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競技パフォーマンスUP

読売ジャイアンツの栄養サポ―ト 2021年シーズンを振りかえる

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読売ジャイアンツの栄養サポ―ト 2021年シーズンを振りかえる

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2021年2月、DNSはジャイアンツとオフィシャルニュートリションサプライヤー契約を締結した。ここでは、DNSがジャイアンツに派遣し栄養サポートを行う公認スポーツ栄養士・斉藤裕子が、選手達の食事情やスポーツ栄養にまつわるさまざまな情報をお伝えしていく。 

変わりつつある、選手達の食への意識。

長かったシーズンが終了しました。チームは優勝を逃してしまいましたが、個人的にはいろいろと収穫の多い年だったと思います。

私自身は2018年よりチームに常駐しており、その中で選手にいろいろと栄養の情報をお伝えしてきました。この少しずつの働きかけの成果といっていいものか、選手達の知識が非常に高くなっていると感じております。

新型コロナウィルスの影響が出て早2年。外食の機会がほとんどなくなってしまい、大切な楽しみの一つである食事の場をいかにストレスなく過ごしてもらうかを考えてきた日々でした。ただ私としては、ホテルでの食事が増えたことでメリットも感じられたのも確か。選手に食事を介して日頃の生活スタイルを振り返り、食事の知識や興味を持ってもらう機会が増え、選手それぞれの状況を細かく聞くこともできたと思います。

もしかすると外食ができない分、私に四六時中食事を監視されて嫌な面もあったかもしれません(笑)。でも「この食べ物はどう?」といった質問に答えたり「今の状態だったら、もう少しこんなものを入れるといいね」といったアドバイスもできました。また時には、選手自ら「これは大丈夫?」と選んだ食事を持って確認しに来ることも。食事の選び方にも変化が表れ、自身の身体のことを考えている様子を知れたのは収穫でした。

体重への意識も同様です。日頃選手には、体重や体脂肪を計測したかどうか、そして実際の数値を聞くことがよくあります。その中で、前回からの体重の変化とその理由を考えられる選手が増えてきています。多くの選手が、身体の変化に敏感になってきていると感じられました。

また、体重を計測していなかった選手に「測らなくてもだいたいの体重はわかる」と言われることもありました。この感覚が実際に正しいか否かは別として、重い、軽い、という身体の細かい変化がわかる選手が多いのは、やはり一流のアスリートだな、と感じる部分です。


食品それぞれのメリット、デメリットを知り、上手く活用し、量やタイミングを調整する。

また、外食ができずホテルで食事する機会が増えた分、少しでも食事という場を楽しく感じてもらえるよう、ホテルのスタッフの方々にいろいろとお願いもさせていただきました。コロナ対策のため提供に試行錯誤してくださりつつ、なるべく楽しく食事を摂ってもらえる環境作りにご協力いただき、感謝しています。夕食で特にお願いしたのが、可能な限りのライブでの提供です。目の前でメイン料理を調理していただくことで、選手達の五感を刺激し、食欲をそそるための試みでした。

その他、食事の場を楽しむための要素として、補食に活用できる和菓子類などを各球場でご用意いただいたりもしました。和菓子類はそれほど脂質を含まず、エネルギーを補給できるため、補食として手軽に食べられます。これが意外と好評でした。また、コーチの方からみたらし団子などの差し入れをいただくこともあり、ありがたく補食として活用させていただきました。

選手が練習している間に、ケータリング会場に補食が届けられることが多いのですが、練習の合間にこの補食類を見つけたときの選手の反応はさまざま。その場でアッという間に平らげる選手、「取っておいて」とお願いしてくる選手、「あとで食べよう」とロッカーにこっそりと持っていく選手など、人それぞれでした。どうしても早いもの勝ちになってしまいますので、こういうところからも選手の競争心のようなものがうかがえます。

「甘いもの=すべてNG」と思われる方も多いと思いますが、基本的に「絶対にNG」という食品はありません。選手には食品それぞれのメリット、デメリットを知り、上手く活用し、量やタイミングを調整する方法を伝えています。またポジションや年齢、体質やコンディションなどによって選手一人一人の状況は異なりますので、常にそれを確認しつつ、選手自身の体感も聞いて調整します。それぞれの経験と体感に基づいて次回の対策につなげてもらえるよう、日々アドバイスすることを心がけました。

