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競技パフォーマンスUP

リスクを冒さぬ退屈な日本のサッカーを、圧倒的なパワーで変革する。 いわきFCが巻き起こすフィジカル革命 ~その12

リスクを冒さぬ退屈な日本のサッカーを、圧倒的なパワーで変革する。
いわきFCが巻き起こすフィジカル革命 ~その12

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リスクを冒さぬ退屈な日本のサッカーを、圧倒的なパワーで変革する。 いわきFCが巻き起こすフィジカル革命 ~その12

リスクを冒さぬ退屈な日本のサッカーを、圧倒的なパワーで変革する。
いわきFCが巻き起こすフィジカル革命 ~その12

いわきFCがついに、JFL(日本フットボールリーグ)昇格を果たした。2019年11月20日から24日にかけて行われた「全国地域サッカーチャンピオンズリーグ2019」決勝ラウンドにて、2勝1分けの勝ち点7で見事、優勝。念願の昇格を決めた。

大きな原動力となったのが圧倒的なフィジカルだ。選手達は大会中、強度の高いスプリントを、足を止めることなく繰り返し、すべての相手に走り勝って結果を手繰り寄せた。そんないわきFCの2019年を振り返る。

(※取材は2019年11月に実施)

■全チームを走力で圧倒。

「日本のフィジカルスタンダードを変える」というスローガンを掲げ、2016年のチーム創設から、いわきFCはフィジカル強化に取り組んできた。2017年からは、サッカーの練習量を2割程度まで落とし、1日3時間×週4日×4週間、集中的にストレングストレーニングに打ち込む。「鍛錬期」を設け、サッカー選手の枠を超える身体作りを目指してきた。

2019年もシーズン始めの1月、天皇杯前の3月、そして大きな試合を控えた8月と合計3度の鍛錬期を設け、選手達は身体作りに意欲的に取り組んだ。

チームの最大目標はJFL昇格。そのためには「全国地域サッカーチャンピオンズリーグ2019」(以下、地域CL)という、ほぼ一発勝負の難関を突破せねばならない。そこで8月の鍛錬期については例年よりストレングストレーニングの時間を減らし、頻度も週4回から週3回に変更。グラウンドでのラントレとサッカーの練習量を増やし、フィジカル=走力の向上に努めた。

2019年までいわきFCのフィジカルトレーニングを統括した、鈴木拓哉パフォーマンスコーチ(※当時、ドームアスリートハウス所属)は語る。

「相当走れるようになりました。8月の鍛錬期後のヨーヨーテスト(シャトルラン形式の持久力測定テスト)は、平均で1000m超え。目標としていた800mから200m近く上がりました。これは相当高いレベルだと思います。心肺機能の向上はもちろんですが、一歩一歩の筋出力も大きく上がっています」

チームは10月の全国社会人サッカー選手権では5日間で5試合、11月の地域CL1次ラウンドでは3日間で3試合、決勝ラウンドでは5日間で3試合というハードスケジュールをほぼ固定メンバーで戦い抜き、地域CLでは全対戦チームを走力で圧倒した。しかも、GPSで計測した選手一人ひとりの走行距離は、いずれの大会も日を追うごとに向上していったという。

「毎年昇格してカテゴリーが上がるにつれて、徐々に力の拮抗した相手との試合が増えてきました。そしてJFL昇格については、地域CLのほぼ一発勝負。そのためチームは1年を通じて、グラウンドでボールを使う練習の時間を多く取っていました。
その中で今年から、ゲームウィークのストレングストレーニングでは下半身のトレーニング量を落とし、疲れを残さずに試合を迎えるようにしました。走行距離が上がったのはこういったコンディショニング面の成功もあったと思います。
また負傷者についても、全社や地域CLといった大事な試合の前には少なくとどめることができました。もちろんピーキングが上手くいったのは、アスレティックトレーナーとメディカルチームの力も非常に大きいです」

■”上げて絞る”を繰り返す。

グラウンド練習の比率を例年より高めこそしたが、ストレングストレーニングへの注力度の高さは依然として、他チームとは比べものにならない。高卒、大卒、他チームからの移籍を問わず、いわきFCの選手は全員、ストレングストレーニングによるフィジカルアップが求められる。

