競技パフォーマンスUP

Part33「スナッチグリップ・デッドリフト編」

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Part33「スナッチグリップ・デッドリフト編」

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フォーカスする筋:僧帽筋、大円筋、広背筋、脊柱起立筋群、大臀筋、ハムストリングス
機能:肩関節の伸展、肩甲骨の内転、股関節の伸展
フォーカスする筋:僧帽筋、大円筋、広背筋、脊柱起立筋群、大臀筋、ハムストリングス

身体の背面にある筋肉群は、「 走る 」「 跳ぶ 」「 投げる 」といった基本動作において大きな力や、スピードを発揮する源になります。また、ケガを予防したり、力をうまく伝えたりするために、「 正しい姿勢を保つ 」、という事にも関係します。すなわちパフォーマンスに直結する筋肉が多く、これらを鍛えることはアスリートにとって非常に重要です。
背面の筋肉を鍛えるためのエクササイズとしては、「 デッドリフト 」が代表的です。しかし体幹部の動きだけを見ると、デッドリフトはスクワットと似ている面が多く、使われる筋肉も重複しています。では、この二つのエクササイズの違いは、どこにあるのでしょうか。

■スクワットとデッドリフトの違い

バーを肩に担ぐスクワットと違い、デッドリフトはバーを腕で持つため、肩関節の伸展動作も関与してきます。またスクワットではしゃがむことにより、膝関節と股関節を両方とも大きな可動域で働かせることができますが、デッドリフトではプレートが床に触れてしまう関係で、膝関節と股関節ともに、スクワットほど大きな可動域で動かすことができません。
つまり言い換えると、デッドリフトは「 肩関節の伸展を伴うパーシャルスクワット(可動域を浅くしたスクワット) 」だと表現することができるでしょう。

■デッドリフトの可動域を広げるために

台の上に立って高い位置からバーを引く「デッドリフト・オン・ボックス」でしたら、股関節が十分に屈曲した位置から動作を行うことができます。

[ デッドリフト・オン・ボックスのスタート ]
[ デッドリフトオンボックスのフィニッシュ ]

ただしこの場合、通常のデッドリフトに比べて扱える重量がかなり低下してしまいます。股関節はフルに働きますので、ハムストリングスや大臀筋など下半身の筋力向上には役立ちますが、背中の筋群や、肩関節の伸展や肩甲骨の内転を強化するためには、負荷が弱すぎるかもしれません。
そこで今度は、肩関節の可動域を広げることを考えてみます。すなわち、ワイドグリップでバーを持つようにするのです。この場合、スタートポジションがウェイトリフティングのスナッチの場合と似ているため、ワイドグリップのデッドリフトのことを「 スナッチグリップ・デッドリフト 」と呼びます。

■スナッチグリップ・デッドリフトのメリット

スナッチグリップ・デッドリフトでは通常のデッドリフトに比べ、スタートポジションにおいて上腕が体幹から離れているため、肩関節の可動域が広がります。また伸展だけでなく肩関節および肩甲骨の内転動作も加わるため、僧帽筋を含めた背部全体の筋肉群に刺激を与えることができます。
動作終了時においては上腕を引きつける際、脇の部分が開いているため、通常のグリップよりもスムーズに引きつけることが可能となります。
さらにワイドで持つことにより、バーを保持する位置が自然と高くなります。そのためボックスの上に立たなくても、スタートポジションにおいて十分に股関節を屈曲させることが可能となるのです。

[スナッチグリップ・デッドリフトのスタート]
[スナッチグリップ・デッドリフトのフィニッシュ]
【▼参考動画】スナッチグリップ・デッドリフト

グリップ幅については、身長や腕の長さも関係してきますが、80㎝程度を目安に実施してみてください。手首が固くて動作が不快に感じられる場合は、もう少し狭くしてもかまいません。
スナッチグリップ・デッドリフトは、いわゆる「 Posterior Chain 」と呼ばれる 身体の背面にある筋肉を全体的にかなり強く刺激でき、効率的に発達させることができます。通常のデッドリフトやスクワットの強化にも役立ち、パフォーマンスの向上も見込めますので、ぜひ一度、トレーニングプログラムに採り入れてみてください。

