競技パフォーマンスUP
いわきFCの選手たちが強靭な身体を作るために、DNSのプロテインやサプリメントを選び、愛飲するには“理由”があります。この連載では、選手たちが使用しているプロテイン・サプリメントにフォーカスし、その“理由”について掘り下げていきたいと思います。第3回は「ベータアラニン」を紹介します。
皆さんもご存知の通り、サッカーの試合は前後半45分ずつの90分です。キックオフから終了のホイッスルまで高いパフォーマンスを維持するためには、持久力をはじめとする様々な能力が求められます。特にいわきFCの選手には「魂の息吹くフットボール」を体現するため、非常にアグレッシブなプレーが求められます。ゴールを奪う、ゴールを守る、シュートを打つ、ボールを相手から奪うというフットボールの本質を押さえ、さらに、勇気を持って前に前にと進むことを繰り返します。一般的にJリーガーは一試合90分間で10km前後走ると言われていますが、試合中はただ走り続けるだけでなく、タイミングを見計らって短く速く走るスプリントを繰り返す必要があります。そしていわきFCは世界基準のフィジカルをスタンダードとし、観る者をワクワクさせる力強いプレースタイルを目指していることから、その選手たちには90分通して高いパフォーマンスを発揮し続けることが求められています。
選手たちはシーズンの始動からリーグ戦開幕までの間に(時には開幕してからも……)様々な栄養補給方法を試行錯誤し、その中で自分にとってベストなものを見つけていきます。
選手からよく相談されるのが、「試合前、何を摂ればよいか?」というものです。教科書的には「糖質と水分をしっかり摂り、脂質は控えよう」なので、プレマッチミールでは、おにぎりやバナナ、果汁100%のジュースを主にオススメしますが、選手よっては「米よりパンの方が力が出る」「おにぎりだと重い気がするからうどんがいい」「試合前はチョコレートを食べないと気合が入らない」、などなど様々なコメントが返ってきます。選手それぞれの課題が解決できるよう情報提供を行いつつ、実践への落とし込みへは選手自身にベストを見つけてもらえるよう働きかけています。
サプリメントの使用も同様です。試合前、糖質補給には「エナジーゼリー」、アミノ酸補給に「BCAA」や「ベータアラニン」、水分・糖質・電解質の補給に「R.E.D.」をオススメしていますが、ここも選手によって摂る内容やタイミングは微妙に変わってきます。今回はその中でもスターティングメンバーの多くが、試合前に使用している「ベータアラニン」を取り上げ、そもそもベータアラニンとは何か、なぜオススメしているのか、という点に絞ってご紹介したいと思います。
ベータアラニンとは、私たちが普段口にする多くの食品にも含まれているアミノ酸の一種で、骨格筋においてカルノシンと呼ばれる物質を作り出す材料として知られています。カルノシンには、スプリントのような高強度の運動時に乳酸が生成される過程で発生する、水素イオンによる酸化を中和する働きがあります。現在のスポーツ科学において、乳酸は運動時の直接的な疲労物質ではないと考えられているものの、乳酸の生成過程で発生する水素イオンによって引き起こされる筋肉のpH低下は筋収縮を妨げるため、筋疲労の要因になると考えられています。ですから、筋中のカルノシンが増加すれば運動中の筋肉のpH低下を防ぐことができるため、カルノシンによる中和作用は筋疲労を抑制すると同時に、持久力を高めることができると言われています(※1)。そのため、短いスプリントを繰り返すサッカー選手は、ベータアラニンを摂取することで特に大きな恩恵を受けられるわけです。
表1 利用可能な文献に基づく栄養補助食品の分類の概要 (※2)
具体的にはその効果として、「運動時間の持続、運動を反復できる回数の増加、トレーニングボリュームの増加などがもたらされる」とされています(※3)。このほか、国際オリンピック委員会(IOC)のサプリメントに関するコンセンサスにおいても、ベータアラニンの効果について、「30秒から10分の継続的、断続的な運動において、0.2%~3%のパフォーマンスの向上が見られた」と示されています(※4)。さらに、別の国際的なガイドライン(※5)においても、「パフォーマンス向上に強いエビデンスをもつサプリメントである」と示されています。
これら最新の文献からも、日々のトレーニングの質向上や90分間の試合の中で断続的にスプリントを繰り返すサッカーの選手に対してベータアラニンは有効であると期待でき、私たちDNSはいわきFCの選手たちにベータアラニンをオススメしています。
いわきFCは全34試合のJ3リーグの2022シーズン前半戦17試合を11勝4分2敗の首位で折り返しました。。試合後半に体力が衰えることなく、高い強度で最後まで戦い続けられている証と言えるでしょう。今後、ベータアラニンは日本でもアスリートを支えるスポーツサプリメントの新常識となっていくことを期待しています。
栄養士
東京農業大学卒業。2017年株式会社ドーム入社後、サプリメント事業部、ドームアスリートハウスを経て、2020年より株式会社DNS OMO Div兼マーケティングDivに所属。アスリートや健康の保持・増進を目指す方への食事指導のほか、自社ブランドサイトにて、チーム帯同レポートや食事コンテンツに関わる記事執筆を行う。チームサポートではいわきFCを担当。自身も5歳から少林寺拳法に打ち込む現役アスリート。一児の母として、子育てにも奮闘中。
