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なぜ4番は外国人ばかり? 

なぜ4番は外国人ばかり?
"日本人よ、もっと鍛えよ!自らの身体に、圧倒的なフィジカルを搭載せよ!"

日本のスポーツの今後は、どうなってしまうのだろう...そう嘆かずにはいられない。先月末に開幕したプロ野球。開幕戦では12球団中7球団の4番打者が外国人選手だった。そして大相撲3月場所で優勝した鶴竜関が、横綱に昇進。これで、横綱はモンゴル人のみの3人となった。またJリーグも、チームの出来不出来は外国人次第である。

理由の一つが、フィジカルトレーニングに対する考え方が圧倒的に遅れていることだろう。それを象徴するのがMLBテキサス・レンジャーズのエースで、今年はサイ・ヤング賞獲得の期待がかかる、ダルビッシュ有選手のコメントだ。


「アメリカに行ってすごく感じるのが、フィジカルの差です。僕が一番問題だと思うのが、日本人がその差をわかっていないこと。他のメジャーに行った日本人選手とも話しますが、みんなが口をそろえて『ぜんぜん違うよね』と言います。メジャーと日本のプロ野球では、選手のフィジカルははっきり言って次元が違う。

本来、今はさまざまなトレーニングの情報が簡単に手に入ります。しかし日本の指導者はそれを見ていても、受け入れていない。それどころか『メジャーよりも日本の野球の方が繊細な技術があって優れているから、トレーニングも日本流でいい』という考えすらある。

でも、それは違う。技術も完全に飛び抜けたレベルならいいですが、日本とメジャーにそこまで技術の差はありません。少しぐらいの技術差なんて、パワーが圧倒的に違えばほとんど意味がありません。日本の指導者はその差を認め、中学生、高校生のうちから真剣にトレーニングに取り組まないと、日本のプロ野球のレベルがメジャーに追いつくことはないと思います」(2014年1月30日・ドーム本社にて収録)

この言葉は、日本のスポーツ界の現状を端的に表したものといっていい。

また今年、ジャパンラグビートップリーグと日本選手権の二冠を達成した、パナソニック ワイルドナイツのWTB、山田章仁選手のコメントも同様である。

「昨年、ニュージーランドでプレーした時に実感しました。向こうの選手のフィジカルは圧倒的なものがある。彼らは普段からのトレーニングで身に着けた筋力を、実際のプレーでもしっかりと発揮できている。

オーストラリアでもニュージーランドでも、ラグビー選手はみんな10代からハイレベルなフィジカルトレーニングに励んでいます。そして栄養摂取も、決して怠ることはありません。その部分は、日本と明らかな差があります」(2014年4月15日・ドームアスリートハウスにて収録)

では、なぜ欧米人にできて、日本人にできないのか。そしてなぜ、いつの間にかアジア人に追いつかれてしまったのか。ドームアスリートハウスGM・友岡和彦に、その理由と、われわれが今後すべきことについて話を聞いた。



「例えば欧米人と日本人に、生まれた時からの先天的なフィジカルの差はありません。だから日本人であっても、トレーニングと食生活によって大きく強くなれる可能性は無限にあります。日本人だから無理、ということを、決して考えてほしくありません。


では、何が現在の日本人と欧米人の体格差を作っているのか。その答えの一つとして、社会環境の明確な違いがあります。例えばイギリス人には、過酷な農作業で鍛えたナチュラルな体の強さがある。ロシアや東欧の国々などもそうですよね。また、もちろん食生活も身体の大きさやパワーに大きな影響を及ぼします。同じ東アジアでも、中国や韓国の人達は日本と比べて肉をよく食べるし、体がとても頑丈です。

つまり、大きくて強い体の選手を生み出す国々にはその理由となる社会環境があり、それが脈々と受け継がれてきたわけです。

社会環境の違いは、フィジカルトレーニングについても同様です。例えばアメリカでは、ウエイトトレーニングは文化の一つ。多くのハイスクールには専門のストレングスコーチやメディカルトレーナーが常駐し、授業でウエイトトレーニングが行われています。だから、例えばスポーツを職業としていないごく普通の若い女性がきれいなフォームでスクワットやスナッチ、クリーンをこなすような光景が、決して珍しくありません。

それに対して日本はどうでしょうか。本来ウエイトトレーニングが必要なはずの、高校生以降の環境は脆弱です。そして、指導者のトレーニングと栄養摂取に関する知識も、不十分と言わざるを得ません。

野球でもサッカーでもそうですが、日本のチームは若年層では世界レベルでいい成績を収めます。しかし10代後半以降になると、途端に勝てなくなる。そして年代が上になるほど、世界との差は広がっていきます。

なぜでしょうか。理由は明白です。

例えば野球でもサッカーでも、日本において選手への指導はその競技個別の技術を重視したもの。つまり「それぞれの競技が上手い」選手を育てるスタイルです。しかし10代後半以降は、トレーニングによって選手個人のフィジカルの差が明確に表れます。それなのに日本では『筋肉をつけると背が伸びなくなる』といった迷信が今もまかり通っている。トレーニングでフィジカルを向上させることがよしとされず、その競技特有の技術練習ばかりが行われているのが現状です。正しいトレーニングと栄養摂取が軽視され、フィジカルで劣っていることが一つの要因となり、世界大会では負けてしまうのです。

