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いわきFC

リスクを冒さぬ退屈な日本のサッカーを、圧倒的なパワーで変革する。いわきFCが巻き起こすフィジカル革命 ~その15 前編

リスクを冒さぬ退屈な日本のサッカーを、圧倒的なパワーで変革する。
いわきFCが巻き起こすフィジカル革命 ~その15 前編

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リスクを冒さぬ退屈な日本のサッカーを、圧倒的なパワーで変革する。いわきFCが巻き起こすフィジカル革命 ~その15 前編

リスクを冒さぬ退屈な日本のサッカーを、圧倒的なパワーで変革する。
いわきFCが巻き起こすフィジカル革命 ~その15 前編

いわきFCの2020年シ―ズンが終わった。今季、初の全国リーグであるJFL(日本フットボールリーグ)にチャレンジし、結果は6勝6敗3分け、勝ち点21で7位。参戦1年目としては上々の成績を収めたものの、Jリーグへの昇格はかなわなかった。

チームが創設された2016年以来、上位カテゴリーへの昇格を果たせなかった初めてのシーズン。その終盤戦を、チームはいかに戦ったのか。前編では、田村雄三監督に話を聞く。

 

■勝ち点を取れたゲームを立て続けに落とす。

新型コロナウィルス流行の影響で、今年のJFLは異例のシーズンとなった。

開幕が3月から7月に延期され、リーグ戦の第1節から第15節までが中止。第16節から第30節までの、16チーム1回戦総当たり方式に変更された。

開幕から6試合を消化した9月27日の第22節。いわきFCはJヴィレッジスタジアムに、同じ百年構想クラブであるFC大阪を迎え、持ち前の攻撃的なサッカーで3対2の勝利を挙げ、勝ち点13で3位につけた。

全15試合の短期決戦。J3への昇格条件は全16チーム中4位以内かつ、百年構想クラブの上位2チームに入ること。ここまでの歩みは、決して悪いものではなかった。

しかし10月に入り、チームは失速。鈴鹿ポイントゲッターズ、ソニー仙台FC、東京武蔵野シティFCに3連敗を喫してしまう。

ミスから失点し、守り切られた鈴鹿戦。相手チームの3倍のシュートを浴びせるも、決め切れなかった仙台戦、自陣に引きこもる相手を崩せず、セットプレーから失点した武蔵野戦。

いずれの試合も、力の差を見せつけられたゲームでは決してなかった。3連敗を振り返り、田村雄三監督は語る。

「どの試合も、ちょっとしたミスでやられている。それがサッカーなのですが、勝ち点を取れるゲームを立て続けに落としたのは間違いありません。

3連敗で痛感したのが、JFLの難しさでした。多くのチームがいわきFC前へのパワーを警戒し、フォーメーションやメンバー、戦い方を変え、引いて守ってカウンター、もしくはセットプレーでの得点を狙ってくる。

自分達のサッカーを捨て、自陣にこもってウチのよさを消すことに専念する。そんなチームが多いことはわかっていましたが、徹底具合は予想以上でした」

いわきFCはこの3連敗で、4位以内を争うJ3昇格レースから大きく後退。勝ち点を積み上げられず10位に沈んだ。

■自分達のサッカーができれば、どんなチームにも負けない。

しかし、ここからチームは覚醒する。

リーグ戦残り5試合。11月1日の第26節の相手はHonda FC。リーグ4連覇中の王者である。

試合は前半、Honda FCに1点を先制されるも巻き返し、後半からは持ち前の走力で圧倒。81分にMF日高大が同点ゴールを挙げ、引き分けに持ち込んだ。

「前半はHonda FCさんのプレッシャーを感じ、構えてしまい伸び伸びとプレーできなかった。相手を大きく思い過ぎていましたね。でも、慣れてきた後半はフィジカルの強さを見せることができ、上回ることができたと思います。

Honda FCさんを相手に真っ向勝負するチームは、今までJFLにほとんどありませんでした。でも今のいわきFCには、チャンピオンを相手に互角に戦うポテンシャルがある。選手達はこの試合で、自信をつけたはずです」

勢いに乗ったチームは、第27節の松江シティFC戦を3対1、第28節のMIOびわこ滋賀戦を3対0と圧倒。いずれの試合も、持ち前の走力を存分に発揮した堂々たる勝利だった。

