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DNSが『インフォームドチョイス』を取得した理由

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DNSが『インフォームドチョイス』を取得した理由

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DNSは2016年7月をもって、すべての商品において公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構(JADA)認証プログラムの取得を終了。新プログラム「インフォームドチョイス」に移行した。なぜ、JADAの認証プログラム取得をストップし、新プログラムへと移行したのか。その背景について改めて説明したい。


■ 今、まさに、サプリメントの安全性が問われている

まずは残念な現状から。90年代の後半からサプリメントが要因となったドーピング違反が世界中で確認されている。例えば、2012年に英国内で陽性となったケースを調べると、そのうち44%の要因がサプリメントに含まれる禁止薬物だった。
つまり、サプリメントはアスリートにとって大きなリスクになり得る。そして今、まさに、サプリメントの安全性が問われている。

アンチ・ドーピングのルール上、アスリートは自らの身体に何を入れるのか、常に注意を払わねばならない。医薬品のみならず、食品であるサプリメントも同様だ。しかし現在、アンチ・ドーピングのルールにおける禁止物質は200種類以上。摂取しているサプリメントにそれらが含まれているかを判別するのは、多少の医学知識を持っている程度では難しい。
しかも注意せねばならないのが、悪意のあるメーカーが自社商品の性能を上げるため、ラベルに表記されていない禁止物質を混ぜるケースがあること。そういったサプリメントでアスリートが違反を犯すだけでなく、その選手に憧れて同じサプリメントを使用した人が、副作用で体調に異変をきたすような事件も報告されている。

つまりアスリートは自らの健康だけでなく、世間に対する影響も考え、身体に摂り入れるものを責任持って選ぶ義務がある。禁止物質を摂取して「知らなかった」では決してすまされない。自己責任ならば何を摂ってもいい、という考えはスポーツの存在をとがめ、自らのみならず、自らに憧れる存在の健康すら破壊しかねない。

つまり、アスリートが摂るべきなのは、「アンチ・ドーピング分析機関による試験をクリアしている、品質的に間違いのないサプリメント」のみである。

■ 国内のサプリメント認証における問題点

オリンピックにおけるドーピング検査は、1968年に行われたグルノーブル五輪とメキシコシティ五輪よりスタートし、’76年のモントリオール五輪からアナボリックステロイド(筋肉増強剤)の検出が可能となった。そして’88年のソウル五輪で、陸上選手のベン・ジョンソンが摘発。世界に衝撃を与えた。
そして’90年代に入っても、ドーピングの蔓延は収まらなかった。「このままではフェアなスポーツの存在が危ぶまれる」と考えた国際オリンピック委員会(IOC)は1999年2月、「スポーツにおけるドーピング世界会議」を開催。当時は各競技団体がそれぞれの方法で行っていたドーピング検査のルールを統一。さらなる透明性を確保するため、第三者機関「世界アンチ・ドーピング機構(WADA)」が、同年に設立された。

その流れを汲んで2001年、日本に誕生したのが「日本アンチ・ドーピング機構(JADA)」だ。JADAはドーピング検査や教育・啓蒙活動など、国内のアンチドーピング活動を統括しており、その中の一貫として、WADAの定める禁止リストに抵触しない「認定商品」を定めた。
アスリートに対し、安心して使えるサプリメントを提示する。
その考え方自体は素晴らしい。アスリートに安心・安全を提供できるだけでなく、国内のアンチドーピング活動として、彼らの教育にもつながるだろう。しかしDNSとしては、残念ながらいくつかの問題点を指摘せざるを得ない。

まず一つが「サプリメントの認証を行うのは第三者機関であるべき」こと。現在、WADAが行っているのはドーピング検査の分析のみ。サプリメントの認証は利益相反となる可能性があり、透明性を損ねるため行っていない。つまり、サプリメントの認証はあくまで第三者機関が行うべきだ。
もう一つが、分析結果の開示がなされない「閉鎖的な運営」。どのような分析をどのような基準で行うか、というということも不明で、分析結果についても、メーカー側にはいっさい開示されない。また現状のプログラムには協賛金を支払っている限られたメーカー4社しか参入できないことも、閉鎖性を物語っている。
そして三つめが、現状の認証プログラムでは、認定商品の分析は認証取得時の一度しか行われないこと。本来は、定期的に厳密な検査を行うべきではないか。

DNSが2016年7月をもって、すべての商品においてJADAの認証プログラム取得を終了した背景には、上記の考えがある。

■ 導入の大きな決め手は、透明性の高さ

今回、DNSが新たに取得した認証プログラムが、LGC社の「インフォームドチョイス」だ。移行の決め手は①国際基準への転換②検査結果が公表され、どんなメーカーでも参入できるオープンな運営である。