「これは”いわきFCあるある”ですが、新入団の選手は、他チームの選手と比べて頭角を現すまでに時間がかかります。特に高卒選手の場合、ほとんどはストレングストレーニングの経験がなく、栄養も十分に摂れていない状態で入ってくる。そこから本格的なトレーニングをして十分な食事とサプリメントを摂るので、ほとんどの場合、体重と骨格筋量が一気に増える。特にフィジカル面が未開拓な高卒選手にその傾向が強く、例えば昨年加入したMF寺村浩平は1年で体重が5㎏、骨格筋量が1㎏増えました。
ただし多くの選手にあるのですが、春から夏場にかけて、急激に大きくなった身体にプレーが追いつかず、身体が重くなったように感じて調子を崩してしまう。この時に大切なのは、焦らないこと。どんな選手も、体重と骨格筋量をスムーズな右肩上がりで増やすことはできませんから。
大事なのはメリハリ。鍛錬期などパワーをつける時期はしっかり食べてストレングストレーニングをして、体重と骨格筋量を上げる。そして鍛錬期が終わり、大事な試合が近づくにつれてサッカーの練習量を増やし、絞っていく。それを繰り返しながら、少しずつ身体を大きくしていくことです。ただし、1年目でこのサイクルを理解するのは難しい面がある。どうしても、それなりの時間が必要です」

5年目になるFW平岡将豪、片山紳、吉田知樹といった選手も”上げて絞る”を繰り返してきた。彼らは徐々に骨格筋量と体重を増やし、入団時とはまったく異なる大きく強い身体を手に入れ、今も少しずつ進化を続けている。

「彼らはセルフコントロールの意識が高く、大きなケガも少ない。新入団選手の素晴らしいお手本になってくれています。ただしそれでも、体重が増えることを恐れている選手もまだいるのも確か。僕らの考えを、もっとしっかりと伝えなくてはいけません。
そもそもいわきFCは『日本のフィジカルスタンダードを変える』というスローガンを掲げ、どのサッカーチームもやったことのない本格的な身体作りに取り組んでいる。だからこそ、このチームに入るならそこにコミットしてもらう必要がある。そして選手も自分の殻を破り、ひと回りスケールの大きな選手に成長してほしい。そのための行動変容を起こさせることも、僕らの大切な仕事だと考えています。
2020年は骨格筋量をポジション別でパーソナライズしてもいいと考えています。サッカーではある程度、ポジションによる体型の違いがあり、必ずしも全ポジションの選手が同じ考えのもとでトレーニングしなくてもいい。世界的には身長と体重のバランスも骨格筋量を見る一つの目安になっています。身長に対して体重がどれぐらいかなど、細かいデータも考慮して管理していくべきかと思います」

いわきFCの選手にとってのフィジカルとは 「魂の息吹くフットボール」を実現するために欠かせないものだ。圧倒的なパワーで日本のフィジカルスタンダードを変えるために、チームのトライ&エラーは、2020年も続いていく。

 

(終わり)

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その名は「ホエイHC」。ホエイプロテインとHMBとクレアチン。あと1秒、あと1mへの渇望をリアルにする「パフォーマンス三銃士」。

ベータアラニンがなぜアスリートの疲労を軽減し、動き続ける持久力をもたらすのか。その正体を科学的見地から、圧倒的にわかりやすく解説する。 ー前編ー

ベータアラニンがなぜアスリートの疲労を軽減し、動き続ける持久力をもたらすのか。その正体を科学的見地から、圧倒的にわかりやすく解説する。 ー後編ー

 

【もっといわきFCを読む】

リスクを冒さぬ退屈な日本のサッカーを、圧倒的なパワーで変革する。 いわきFCが巻き起こすフィジカル革命 ~その11 後編

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リスクを冒さぬ退屈な日本のサッカーを、圧倒的なパワーで変革する。 いわきFCが巻き起こすフィジカル革命 ~その10

リスクを冒さぬ退屈な日本のサッカーを、圧倒的なパワーで変革する。 いわきFCが巻き起こすフィジカル革命 ~その9 後編

リスクを冒さぬ退屈な日本のサッカーを、圧倒的なパワーで変革する。 いわきFCが巻き起こすフィジカル革命 ~その8 中編

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いわきFCがついに、JFL(日本フットボールリーグ)昇格を果たした。2019年11月20日から24日にかけて行われた「全国地域サッカーチャンピオンズリーグ2019」決勝ラウンドにて、2勝1分けの勝ち点7で見事、優勝。念願の昇格を決めた。

大きな原動力となったのが圧倒的なフィジカルだ。選手達は大会中、強度の高いスプリントを、足を止めることなく繰り返し、すべての相手に走り勝って結果を手繰り寄せた。そんないわきFCの2019年を振り返る。

