競技パフォーマンスUP

Part 17 「ファンクショナル・アイソメトリクス」

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Part 17 「ファンクショナル・アイソメトリクス」

Part 17 「ファンクショナル・アイソメトリクス」

前回ご紹介した「アイソメトリクス」。近年になって、これを発展させた方法が編み出されてきました。
そこで、普通のウェイトトレーニングについて考えてみます。例として、バーベルカールを挙げましょう。バーをカールして持ち上げていく時、最初は軽く感じますが次第に重くなり、肘を直角に曲げた辺りで一番キツクなります。そこを越えるとだんだん軽くなり、肘を曲げきる辺りでは余裕を持って行うことができるようになります。
これはすなわち、普通のトレーニング(アイソトニックス)では、関節角度全域に渡って100%の力を出し切っているわけではない、ということを示します。そのため、トレーニングマシンを使ったり、パーシャルレンジの動作を行ったり、ストレッチ系やコントラクト系のエクササイズを組み合わせたりする必要が生じてくるのです。 しかしアイソメトリクスでは、動作中ずっと100%の力を発揮することができます。このメリットを普通のトレーニングに結びつけたものが、「ファンクショナル・アイソメトリクス」あるいは「アイソメトロニクス」と呼ばれる方法です。バーベルカールを例にとって、この方法をご紹介しましょう。

■ファンクショナル・アイソメトリクスのやり方

  • ・肘が伸びきった位置を、関節角度0度とする。そこから肘を135度曲げたところで、ストップするようにセーフティバーを設置する。あるいはパートナーに、その位置でバーを止めてもらうようにしても良い。
  • ・肘が伸びた状態から135度までの範囲で、パーシャルレンジ・バーベルカールを行う。これを6回ほど繰り返す。この時点で、限界に近くなるような重量を使うこと。
  • ・最後のレップ(7回目)で、バーがセーフティバーに当たったところ(関節角度135度)でアイソメトリクスを行う。ストッパーごと持ち上げるくらいの気持ちで思いっきり力を出し切ること。
  • ・3を6秒間続け、動作を終了する。これを1セット目とする。
  • ・2セット目。今度は関節角度90度(肘が直角)の位置にセーフティバーを設置する。以下同様に、6レップス行ったら7レップ目でアイソメトリクスを行う。
  • ・3セット目。関節角度45度の位置にストッパーを設置する。以下同様に、6レップス行ったら7レップ目でアイソメトリクスを行う。これで終了。
0度~135度での パーシャルレンジ・バーベルカール 135度でのアイソメトリクス
0度~135度での
パーシャルレンジ・バーベルカール
135度でのアイソメトリクス
>0度~90度でのパーシャルレンジ・バーベルカール 90度でのアイソメトリクス
0度~90度での
パーシャルレンジ・バーベルカール
90度でのアイソメトリクス
0度~45度でのパーシャルレンジ・バーベルカール 45度でのアイソメトリクス
0度~45度での
パーシャルレンジ・バーベルカール
45度でのアイソメトリクス

 

上記は一般的なファンクショナル・アイソメトリクスのやり方ですが、特に自分が弱い角度だけやるようにしても問題ありません。

■アイソメトリクス実施上の注意点

アイソメトリクスの注意点について列記します。

  • 呼吸を止めないこと。息を吸った状態で開始し、ゆっくりと小さく息を吐きながら行うようにする。
  • 必ず全力を出し切るようにすること。最後の数秒で力を抜いてしまったりしない。
  • 目的とする筋肉だけに力を入れるように心掛ける。バーベルカールなどではストッパーごと持ち上げるように意識するが、その時に肩の力を使って肘ごと挙げたりしないこと。また、動作中に身体を反らしたりせず、常に同じ姿勢を保つこと。
  • ・必ず軽い重量でウォームアップを行ってから、アイソメトリクスに移るようにする。

普通のウェイトトレーニングに親しんできた皆さんには馴染みが少ないかもしれませんが、アイソメトリクスには確かな効果があります。ぜひ一度お試しください。

 