環境と知識に経験や体感が加わり、選手の意識は変わっていく。

11月中はジャイアンツ球場で秋季練習が行われました。久しぶりに1軍選手達がジャイアンツ球場で練習を行いましたが、日頃ジャイアンツ球場で料理を提供している給食会社さんから「1軍選手はサラダもアラカルトもとにかくバランスよくしっかり食べていてほとんど残食がない。さすが1軍選手ですね。」という声が上がったほどです。

また1軍選手達に刺激を受けたのか、日頃あまり顔を合わせることのないファームの選手から質問をいただく場面が多くありました。同じチームにいても、1軍選手とファーム選手が顔を合わせる機会は少ないので、こういったタイミングで先輩方の取り組みを見て、自身のものにしてもらうことを期待しています。

整った食事環境があるからといって、選手達の意識が上がるわけではありません。環境と知識が合わさり、ここに自身の経験や体感が加わることで、ようやく選手一人ひとりのものにできる対策が確立されます。でも、長いシーズンを戦う選手達の環境は、常に同じではありません。状況が変わる中で常にパフォーマンスを発揮し続けなければならないのがプロスポーツの世界。これは技術や能力の向上と同じで、ちょこっと何かを実施したからよくなるものではありません。毎日のさまざまな努力と思考の繰り返しによって、いい時もあれば悪い時もある。それを常にいい状態に保つ努力を1年間続けてきた選手達に「お疲れ様でした」という言葉を送りつつ、来季、さらにステップアップするための取り組みを考えていきたいと思っています。



斉藤 裕子

斉藤 裕子 │ Hiroko Saito

管理栄養士、公認スポーツ栄養士、NSCA-CPT、教育学修士
実践女子大学卒業後、東京学芸大学大学院にて、スポーツバイオメカニクス・運動生理学を専攻。食品メーカーやスポーツアパレルメーカー所属の管理栄養士としてJリーグチームやラグビー、アメフト、自転車、ラクロス等様々なアスリートの試合帯同・栄養サポート、その他アーティストに対するライブに向けた栄養面からのサポートを経験。また、セミナーなどを通し、ジュニア世代から学生アスリートに対する選手育成を担当。2018年よりプロ野球チームに常駐し、パフォーマンスを栄養面から支える。

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2021年2月、DNSはジャイアンツとオフィシャルニュートリションサプライヤー契約を締結した。ここでは、DNSがジャイアンツに派遣し栄養サポートを行う公認スポーツ栄養士・斉藤裕子が、選手達の食事情やスポーツ栄養にまつわるさまざまな情報をお伝えしていく。 

変わりつつある、選手達の食への意識。

長かったシーズンが終了しました。チームは優勝を逃してしまいましたが、個人的にはいろいろと収穫の多い年だったと思います。

私自身は2018年よりチームに常駐しており、その中で選手にいろいろと栄養の情報をお伝えしてきました。この少しずつの働きかけの成果といっていいものか、選手達の知識が非常に高くなっていると感じております。

新型コロナウィルスの影響が出て早2年。外食の機会がほとんどなくなってしまい、大切な楽しみの一つである食事の場をいかにストレスなく過ごしてもらうかを考えてきた日々でした。ただ私としては、ホテルでの食事が増えたことでメリットも感じられたのも確か。選手に食事を介して日頃の生活スタイルを振り返り、食事の知識や興味を持ってもらう機会が増え、選手それぞれの状況を細かく聞くこともできたと思います。

もしかすると外食ができない分、私に四六時中食事を監視されて嫌な面もあったかもしれません(笑)。でも「この食べ物はどう?」といった質問に答えたり「今の状態だったら、もう少しこんなものを入れるといいね」といったアドバイスもできました。また時には、選手自ら「これは大丈夫?」と選んだ食事を持って確認しに来ることも。食事の選び方にも変化が表れ、自身の身体のことを考えている様子を知れたのは収穫でした。

体重への意識も同様です。日頃選手には、体重や体脂肪を計測したかどうか、そして実際の数値を聞くことがよくあります。その中で、前回からの体重の変化とその理由を考えられる選手が増えてきています。多くの選手が、身体の変化に敏感になってきていると感じられました。

