る。


菊池将太 選手

「プロテインは大学時代から飲んでいましたが、決められた量を決められたタイミングできっちり摂っていたわけではありませんでした。ちゃんとやると、コンディションがまるで違いますね。特に効果を感じたサプリメントはWHEY SP。身体を大きくしたかったので、最高級のプロテインを特別に摂らせてもらいました。SPは気持ちが変わりますね。一番いいのを摂っているのだから、一番いい身体ができるに決まっています(笑)」(菊池)

 


久永翼 選手

「僕がいいと思うのはJoint SPEPAです。大学時代は足首の捻挫や肉離れ、骨折などケガが多く、ケガで4年間が終わった感じでした。でもこっちに来てしっかりトレーニングをしてサプリメントを摂ったら、負傷は自然と減っていった。今年1年で、ケガで練習や試合を休んだのは尻を打撲した2日間だけ。もちろん他にもいろいろな理由があるとは思いますが、Joint SPEPAを飲んでから、明らかにケガは減ったのは確かです」(久永)

 


古山瑛翔 選手

「正直、いろいろ摂っているうちどれがよかったかは不明ですが、それは、どこにも故障がなかったからだと思います。以前とは、食事への意識がまるで違う。今までは食事のことをまったく考えておらず、お腹がすいたら食べたいものを食べていた。お菓子なども食べていましたからね。でも今は指導を受けて志向が変わった。ケガが減ったし、何がよくて何が悪いか、区別もつくようになりました」(古山)

 


いわきFC強化部スタッフ
田村雄三

■残念ながら、目指すサッカーはできなかった。

週5~6回のウエイトトレーニングと毎日の栄養摂取で、飛躍的に大きくなった選手達の身体。夏以降も、チームの快進撃は続いた。10月には、全国クラブチームサッカー選手権大会で優勝。全国社会人サッカー選手権大会はベスト8に終わったものの、11月には福島県社会人リーグ2部を圧倒的大差で全勝優勝。1部昇格を決め今年のシーズンを終えた。
しかし、株式会社いわきスポーツクラブ代表取締役・大倉智は疑問を感じていた。確かに身体作りは100%上手くいった。だが、チームが掲げる「魂の息吹くフットボール」を体現することは、本当にできたのか。

大きな反省すべきポイントが、JFLへの飛び級昇格を目指して戦った全国社会人サッカー選手権大会。チームは準々決勝で敗れてベスト8に終わり、昇格はかなわなかった。しかしそれ以上に、大きな問題があった。それは、昇格を意識するあまり自分達のサッカーを放棄したこと。辛勝した2回戦のVONDS市原戦の終盤、そして敗れたヴィアティン三重戦の後半から、パワープレーでゴリ押しの戦いをしてしまった。


いわきFC強化部スタッフ
平松大志

これについては大倉、いわきFC強化部スタッフの田村雄三、平松大志の3者から、それぞれ反省の言葉が聞かれた。

「強化方針として『絶対にJFLに行こう』と賭けていたわけではありませんし、今年の結果がダメだったとも思いません。でも今年、僕らがやろうとしているアグレッシブなサッカーを確実に体現できたかというと、まだまだ。課題はソフト面。フィジカルは右肩上がりだけに、自分達のサッカーの戦術や細かい決まりごとを、もっと煮詰める必要がありました」(田村)

「ファンに感動を与えるアグレッシブなサッカーを、毎試合見に来てくれるサポーターに見せられたのか。そう自問自答するならば、見せられなかった。勝ち負けにこだわらず、やるべきことを貫かねばなりませんでした」(平松)

 


大倉智 代表取締役

「身体は大きくなった。県1部に昇格できたし、全国クラブチームサッカー選手権でも優勝できた。つまり成果は悪くない。でもわれわれが目指す、90分間ノンストップで走り続け、前に前に出て、常に敵陣でアグレッシブにプレーするサッカーを体現できたのか。

残念ながら、できなかったと言わざるを得ません。身体を大きくできたことを、もっとサッカーに結びつけていかねばならない。コンタクトでは相手をはじき飛ばし、90分間ノンストップでアグレッシブに走り続け、攻撃的にプレーする。その部分では、向上の余地がたくさんある。

フィジカルについても、もちろんここで終わりじゃない。今年は専用のトレーニング施設が完成していなかったので、グラウンドに器具を持ち込んでウエイトトレーニングを行っていました。これはトレーナーから見ると、決して満足のいく内容ではなかったはず。でもこの11月、ドームいわきベース(DIB)にグラウンド。来年5月にはクラブハウスがオープンします。その中にDAHができるので、今後、フィジカルトレーニングについては100%の取り組みができる。

ですから、次はサッカーの内容をフィジカルともっと連動させねばなりません。90分間足が止まらず、でかくて強い。相手が『もうかなわない。勘弁してくれ』と音を上げるぐらいの圧倒的なフィジカルをベースにした、素晴らしいエンターテイメントを見せたい。そのためにも、このオフは徹底的に鍛え上げたいですね」(大倉)

■来年は自分達の戦いを貫き、積み上げた力で勝つ。

来春のクラブハウス完成後はユースチーム、そして女子チームも順次立ち上がる予定になっている。中でもチーム首脳陣が期待を寄せるのが、ユースアカデミーでの若手育成だ。食育から始まってDNSがしっかりサポートし、世界で戦うサッカー選手にふさわしい身体を作っていく。ユースの育成と今後のビジョンについて、大倉は語る。

「いい選手が育てば、年代別の日本代表にピックアップされることもあるでしょう。そうなればさらに注目されますし、18歳ぐらいで身体のしっかりした選手に成長したら、ヨーロッパのクラブから声がかかる可能性もある。今、ヨーロッパのスカウトは15~16歳から目をつけていますから、十分にあり得ることです」

今後、環境はさらに充実していく。だからこそ今は、掲げるサッカーをより具体的な形に仕立てていかねばならない。「魂の息吹くフットボール」をするためには何が必要で、どんな練習を積めばいいのか。それを今一度整理し、ピッチでしっかりと表現していかねばならない。

「忘れてはならないのが、僕らの商品はサッカーであるということ。お客さんを熱狂空間に巻き込んでお金をいただくわけで、試合を見たお客さんに『楽しかった』『活力をもらえた』『面白い』と言っていただかねばなりません。それを今一度、肝に銘じたい。そして来年は自分達の戦いを貫き、積み上げた力で勝ちたいと思います」

来年は高卒と大卒で10人程度の新入団が見込まれ、おそらく、選手の半数近くが入れ替わる。競争はさらに激化し、チームは確実にレベルアップするだろう。来年は、チームカルチャーを構築する大切な年。「魂の息吹くフットボール」の真価があらためて問われる。


※写真は2016年11月時点のもの。

(終わり)

(前編をみる)