いわきFCの選手たちが強靭な身体を作るために、DNSのプロテインやサプリメントを選び、愛飲するには“理由”があります。この連載では、選手たちが使用しているプロテイン・サプリメントにフォーカスし、その“理由”について掘り下げていきたいと思います。第3回は「ベータアラニン」を紹介します。
皆さんもご存知の通り、サッカーの試合は前後半45分ずつの90分です。キックオフから終了のホイッスルまで高いパフォーマンスを維持するためには、持久力をはじめとする様々な能力が求められます。特にいわきFCの選手には「魂の息吹くフットボール」を体現するため、非常にアグレッシブなプレーが求められます。ゴールを奪う、ゴールを守る、シュートを打つ、ボールを相手から奪うというフットボールの本質を押さえ、さらに、勇気を持って前に前にと進むことを繰り返します。一般的にJリーガーは一試合90分間で10km前後走ると言われていますが、試合中はただ走り続けるだけでなく、タイミングを見計らって短く速く走るスプリントを繰り返す必要があります。そしていわきFCは世界基準のフィジカルをスタンダードとし、観る者をワクワクさせる力強いプレースタイルを目指していることから、その選手たちには90分通して高いパフォーマンスを発揮し続けることが求められています。
選手たちはシーズンの始動からリーグ戦開幕までの間に(時には開幕してからも……)様々な栄養補給方法を試行錯誤し、その中で自分にとってベストなものを見つけていきます。
選手からよく相談されるのが、「試合前、何を摂ればよいか?」というものです。教科書的には「糖質と水分をしっかり摂り、脂質は控えよう」なので、プレマッチミールでは、おにぎりやバナナ、果汁100%のジュースを主にオススメしますが、選手よっては「米よりパンの方が力が出る」「おにぎりだと重い気がするからうどんがいい」「試合前はチョコレートを食べないと気合が入らない」、などなど様々なコメントが返ってきます。選手それぞれの課題が解決できるよう情報提供を行いつつ、実践への落とし込みへは選手自身にベストを見つけてもらえるよう働きかけています。
サプリメントの使用も同様です。試合前、糖質補給には「エナジーゼリー」、アミノ酸補給に「BCAA」や「ベータアラニン」、水分・糖質・電解質の補給に「R.E.D.」をオススメしていますが、ここも選手によって摂る内容やタイミングは微妙に変わってきます。今回はその中でもスターティングメンバーの多くが、試合前に使用している「ベータアラニン」を取り上げ、そもそもベータアラニンとは何か、なぜオススメしているのか、という点に絞ってご紹介したいと思います。
ベータアラニンとは、私たちが普段口にする多くの食品にも含まれているアミノ酸の一種で、骨格筋においてカルノシンと呼ばれる物質を作り出す材料として知られています。カルノシンには、スプリントのような高強度の運動時に乳酸が生成される過程で発生する、水素イオンによる酸化を中和する働きがあります。現在のスポーツ科学において、乳酸は運動時の直接的な疲労物質ではないと考えられているものの、乳酸の生成過程で発生する水素イオンによって引き起こされる筋肉のpH低下は筋収縮を妨げるため、筋疲労の要因になると考えられています。ですから、筋中のカルノシンが増加すれば運動中の筋肉のpH低下を防ぐことができるため、カルノシンによる中和作用は筋疲労を抑制すると同時に、持久力を高めることができると言われています(※1)。そのため、短いスプリントを繰り返すサッカー選手は、ベータアラニンを摂取することで特に大きな恩恵を受けられるわけです。
表1 利用可能な文献に基づく栄養補助食品の分類の概要 (※2)
具体的にはその効果として、「運動時間の持続、運動を反復できる回数の増加、トレーニングボリュームの増加などがもたらされる」とされています(※3)。このほか、国際オリンピック委員会(IOC)のサプリメントに関するコンセンサスにおいても、ベータアラニンの効果について、「30秒から10分の継続的、断続的な運動において、0.2%~3%のパフォーマンスの向上が見られた」と示されています(※4)。さらに、別の国際的なガイドライン(※5)においても、「パフォーマンス向上に強いエビデンスをもつサプリメントである」と示されています。
これら最新の文献からも、日々のトレーニングの質向上や90分間の試合の中で断続的にスプリントを繰り返すサッカーの選手に対してベータアラニンは有効であると期待でき、私たちDNSはいわきFCの選手たちにベータアラニンをオススメしています。
いわきFCは全34試合のJ3リーグの2022シーズン前半戦17試合を11勝4分2敗の首位で折り返しました。。試合後半に体力が衰えることなく、高い強度で最後まで戦い続けられている証と言えるでしょう。今後、ベータアラニンは日本でもアスリートを支えるスポーツサプリメントの新常識となっていくことを期待しています。
栄養士
東京農業大学卒業。2017年株式会社ドーム入社後、サプリメント事業部、ドームアスリートハウスを経て、2020年より株式会社DNS OMO Div兼マーケティングDivに所属。アスリートや健康の保持・増進を目指す方への食事指導のほか、自社ブランドサイトにて、チーム帯同レポートや食事コンテンツに関わる記事執筆を行う。チームサポートではいわきFCを担当。自身も5歳から少林寺拳法に打ち込む現役アスリート。一児の母として、子育てにも奮闘中。