 この2連勝で勝ち点20の6位。いわきFCは再び、昇格争いへと返り咲いた。残りは2試合。昇格するにはいずれも勝つしかない。そんな開き直りと、自分達のサッカーさえできればどんなチームにも決して負けない。その自信がチームを勢いづけた。

だが、事はそう簡単に運ばない。

第29節の相手は、勝ち点20で並び、得失点差でわずかに上回る7位ヴィアティン三重。J3昇格を争う百年構想クラブ同士が昇格をかけた1戦は、激しいものとなった。

試合は三重が11分に先制。いわきFCは走力で勝り始めた後半、セットプレーからDF小田島怜のゴールで追いつき1対1。その後も激しく攻め立てるもタイムアップ。両チームにとって非常に痛い引き分けだった。

そして、翌週行われた最終節・アウェーのテゲバジャーロ宮崎戦。試合は宮崎が前半28分に先制し、後半にも2ゴール。いわきFCは0対3で敗れた。

こうして、いわきFCのJFL1年目のシーズンは、6勝6敗3分けの勝ち点21、全16チーム中7位で閉幕した。

東北社会人1部リーグから昇格した1年目の成績としては、決して悪いものではない。だが、2016年のチーム創設以来、上位カテゴリーへの昇格を果たせずに終わった初のシーズンであり、J3昇格圏内の4位Honda FCとの勝ち点差はわずか1。

「あと1勝」に泣く悔しい結果だった。

■自分達のスタイルを捨てて昇格することに意義はあるのか。

2020年のJFLを制したのはヴェルスパ大分。そして、最終節で戦ったテゲバジャーロ宮崎が、J3への切符をつかんだ。

0対3で敗れたテゲバジャーロ宮崎との最終戦について、田村監督は複雑な胸中を明かす。

「1点を先制された時点で、勝つためには2点を取りに行かねばならない。選手達がアグレッシブに前へ出たことが、点差がついた理由です。決して、点差ほどの力の差があったわけではない。

皆さんに問いかけたいことがあります。もし宮崎戦でしっかり守って失点を防ぎ、相手が疲れた後半にカウンター一発で点を取って勝ち、昇格を決めたとしたら…。それは本当にハッピーな結果なのでしょうか? 

答えはわかりません。ただし僕は、いわきFCはどんな時も、攻撃的な戦い方を貫くべきだと考え、守って勝ちを狙うことはしませんでした。最後までアグレッシブに戦った選手達の姿を見て、ここまで5シーズン積み重ねてきたものが、根づきつつあることを実感できた。そんな最終戦でした」

田村監督はなぜそう考えたのか。フィジカル強化の側面からいわきFCの2020年を振り返り、理由を紐解いていこう。

■「魂の息吹くフットボール」を体現するために。

いわきFCは2016年の創設当初から「日本のフィジカルスタンダードを変える」というスローガンを掲げ、重点的に筋力トレーニングに取り組んでいる。

2017年からは、1日3時間×週4日×4週間ほど集中的に筋力トレーニングに打ち込む「鍛錬期」を年に数回設け、日本のサッカー選手の枠を大きく超える身体作りを目指してきた。

その方針は全国リーグ・JFLに昇格した今年も不変だ。1月に鍛錬期を設け、リーグ開幕後も週に一度、全員で筋力トレーニングを行った。いわきFCの選手が目指すプレースタイルを作り上げるために、筋力トレーニングは決して欠かせない要素だからだ。

幾度となく述べてきたことだが、いわきFCにとって最も大切なことは勝利ではない。そして、Jリーグ昇格も「目標」ではない。

いわきFCのクラブビジョンは、東日本大震災でダメージを負ったいわき市、そして双葉郡9町村の復興に貢献すること。つまり勝つこともJリーグ昇格も、スタジアムに熱狂空間を作り出し、復興のシンボルとなるための「手段」に過ぎない。

そして、ビジョンの実現のために掲げたプレースタイルが、90分間全力で走り続け、止まらない、倒れない「魂の息吹くフットボール」だ。

いわきFCは、ただ勝てばいい。Jリーグに昇格すればいい、というクラブではない。勝利や昇格以前に「魂の息吹くフットボール」によって、地域の人達に勇気を与える存在であらねばならない。