インフォームドチョイス:http://informed-choice.org/

インフォームドチョイスとは、英国LGC社が運営する認証プログラム。世界アンチ・ドーピング機構(WADA)によって定められた禁止物質を検出するため、スポーツサプリメントの分析・検査・試験を行う、グローバルなリスク管理プログラムだ。

そしてLGCは、1842年の創業以来、生命科学に関する測定や試験を行うグローバル企業である。世界トップレベルのアンチドーピング分析機関で、50年にわたり、ドーピングの分析を行ってきた(2004年~2007年はWADAの定めるドーピング検査を分析する分析機関でもあったが、2007年以降はサプリメント分析に特化している)。サプリメント及び食品の分析に関しては最大手であり、2007年よりISO17025認定ラボにおいてインフォームドチョイスによるサプリメント分析プログラムを開始した。

インフォームドチョイスの認証を受けるためには、サプリメントの商品の分析のみならず、製造工場についても監査が必要だ。そして商品の分析と工場の監査の両方をクリアし、禁止物質の入っていない商品についてマークを付与。それをパッケージに掲出することが可能となる。また認証取得後も毎月1回、LGC社(日本では有限会社バイオヘルスリサーチリミテッドが代行)が市場に出回っている商品をランダムにピック。継続的に分析を行い、その結果はウェブ上で公表される。

そして、このインフォームドチョイスは原則、どのようなメーカーでも参入できる。しかしながら前述の通り、マークを付与される(認定される)かどうかは、厳密な分析をクリアする必要がある。そのため、おかしなメーカーの参入は事実上難しい。
この透明性の高さこそが、DNSがインフォームドチョイスを導入した最大の理由といえる。

現在、アンチドーピング精神に賛同する世界中のメーカーが採り入れているインフォームドチョイス。DNSは今後、LGC社と連携してクリーンな商品を開発し、アスリートの啓蒙に努めていく。そしてこのインフォームドチョイスを日本でさらに広めることで、真のクリーンなスポーツ界の実現を目指したい。




Text:
前田成彦
DESIRE TO EVOLUTION編集長(株式会社ドーム コンテンツ企画部所属)。学生~社会人にてアメリカンフットボールを経験。趣味であるブラジリアン柔術の競技力向上、そして学生時代のベンチプレスMAX超えを目標に奮闘するも、誘惑に負け続ける日々を送る。お気に入りのマッスルメイトはホエイSP。

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DNSは2016年7月をもって、すべての商品において公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構(JADA)認証プログラムの取得を終了。新プログラム「インフォームドチョイス」に移行した。なぜ、JADAの認証プログラム取得をストップし、新プログラムへと移行したのか。その背景について改めて説明したい。


■ 今、まさに、サプリメントの安全性が問われている

まずは残念な現状から。90年代の後半からサプリメントが要因となったドーピング違反が世界中で確認されている。例えば、2012年に英国内で陽性となったケースを調べると、そのうち44%の要因がサプリメントに含まれる禁止薬物だった。
つまり、サプリメントはアスリートにとって大きなリスクになり得る。そして今、まさに、サプリメントの安全性が問われている。

アンチ・ドーピングのルール上、アスリートは自らの身体に何を入れるのか、常に注意を払わねばならない。医薬品のみならず、食品であるサプリメントも同様だ。しかし現在、アンチ・ドーピングのルールにおける禁止物質は200種類以上。摂取しているサプリメントにそれらが含まれているかを判別するのは、多少の医学知識を持っている程度では難しい。
しかも注意せねばならないのが、悪意のあるメーカーが自社商品の性能を上げるため、ラベルに表記されていない禁止物質を混ぜるケースがあること。そういったサプリメントでアスリートが違反を犯すだけでなく、その選手に憧れて同じサプリメントを使用した人が、副作用で体調に異変をきたすような事件も報告されている。

つまりアスリートは自らの健康だけでなく、世間に対する影響も考え、身体に摂り入れるものを責任持って選ぶ義務がある。禁止物質を摂取して「知らなかった」では決してすまされない。自己責任ならば何を摂ってもいい、という考えはスポーツの存在をとがめ、自らのみならず、自らに憧れる存在の健康すら破壊しかねない。