(Part 16を読む)
(Part 18を読む)

 

 

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前回ご紹介した「アイソメトリクス」。近年になって、これを発展させた方法が編み出されてきました。
そこで、普通のウェイトトレーニングについて考えてみます。例として、バーベルカールを挙げましょう。バーをカールして持ち上げていく時、最初は軽く感じますが次第に重くなり、肘を直角に曲げた辺りで一番キツクなります。そこを越えるとだんだん軽くなり、肘を曲げきる辺りでは余裕を持って行うことができるようになります。
これはすなわち、普通のトレーニング(アイソトニックス)では、関節角度全域に渡って100%の力を出し切っているわけではない、ということを示します。そのため、トレーニングマシンを使ったり、パーシャルレンジの動作を行ったり、ストレッチ系やコントラクト系のエクササイズを組み合わせたりする必要が生じてくるのです。 しかしアイソメトリクスでは、動作中ずっと100%の力を発揮することができます。このメリットを普通のトレーニングに結びつけたものが、「ファンクショナル・アイソメトリクス」あるいは「アイソメトロニクス」と呼ばれる方法です。バーベルカールを例にとって、この方法をご紹介しましょう。

■ファンクショナル・アイソメトリクスのやり方

  • ・肘が伸びきった位置を、関節角度0度とする。そこから肘を135度曲げたところで、ストップするようにセーフティバーを設置する。あるいはパートナーに、その位置でバーを止めてもらうようにしても良い。
  • ・肘が伸びた状態から135度までの範囲で、パーシャルレンジ・バーベルカールを行う。これを6回ほど繰り返す。この時点で、限界に近くなるような重量を使うこと。
  • ・最後のレップ(7回目)で、バーがセーフティバーに当たったところ(関節角度135度)でアイソメトリクスを行う。ストッパーごと持ち上げるくらいの気持ちで思いっきり力を出し切ること。
  • ・3を6秒間続け、動作を終了する。これを1セット目とする。
  • ・2セット目。今度は関節角度90度(肘が直角)の位置にセーフティバーを設置する。以下同様に、6レップス行ったら7レップ目でアイソメトリクスを行う。
  • ・3セット目。関節角度45度の位置にストッパーを設置する。以下同様に、6レップス行ったら7レップ目でアイソメトリクスを行う。これで終了。
0度~135度での パーシャルレンジ・バーベルカール 135度でのアイソメトリクス
0度~135度での
パーシャルレンジ・バーベルカール
135度でのアイソメトリクス
>0度~90度でのパーシャルレンジ・バーベルカール 90度でのアイソメトリクス
0度~90度での
パーシャルレンジ・バーベルカール
90度でのアイソメトリクス
0度~45度でのパーシャルレンジ・バーベルカール 45度でのアイソメトリクス
0度~45度での
パーシャルレンジ・バーベルカール
45度でのアイソメトリクス

 

上記は一般的なファンクショナル・アイソメトリクスのやり方ですが、特に自分が弱い角度だけやるようにしても問題ありません。

■アイソメトリクス実施上の注意点

アイソメトリクスの注意点について列記します。

  • 呼吸を止めないこと。息を吸った状態で開始し、ゆっくりと小さく息を吐きながら行うようにする。
  • 必ず全力を出し切るようにすること。最後の数秒で力を抜いてしまったりしない。
  • 目的とする筋肉だけに力を入れるように心掛ける。バーベルカールなどではストッパーごと持ち上げるように意識するが、その時に肩の力を使って肘ごと挙げたりしないこと。また、動作中に身体を反らしたりせず、常に同じ姿勢を保つこと。
  • ・必ず軽い重量でウォームアップを行ってから、アイソメトリクスに移るようにする。

普通のウェイトトレーニングに親しんできた皆さんには馴染みが少ないかもしれませんが、アイソメトリクスには確かな効果があります。ぜひ一度お試しください。

 

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