また、体重を計測していなかった選手に「測らなくてもだいたいの体重はわかる」と言われることもありました。この感覚が実際に正しいか否かは別として、重い、軽い、という身体の細かい変化がわかる選手が多いのは、やはり一流のアスリートだな、と感じる部分です。


食品それぞれのメリット、デメリットを知り、上手く活用し、量やタイミングを調整する。

また、外食ができずホテルで食事する機会が増えた分、少しでも食事という場を楽しく感じてもらえるよう、ホテルのスタッフの方々にいろいろとお願いもさせていただきました。コロナ対策のため提供に試行錯誤してくださりつつ、なるべく楽しく食事を摂ってもらえる環境作りにご協力いただき、感謝しています。夕食で特にお願いしたのが、可能な限りのライブでの提供です。目の前でメイン料理を調理していただくことで、選手達の五感を刺激し、食欲をそそるための試みでした。

その他、食事の場を楽しむための要素として、補食に活用できる和菓子類などを各球場でご用意いただいたりもしました。和菓子類はそれほど脂質を含まず、エネルギーを補給できるため、補食として手軽に食べられます。これが意外と好評でした。また、コーチの方からみたらし団子などの差し入れをいただくこともあり、ありがたく補食として活用させていただきました。

選手が練習している間に、ケータリング会場に補食が届けられることが多いのですが、練習の合間にこの補食類を見つけたときの選手の反応はさまざま。その場でアッという間に平らげる選手、「取っておいて」とお願いしてくる選手、「あとで食べよう」とロッカーにこっそりと持っていく選手など、人それぞれでした。どうしても早いもの勝ちになってしまいますので、こういうところからも選手の競争心のようなものがうかがえます。

「甘いもの=すべてNG」と思われる方も多いと思いますが、基本的に「絶対にNG」という食品はありません。選手には食品それぞれのメリット、デメリットを知り、上手く活用し、量やタイミングを調整する方法を伝えています。またポジションや年齢、体質やコンディションなどによって選手一人一人の状況は異なりますので、常にそれを確認しつつ、選手自身の体感も聞いて調整します。それぞれの経験と体感に基づいて次回の対策につなげてもらえるよう、日々アドバイスすることを心がけました。

環境と知識に経験や体感が加わり、選手の意識は変わっていく。

11月中はジャイアンツ球場で秋季練習が行われました。久しぶりに1軍選手達がジャイアンツ球場で練習を行いましたが、日頃ジャイアンツ球場で料理を提供している給食会社さんから「1軍選手はサラダもアラカルトもとにかくバランスよくしっかり食べていてほとんど残食がない。さすが1軍選手ですね。」という声が上がったほどです。

また1軍選手達に刺激を受けたのか、日頃あまり顔を合わせることのないファームの選手から質問をいただく場面が多くありました。同じチームにいても、1軍選手とファーム選手が顔を合わせる機会は少ないので、こういったタイミングで先輩方の取り組みを見て、自身のものにしてもらうことを期待しています。

整った食事環境があるからといって、選手達の意識が上がるわけではありません。環境と知識が合わさり、ここに自身の経験や体感が加わることで、ようやく選手一人ひとりのものにできる対策が確立されます。でも、長いシーズンを戦う選手達の環境は、常に同じではありません。状況が変わる中で常にパフォーマンスを発揮し続けなければならないのがプロスポーツの世界。これは技術や能力の向上と同じで、ちょこっと何かを実施したからよくなるものではありません。毎日のさまざまな努力と思考の繰り返しによって、いい時もあれば悪い時もある。それを常にいい状態に保つ努力を1年間続けてきた選手達に「お疲れ様でした」という言葉を送りつつ、来季、さらにステップアップするための取り組みを考えていきたいと思っています。



斉藤 裕子

斉藤 裕子 │ Hiroko Saito

管理栄養士、公認スポーツ栄養士、NSCA-CPT、教育学修士
実践女子大学卒業後、東京学芸大学大学院にて、スポーツバイオメカニクス・運動生理学を専攻。食品メーカーやスポーツアパレルメーカー所属の管理栄養士としてJリーグチームやラグビー、アメフト、自転車、ラクロス等様々なアスリートの試合帯同・栄養サポート、その他アーティストに対するライブに向けた栄養面からのサポートを経験。また、セミナーなどを通し、ジュニア世代から学生アスリートに対する選手育成を担当。2018年よりプロ野球チームに常駐し、パフォーマンスを栄養面から支える。