田村監督がテゲバジャーロ宮崎戦の戦い方について、複雑な胸中を明かした理由はそこにある。

では今シーズン、いわきFCは「魂の息吹くフットボール」を体現できたのか。

その答えを、後編で掘り下げていく。

後編に続く

 

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いわきFCの2020年シ―ズンが終わった。今季、初の全国リーグであるJFL(日本フットボールリーグ)にチャレンジし、結果は6勝6敗3分け、勝ち点21で7位。参戦1年目としては上々の成績を収めたものの、Jリーグへの昇格はかなわなかった。

チームが創設された2016年以来、上位カテゴリーへの昇格を果たせなかった初めてのシーズン。その終盤戦を、チームはいかに戦ったのか。前編では、田村雄三監督に話を聞く。

 

■勝ち点を取れたゲームを立て続けに落とす。

新型コロナウィルス流行の影響で、今年のJFLは異例のシーズンとなった。

開幕が3月から7月に延期され、リーグ戦の第1節から第15節までが中止。第16節から第30節までの、16チーム1回戦総当たり方式に変更された。

開幕から6試合を消化した9月27日の第22節。いわきFCはJヴィレッジスタジアムに、同じ百年構想クラブであるFC大阪を迎え、持ち前の攻撃的なサッカーで3対2の勝利を挙げ、勝ち点13で3位につけた。

全15試合の短期決戦。J3への昇格条件は全16チーム中4位以内かつ、百年構想クラブの上位2チームに入ること。ここまでの歩みは、決して悪いものではなかった。

しかし10月に入り、チームは失速。鈴鹿ポイントゲッターズ、ソニー仙台FC、東京武蔵野シティFCに3連敗を喫してしまう。

ミスから失点し、守り切られた鈴鹿戦。相手チームの3倍のシュートを浴びせるも、決め切れなかった仙台戦、自陣に引きこもる相手を崩せず、セットプレーから失点した武蔵野戦。

いずれの試合も、力の差を見せつけられたゲームでは決してなかった。3連敗を振り返り、田村雄三監督は語る。

「どの試合も、ちょっとしたミスでやられている。それがサッカーなのですが、勝ち点を取れるゲームを立て続けに落としたのは間違いありません。

3連敗で痛感したのが、JFLの難しさでした。多くのチームがいわきFC前へのパワーを警戒し、フォーメーションやメンバー、戦い方を変え、引いて守ってカウンター、もしくはセットプレーでの得点を狙ってくる。

自分達のサッカーを捨て、自陣にこもってウチのよさを消すことに専念する。そんなチームが多いことはわかっていましたが、徹底具合は予想以上でした」

いわきFCはこの3連敗で、4位以内を争うJ3昇格レースから大きく後退。勝ち点を積み上げられず10位に沈んだ。

■自分達のサッカーができれば、どんなチームにも負けない。

しかし、ここからチームは覚醒する。

リーグ戦残り5試合。11月1日の第26節の相手はHonda FC。リーグ4連覇中の王者である。

試合は前半、Honda FCに1点を先制されるも巻き返し、後半からは持ち前の走力で圧倒。81分にMF日高大が同点ゴールを挙げ、引き分けに持ち込んだ。

「前半はHonda FCさんのプレッシャーを感じ、構えてしまい伸び伸びとプレーできなかった。相手を大きく思い過ぎていましたね。でも、慣れてきた後半はフィジカルの強さを見せることができ、上回ることができたと思います。

Honda FCさんを相手に真っ向勝負するチームは、今までJFLにほとんどありませんでした。でも今のいわきFCには、チャンピオンを相手に互角に戦うポテンシャルがある。選手達はこの試合で、自信をつけたはずです」

勢いに乗ったチームは、第27節の松江シティFC戦を3対1、第28節のMIOびわこ滋賀戦を3対0と圧倒。いずれの試合も、持ち前の走力を存分に発揮した堂々たる勝利だった。

 この2連勝で勝ち点20の6位。いわきFCは再び、昇格争いへと返り咲いた。残りは2試合。昇格するにはいずれも勝つしかない。そんな開き直りと、自分達のサッカーさえできればどんなチームにも決して負けない。その自信がチームを勢いづけた。

