Dr.'s Eye

Dr.'s Eye ~40万年で食と内臓は変化した? ─後編─

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~40万年で食と内臓は変化した? ─後編─

ヒトが活動するためのエネルギー源として重要なのがグルコース(ブドウ糖)という糖です。その証拠に、血中のグルコース(血糖)が少なくなったときに血糖を増加させるための機能(グルカゴン、アドレナリン、成長ホルモンなど)をヒトはいくつも備えていて、血糖が下がらないようにしています。

しかしながら、逆に血糖を下げる機能はインスリンというホルモンだけなのです。食後に血糖値が急激に高くなるとインスリンが分泌され、余分な血糖をグリコーゲンや脂肪に変換して体内にエネルギーを貯蔵します。

ヒトの進化の過程でいうと、食物供給が不規則だった6万年前から飢餓と飽食の繰り返しに耐え生き抜いた(適者生存)ヒトだけが子孫を残しているので、その様なメカニズムが今の我々に備えられているのは理にかなっています。

しかし、炭水化物や糖類の多い現代の食生活では、逆にその機能が肥満の原因になってしまっているのです。

では、そもそも肉食動物であるヒトの現代社会における食生活はどうなっているのでしょうか?

過去の国民健康・栄養調査の結果を見ると、日本人のたんぱく質摂取量は戦後の食糧難の時代から高度成長期に渡って増加しました。国民の生活が豊かになった証でもあります。

ところが、バブル崩壊後は終戦直後のレベルまで低下してしまいました。国民の経済状態とたんぱく質摂取量には相関性があるように見えます。

現代の資本主義社会において経済的に豊かになるということは、社会学的観点から「適者生存」という意味で「勝者」であるということでもあります。所得と食生活の関係を調べたのが平成26年の国民健康・栄養調査です。調査対象世帯の年間所得を200万円未満、200万円以上600万未満、600万以上の3群に分けて解析した結果、穀類(炭水化物)の摂取量は世帯所得が低い方が多く、野菜と肉の摂取量は世帯所得が高い方が多かったのです。喫煙率や肥満度を見ても所得が低い方が高くなっていました。

つまり、経済的に恵まれているヒトほど栄養や健康に気を使って自己管理ができているということになります。おそらく健康寿命も長くなり、より豊かな生活を送れることでしょう。

本来は野山を走り回って肉を食べていたヒトが40万年かけて進化しているなかで、近々の急激な生活の変化は不自然であるがゆえに生活習慣病というやっかいな病気を引き起こし、人類を脅かしています。

しかしながら、それ自体もダーウィンの進化論における自然選択の圧力であり、適者として生存して己の遺伝子を次世代に受け継ぐには、変化に流されないでヒト本来の生き方を貫くノウハウを備え付ける必要があると思います。

栄養・運動・健康に気を付けることは、その第一歩と言えるでしょう。

(終わり)

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