 

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フォーカスする筋:僧帽筋、大円筋、広背筋、脊柱起立筋群、大臀筋、ハムストリングス
機能:肩関節の伸展、肩甲骨の内転、股関節の伸展
フォーカスする筋:僧帽筋、大円筋、広背筋、脊柱起立筋群、大臀筋、ハムストリングス

身体の背面にある筋肉群は、「 走る 」「 跳ぶ 」「 投げる 」といった基本動作において大きな力や、スピードを発揮する源になります。また、ケガを予防したり、力をうまく伝えたりするために、「 正しい姿勢を保つ 」、という事にも関係します。すなわちパフォーマンスに直結する筋肉が多く、これらを鍛えることはアスリートにとって非常に重要です。
背面の筋肉を鍛えるためのエクササイズとしては、「 デッドリフト 」が代表的です。しかし体幹部の動きだけを見ると、デッドリフトはスクワットと似ている面が多く、使われる筋肉も重複しています。では、この二つのエクササイズの違いは、どこにあるのでしょうか。

■スクワットとデッドリフトの違い

バーを肩に担ぐスクワットと違い、デッドリフトはバーを腕で持つため、肩関節の伸展動作も関与してきます。またスクワットではしゃがむことにより、膝関節と股関節を両方とも大きな可動域で働かせることができますが、デッドリフトではプレートが床に触れてしまう関係で、膝関節と股関節ともに、スクワットほど大きな可動域で動かすことができません。
つまり言い換えると、デッドリフトは「 肩関節の伸展を伴うパーシャルスクワット(可動域を浅くしたスクワット) 」だと表現することができるでしょう。

■デッドリフトの可動域を広げるために

台の上に立って高い位置からバーを引く「デッドリフト・オン・ボックス」でしたら、股関節が十分に屈曲した位置から動作を行うことができます。

[ デッドリフト・オン・ボックスのスタート ]
[ デッドリフトオンボックスのフィニッシュ ]

ただしこの場合、通常のデッドリフトに比べて扱える重量がかなり低下してしまいます。股関節はフルに働きますので、ハムストリングスや大臀筋など下半身の筋力向上には役立ちますが、背中の筋群や、肩関節の伸展や肩甲骨の内転を強化するためには、負荷が弱すぎるかもしれません。
そこで今度は、肩関節の可動域を広げることを考えてみます。すなわち、ワイドグリップでバーを持つようにするのです。この場合、スタートポジションがウェイトリフティングのスナッチの場合と似ているため、ワイドグリップのデッドリフトのことを「 スナッチグリップ・デッドリフト 」と呼びます。

■スナッチグリップ・デッドリフトのメリット

スナッチグリップ・デッドリフトでは通常のデッドリフトに比べ、スタートポジションにおいて上腕が体幹から離れているため、肩関節の可動域が広がります。また伸展だけでなく肩関節および肩甲骨の内転動作も加わるため、僧帽筋を含めた背部全体の筋肉群に刺激を与えることができます。
動作終了時においては上腕を引きつける際、脇の部分が開いているため、通常のグリップよりもスムーズに引きつけることが可能となります。
さらにワイドで持つことにより、バーを保持する位置が自然と高くなります。そのためボックスの上に立たなくても、スタートポジションにおいて十分に股関節を屈曲させることが可能となるのです。

[スナッチグリップ・デッドリフトのスタート]
[スナッチグリップ・デッドリフトのフィニッシュ]
【▼参考動画】スナッチグリップ・デッドリフト

グリップ幅については、身長や腕の長さも関係してきますが、80㎝程度を目安に実施してみてください。手首が固くて動作が不快に感じられる場合は、もう少し狭くしてもかまいません。
スナッチグリップ・デッドリフトは、いわゆる「 Posterior Chain 」と呼ばれる 身体の背面にある筋肉を全体的にかなり強く刺激でき、効率的に発達させることができます。通常のデッドリフトやスクワットの強化にも役立ち、パフォーマンスの向上も見込めますので、ぜひ一度、トレーニングプログラムに採り入れてみてください。

 

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