本来、人間が体得すべき運動能力は、年代によって微妙に異なります。まず小学生の間(7歳~12歳ごろ)は、外で遊ぶことで『スポーツの動き』を知り、アジリティ(敏捷性)を高めることが大事です。そして中学生の間(13~15歳ごろ)は、ランニングなどで持久力を高めることに適しており、自重を使ったトレーニングを行って、スポーツをする基礎となる筋力をつけていきます。そして成長が安定し、テストステロンの分泌が活発になる高校生の年代(16~18歳)からは、バーベルを使った筋力トレーニングをどんどん行い、プロテインなどのサプリメントも積極的に摂り、体を大きく、強くしていきます。

言わずもがなのスポーツ先進国・アメリカではこういった考え方がしっかりと確立されています。その上で子供達はさまざまなスポーツを体験することで、アスリートとしての大切な下地を築いていくのです。日本のように若年層から野球だけ、サッカーだけというように、特定の競技向けの技術ばかりを身につけさせ、特定競技ごとの選手を育てるのとは違います。アメリカでは重要視されているのは、高い能力を持ったアスリートを育てることなのです。

ただし、日本人にも優れた点はあります。それは『感じ取る力』。微細な感覚ですよね。これは世界一ではないかと思います。例えばダルビッシュ有投手は、指先の細かい感覚をとても大事にして、あれだけ多彩な変化球を投げ分けます。そして、自分の理想的なフォームに対する独特の感覚とチェックポイントを持ち、それを高い次元で自分なりの理論へと落とし込んでいる。

そういった日本人ならではのよさを生かしつつ、しっかりとした正しいフィジカルトレーニングを積む。そうすれば、日本人はどんなスポーツにおいても世界と互角に戦っていけるはずです。

ダルビッシュ有投手も、ウチにフィジカルトレーニングをしに来た最初のころは、あの身長にも関わらず体重は85kgぐらい。ウエイトトレーニングもほとんど行っていませんでした。身体能力全般についても、誰より優れたものを最初から持っていたわけでは決してありません。しかし、正しいトレーニングと適切な栄養摂取の重要性を知り、熱心に取り組んだことで、筋力が大幅にアップ。体もどんどん大きくなっていきました。そうやって身につけたパワーが、以前から持っていた『感じ取る力』と合体。結果、今や世界で5本の指に入るピッチャーへと成長したわけです。

大切なのは10代からの正しいフィジカルトレーニング、そして適切な栄養摂取によってしっかりと強い身体を作り、優れたアスリートとなることです。しかし、今の日本の指導者そして親には、そのための正しい知識がまだまだ欠けていると言わざるを得ません。少しでも日本のスポーツ界が発展し、日本の優れたアスリートが世界の壁を打ち破ってほしい。そのために、私達はこれからも啓蒙を続けたいと思っています」



野球人よ、いつまでもプロ野球の4番の座を外国人に奪われたままでいいのか?

崇高なる国技のトップが、全員外国人で本当にいいのか?

日本のアスリート達よ、そんな状況を悔しく思わないか?

もちろん、われわれは外国人の排斥を主張しているのでは決してない。プロ野球でも大相撲でもサッカーでも、外国人選手は決して欠かせない存在であり、彼らは日本のスポーツのレベルをさらなる高みへと引き上げてくれる。

この特集記事は、できることをしていない情けない日本人に対する提言であり、アジテーションだ。

極真空手の創始者・大山倍達総裁は「技は力の中にあり」という言葉を遺した。圧倒的なフィジカルは時として、小手先のテクニックをいとも簡単に無力化する。

もちろん、日本人固有の能力を軽視する必要はない。

指先、足先まで張り巡らせる細やかな身体感覚、たゆまぬ努力により体得した繊細なる技術と、しなやかで敏捷性あふれる身のこなし。そして、どんな逆境においても決して諦めない、誇り高きサムライの精神...。

これらを積み込んだ肉体に、もしも優れたフィジカルを上乗せすることができたら、いったいどんなことが起こるだろう?想像するだけで、われわれは胸の高鳴りを禁じ得ない。

だからこそ、声を大にして言いたい。

「日本人よ、勝ちたいならもっと鍛えよ! 鍛えて鍛えて、鍛えまくれ! そして自らの身体に、世界を圧倒するフィジカルを搭載せよ!」

そう。鍛えずして可能性を諦めるな。

日本人は絶対に、もっとできる。

前田成彦

前田成彦
DESIRE TO EVOLUTION編集長&株式会社オフィス221代表。 学生~社会人にてアメリカンフットボールを経験。自らがウォリアーたるべく昨年よりトレーニングを本格再開。夏までにベンチプレス130kg挙上を目指し、日々筋トレに励む。

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