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DNSも、かつてはJADAの認証を受けていました。しかし、この認証制度はグローバルスタンダードからかけ離れており、倫理的にも歪んでいると言わざるを得ません。そのため、DNSは2016年にJADAの認証取得をストップする判断をしました。そして英国の「LGC社」が運営する、世界で最も広く使われているアンチ・ドーピング認証プログラム「インフォームドチョイス」への切り替えを行いました。
インフォームドチョイスは現在、世界30カ国で200以上のブランドの約850製品が採用しているアンチ・ドーピング認証プログラムで、世界中のアスリートに安心と安全を提供しています。DNSが日本で初めてインフォームドチョイスを導入し、それ以来、国内では現在20ブランド50製品が認証を取得しています。
インフォームドチョイスは、アンチ・ドーピングに関する、優れたリスクマネージメントプログラムです。その理由を説明しましょう。
インフォームドチョイスは、まず製造工程監査において、禁止物質、またはそれを含むリスクのある原材料が製造現場にあるかどうかを評価します。リスクの高い原材料がなければ、混入のリスクも限りなくゼロに近づくからです。工場によっては3000、4000もの原材料リストを提出し、徹底的に検証します。先ほど申し上げたcGMPでは、そこまでの監査は行われていません。そのため、禁止物質が混入するリスクは存在します。
そして製品分析は、ISO17025を取得したラボで行われます。そして、どの物質をどのような分析方法で、どの検出限界まで調べているかを公表しています。それによって、高い透明性が担保されています。
そして認証時には、各製品の3つのロットから5つのサンプルを摘出し、分析します。ロット間とロット内の変動も、入念にチェックを行います。さらに認証後も、市場から無作為に製品のサンプルを購入し、毎月1回分析を続け、禁止物質が混入するリスクを徹底的に排除します。
このような万全の策を取ることにより、インフォームドチョイスは成り立っています。インフォームドチョイスの認証プログラムはすでに10年以上の歴史がありますが、認証を受けた製品による「うっかりドーピング」の事例は、いまだにありません。
インフォームドチョイスによって、サプリメントのアンチ・ドーピング対策は万全なものとなっています。では、一般の食品ではどうでしょうか。
2016年、スイスのアマチュアゴルファーが、クレンブテロール(筋肉増強剤)の陽性反応で失格処分になる、という事件がありました。原因は、メキシコ遠征時に食べた牛肉でした。クレンブテロールは家畜の肥育目的で使われており、2011年から中国とメキシコで同じような事例が起きていたため「世界アンチ・ドーピング機構(WADA)」は注意喚起を行っていました。
わが国は中国やメキシコからかなりの量の食肉を輸入しています。しかし、食肉中の禁止物質をスクリーニングするには至っていません。一般の食品・食材に関しては、サプリメントと同レベルのリスクマネージメントは残念ながらできていません。
そんな中、JADAが既存のサプリメント認証制度の誤りを認識し、同年9月「サプリメント認証制度検証有識者会議」を設置しました。
ここには、私も一委員として参加しています。この会議は事実上、JADAによる認証制度の終息に向けた話し合いといえます。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックを前にして、わが国のサプリメントにおけるアンチ・ドーピング認証が大きく変貌することは間違いないでしょう。
栄養学博士、(株)DNS 執行役員
米国オキシデンタル大学卒業後、㈱協和発酵バイオでアミノ酸研究に従事する中で、イリノイ大学で栄養学の博士号を取得。以降、外資企業で栄養剤ビジネス、商品開発の責任者を歴任した。日本へ帰国後2015年から、ウェアブランド「アンダーアーマー」の日本総代理店・㈱ドームのサプリメントブランド「DNS」にて責任者を務める。2020年より分社化した㈱DNSでサイエンティフィックオフィサーを務める。
DNSも、かつてはJADAの認証を受けていました。しかし、この認証制度はグローバルスタンダードからかけ離れており、倫理的にも歪んでいると言わざるを得ません。そのため、DNSは2016年にJADAの認証取得をストップする判断をしました。そして英国の「LGC社」が運営する、世界で最も広く使われているアンチ・ドーピング認証プログラム「インフォームドチョイス」への切り替えを行いました。
インフォームドチョイスは現在、世界30カ国で200以上のブランドの約850製品が採用しているアンチ・ドーピング認証プログラムで、世界中のアスリートに安心と安全を提供しています。DNSが日本で初めてインフォームドチョイスを導入し、それ以来、国内では現在20ブランド50製品が認証を取得しています。
インフォームドチョイスは、アンチ・ドーピングに関する、優れたリスクマネージメントプログラムです。その理由を説明しましょう。
インフォームドチョイスは、まず製造工程監査において、禁止物質、またはそれを含むリスクのある原材料が製造現場にあるかどうかを評価します。リスクの高い原材料がなければ、混入のリスクも限りなくゼロに近づくからです。工場によっては3000、4000もの原材料リストを提出し、徹底的に検証します。先ほど申し上げたcGMPでは、そこまでの監査は行われていません。そのため、禁止物質が混入するリスクは存在します。
そして製品分析は、ISO17025を取得したラボで行われます。そして、どの物質をどのような分析方法で、どの検出限界まで調べているかを公表しています。それによって、高い透明性が担保されています。
そして認証時には、各製品の3つのロットから5つのサンプルを摘出し、分析します。ロット間とロット内の変動も、入念にチェックを行います。さらに認証後も、市場から無作為に製品のサンプルを購入し、毎月1回分析を続け、禁止物質が混入するリスクを徹底的に排除します。
このような万全の策を取ることにより、インフォームドチョイスは成り立っています。インフォームドチョイスの認証プログラムはすでに10年以上の歴史がありますが、認証を受けた製品による「うっかりドーピング」の事例は、いまだにありません。
インフォームドチョイスによって、サプリメントのアンチ・ドーピング対策は万全なものとなっています。では、一般の食品ではどうでしょうか。
2016年、スイスのアマチュアゴルファーが、クレンブテロール(筋肉増強剤)の陽性反応で失格処分になる、という事件がありました。原因は、メキシコ遠征時に食べた牛肉でした。クレンブテロールは家畜の肥育目的で使われており、2011年から中国とメキシコで同じような事例が起きていたため「世界アンチ・ドーピング機構(WADA)」は注意喚起を行っていました。
わが国は中国やメキシコからかなりの量の食肉を輸入しています。しかし、食肉中の禁止物質をスクリーニングするには至っていません。一般の食品・食材に関しては、サプリメントと同レベルのリスクマネージメントは残念ながらできていません。
そんな中、JADAが既存のサプリメント認証制度の誤りを認識し、同年9月「サプリメント認証制度検証有識者会議」を設置しました。
ここには、私も一委員として参加しています。この会議は事実上、JADAによる認証制度の終息に向けた話し合いといえます。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックを前にして、わが国のサプリメントにおけるアンチ・ドーピング認証が大きく変貌することは間違いないでしょう。
栄養学博士、(株)DNS 執行役員
米国オキシデンタル大学卒業後、㈱協和発酵バイオでアミノ酸研究に従事する中で、イリノイ大学で栄養学の博士号を取得。以降、外資企業で栄養剤ビジネス、商品開発の責任者を歴任した。日本へ帰国後2015年から、ウェアブランド「アンダーアーマー」の日本総代理店・㈱ドームのサプリメントブランド「DNS」にて責任者を務める。2020年より分社化した㈱DNSでサイエンティフィックオフィサーを務める。