(※取材は2019年11月に実施)

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2019年もシーズン始めの1月、天皇杯前の3月、そして大きな試合を控えた8月と合計3度の鍛錬期を設け、選手達は身体作りに意欲的に取り組んだ。

チームの最大目標はJFL昇格。そのためには「全国地域サッカーチャンピオンズリーグ2019」(以下、地域CL)という、ほぼ一発勝負の難関を突破せねばならない。そこで8月の鍛錬期については例年よりストレングストレーニングの時間を減らし、頻度も週4回から週3回に変更。グラウンドでのラントレとサッカーの練習量を増やし、フィジカル=走力の向上に努めた。

2019年までいわきFCのフィジカルトレーニングを統括した、鈴木拓哉パフォーマンスコーチ(※当時、ドームアスリートハウス所属)は語る。

「相当走れるようになりました。8月の鍛錬期後のヨーヨーテスト(シャトルラン形式の持久力測定テスト)は、平均で1000m超え。目標としていた800mから200m近く上がりました。これは相当高いレベルだと思います。心肺機能の向上はもちろんですが、一歩一歩の筋出力も大きく上がっています」

チームは10月の全国社会人サッカー選手権では5日間で5試合、11月の地域CL1次ラウンドでは3日間で3試合、決勝ラウンドでは5日間で3試合というハードスケジュールをほぼ固定メンバーで戦い抜き、地域CLでは全対戦チームを走力で圧倒した。しかも、GPSで計測した選手一人ひとりの走行距離は、いずれの大会も日を追うごとに向上していったという。

「毎年昇格してカテゴリーが上がるにつれて、徐々に力の拮抗した相手との試合が増えてきました。そしてJFL昇格については、地域CLのほぼ一発勝負。そのためチームは1年を通じて、グラウンドでボールを使う練習の時間を多く取っていました。
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ただし多くの選手にあるのですが、春から夏場にかけて、急激に大きくなった身体にプレーが追いつかず、身体が重くなったように感じて調子を崩してしまう。この時に大切なのは、焦らないこと。どんな選手も、体重と骨格筋量をスムーズな右肩上がりで増やすことはできませんから。
大事なのはメリハリ。鍛錬期などパワーをつける時期はしっかり食べてストレングストレーニングをして、体重と骨格筋量を上げる。そして鍛錬期が終わり、大事な試合が近づくにつれてサッカーの練習量を増やし、絞っていく。それを繰り返しながら、少しずつ身体を大きくしていくことです。ただし、1年目でこのサイクルを理解するのは難しい面がある。どうしても、それなりの時間が必要です」

5年目になるFW平岡将豪、片山紳、吉田知樹といった選手も”上げて絞る”を繰り返してきた。彼らは徐々に骨格筋量と体重を増やし、入団時とはまったく異なる大きく強い身体を手に入れ、今も少しずつ進化を続けている。

「彼らはセルフコントロールの意識が高く、大きなケガも少ない。新入団選手の素晴らしいお手本になってくれています。ただしそれでも、体重が増えることを恐れている選手もまだいるのも確か。僕らの考えを、もっとしっかりと伝えなくてはいけません。
そもそもいわきFCは『日本のフィジカルスタンダードを変える』というスローガンを掲げ、どのサッカーチームもやったことのない本格的な身体作りに取り組んでいる。だからこそ、このチームに入るならそこにコミットしてもらう必要がある。そして選手も自分の殻を破り、ひと回りスケールの大きな選手に成長してほしい。そのための行動変容を起こさせることも、僕らの大切な仕事だと考えています。
2020年は骨格筋量をポジション別でパーソナライズしてもいいと考えています。サッカーではある程度、ポジションによる体型の違いがあり、必ずしも全ポジションの選手が同じ考えのもとでトレーニングしなくてもいい。世界的には身長と体重のバランスも骨格筋量を見る一つの目安になっています。身長に対して体重がどれぐらいかなど、細かいデータも考慮して管理していくべきかと思います」

いわきFCの選手にとってのフィジカルとは 「魂の息吹くフットボール」を実現するために欠かせないものだ。圧倒的なパワーで日本のフィジカルスタンダードを変えるために、チームのトライ&エラーは、2020年も続いていく。

 

(終わり)

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ベータアラニンがなぜアスリートの疲労を軽減し、動き続ける持久力をもたらすのか。その正体を科学的見地から、圧倒的にわかりやすく解説する。 ー前編ー

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