つまり、アスリートが摂るべきなのは、「アンチ・ドーピング分析機関による試験をクリアしている、品質的に間違いのないサプリメント」のみである。

■ 国内のサプリメント認証における問題点

オリンピックにおけるドーピング検査は、1968年に行われたグルノーブル五輪とメキシコシティ五輪よりスタートし、’76年のモントリオール五輪からアナボリックステロイド(筋肉増強剤)の検出が可能となった。そして’88年のソウル五輪で、陸上選手のベン・ジョンソンが摘発。世界に衝撃を与えた。
そして’90年代に入っても、ドーピングの蔓延は収まらなかった。「このままではフェアなスポーツの存在が危ぶまれる」と考えた国際オリンピック委員会(IOC)は1999年2月、「スポーツにおけるドーピング世界会議」を開催。当時は各競技団体がそれぞれの方法で行っていたドーピング検査のルールを統一。さらなる透明性を確保するため、第三者機関「世界アンチ・ドーピング機構(WADA)」が、同年に設立された。

その流れを汲んで2001年、日本に誕生したのが「日本アンチ・ドーピング機構(JADA)」だ。JADAはドーピング検査や教育・啓蒙活動など、国内のアンチドーピング活動を統括しており、その中の一貫として、WADAの定める禁止リストに抵触しない「認定商品」を定めた。
アスリートに対し、安心して使えるサプリメントを提示する。
その考え方自体は素晴らしい。アスリートに安心・安全を提供できるだけでなく、国内のアンチドーピング活動として、彼らの教育にもつながるだろう。しかしDNSとしては、残念ながらいくつかの問題点を指摘せざるを得ない。

まず一つが「サプリメントの認証を行うのは第三者機関であるべき」こと。現在、WADAが行っているのはドーピング検査の分析のみ。サプリメントの認証は利益相反となる可能性があり、透明性を損ねるため行っていない。つまり、サプリメントの認証はあくまで第三者機関が行うべきだ。
もう一つが、分析結果の開示がなされない「閉鎖的な運営」。どのような分析をどのような基準で行うか、というということも不明で、分析結果についても、メーカー側にはいっさい開示されない。また現状のプログラムには協賛金を支払っている限られたメーカー4社しか参入できないことも、閉鎖性を物語っている。
そして三つめが、現状の認証プログラムでは、認定商品の分析は認証取得時の一度しか行われないこと。本来は、定期的に厳密な検査を行うべきではないか。

DNSが2016年7月をもって、すべての商品においてJADAの認証プログラム取得を終了した背景には、上記の考えがある。

■ 導入の大きな決め手は、透明性の高さ

今回、DNSが新たに取得した認証プログラムが、LGC社の「インフォームドチョイス」だ。移行の決め手は①国際基準への転換②検査結果が公表され、どんなメーカーでも参入できるオープンな運営である。

インフォームドチョイス:http://informed-choice.org/

インフォームドチョイスとは、英国LGC社が運営する認証プログラム。世界アンチ・ドーピング機構(WADA)によって定められた禁止物質を検出するため、スポーツサプリメントの分析・検査・試験を行う、グローバルなリスク管理プログラムだ。

そしてLGCは、1842年の創業以来、生命科学に関する測定や試験を行うグローバル企業である。世界トップレベルのアンチドーピング分析機関で、50年にわたり、ドーピングの分析を行ってきた(2004年~2007年はWADAの定めるドーピング検査を分析する分析機関でもあったが、2007年以降はサプリメント分析に特化している)。サプリメント及び食品の分析に関しては最大手であり、2007年よりISO17025認定ラボにおいてインフォームドチョイスによるサプリメント分析プログラムを開始した。

インフォームドチョイスの認証を受けるためには、サプリメントの商品の分析のみならず、製造工場についても監査が必要だ。そして商品の分析と工場の監査の両方をクリアし、禁止物質の入っていない商品についてマークを付与。それをパッケージに掲出することが可能となる。また認証取得後も毎月1回、LGC社(日本では有限会社バイオヘルスリサーチリミテッドが代行)が市場に出回っている商品をランダムにピック。継続的に分析を行い、その結果はウェブ上で公表される。

そして、このインフォームドチョイスは原則、どのようなメーカーでも参入できる。しかしながら前述の通り、マークを付与される(認定される)かどうかは、厳密な分析をクリアする必要がある。そのため、おかしなメーカーの参入は事実上難しい。
この透明性の高さこそが、DNSがインフォームドチョイスを導入した最大の理由といえる。

現在、アンチドーピング精神に賛同する世界中のメーカーが採り入れているインフォームドチョイス。DNSは今後、LGC社と連携してクリーンな商品を開発し、アスリートの啓蒙に努めていく。そしてこのインフォームドチョイスを日本でさらに広めることで、真のクリーンなスポーツ界の実現を目指したい。