だが、事はそう簡単に運ばない。

第29節の相手は、勝ち点20で並び、得失点差でわずかに上回る7位ヴィアティン三重。J3昇格を争う百年構想クラブ同士が昇格をかけた1戦は、激しいものとなった。

試合は三重が11分に先制。いわきFCは走力で勝り始めた後半、セットプレーからDF小田島怜のゴールで追いつき1対1。その後も激しく攻め立てるもタイムアップ。両チームにとって非常に痛い引き分けだった。

そして、翌週行われた最終節・アウェーのテゲバジャーロ宮崎戦。試合は宮崎が前半28分に先制し、後半にも2ゴール。いわきFCは0対3で敗れた。

こうして、いわきFCのJFL1年目のシーズンは、6勝6敗3分けの勝ち点21、全16チーム中7位で閉幕した。

東北社会人1部リーグから昇格した1年目の成績としては、決して悪いものではない。だが、2016年のチーム創設以来、上位カテゴリーへの昇格を果たせずに終わった初のシーズンであり、J3昇格圏内の4位Honda FCとの勝ち点差はわずか1。

「あと1勝」に泣く悔しい結果だった。

■自分達のスタイルを捨てて昇格することに意義はあるのか。

2020年のJFLを制したのはヴェルスパ大分。そして、最終節で戦ったテゲバジャーロ宮崎が、J3への切符をつかんだ。

0対3で敗れたテゲバジャーロ宮崎との最終戦について、田村監督は複雑な胸中を明かす。

「1点を先制された時点で、勝つためには2点を取りに行かねばならない。選手達がアグレッシブに前へ出たことが、点差がついた理由です。決して、点差ほどの力の差があったわけではない。

皆さんに問いかけたいことがあります。もし宮崎戦でしっかり守って失点を防ぎ、相手が疲れた後半にカウンター一発で点を取って勝ち、昇格を決めたとしたら…。それは本当にハッピーな結果なのでしょうか? 

答えはわかりません。ただし僕は、いわきFCはどんな時も、攻撃的な戦い方を貫くべきだと考え、守って勝ちを狙うことはしませんでした。最後までアグレッシブに戦った選手達の姿を見て、ここまで5シーズン積み重ねてきたものが、根づきつつあることを実感できた。そんな最終戦でした」

田村監督はなぜそう考えたのか。フィジカル強化の側面からいわきFCの2020年を振り返り、理由を紐解いていこう。

■「魂の息吹くフットボール」を体現するために。

いわきFCは2016年の創設当初から「日本のフィジカルスタンダードを変える」というスローガンを掲げ、重点的に筋力トレーニングに取り組んでいる。

2017年からは、1日3時間×週4日×4週間ほど集中的に筋力トレーニングに打ち込む「鍛錬期」を年に数回設け、日本のサッカー選手の枠を大きく超える身体作りを目指してきた。

その方針は全国リーグ・JFLに昇格した今年も不変だ。1月に鍛錬期を設け、リーグ開幕後も週に一度、全員で筋力トレーニングを行った。いわきFCの選手が目指すプレースタイルを作り上げるために、筋力トレーニングは決して欠かせない要素だからだ。

幾度となく述べてきたことだが、いわきFCにとって最も大切なことは勝利ではない。そして、Jリーグ昇格も「目標」ではない。

いわきFCのクラブビジョンは、東日本大震災でダメージを負ったいわき市、そして双葉郡9町村の復興に貢献すること。つまり勝つこともJリーグ昇格も、スタジアムに熱狂空間を作り出し、復興のシンボルとなるための「手段」に過ぎない。

そして、ビジョンの実現のために掲げたプレースタイルが、90分間全力で走り続け、止まらない、倒れない「魂の息吹くフットボール」だ。

いわきFCは、ただ勝てばいい。Jリーグに昇格すればいい、というクラブではない。勝利や昇格以前に「魂の息吹くフットボール」によって、地域の人達に勇気を与える存在であらねばならない。

田村監督がテゲバジャーロ宮崎戦の戦い方について、複雑な胸中を明かした理由はそこにある。

では今シーズン、いわきFCは「魂の息吹くフットボール」を体現できたのか。

その答えを、後編で掘り下げていく。

後編に続く

 

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