競技パフォーマンスUP

Part 64 爆発的に挙上しろ

Part 64 「 爆発的に挙上しろ 」

DESIRE TO EVOLUTION

競技パフォーマンスUP

Part 64 爆発的に挙上しろ

Part 64 「 爆発的に挙上しろ 」

目  的: 筋力向上、スピード向上パフォーマンスアップ
メリット: 効率的なトレーニング

「モーターユニット」という言葉がある。
これは1本の神経と、それが支配している筋繊維のことを指す。
そしてモーターユニットの数や1本の神経が支配している筋繊維の数は、筋肉の部位によって異なってくる。
例えば広頚筋のモーターユニット数は1096であり、1本の神経が支配する筋繊維数は25だ。
これに対して腓腹筋のモーターユニット数は579であり、1本の神経が支配する筋繊維数は1934となる。
一般に顔面や頸、指のように複雑な動きをする部位はモーターユニット数が多く、支配する筋繊維数は少なくなる。
逆に単純な動きをする部位はモーターユニット数が少なく、支配する筋繊維数が多くなる。
エクササイズについても同じことがいえる。

ベンチプレスやスクワットなどをフリーウェイトで行う場合は複雑な動きとなるため、動員されるモーターユニット数は多くなる。
逆にカーフレイズをマシンで行うような場合は単純な動きであるため、モーターユニットはあまり動員されない。
ウェイトトレーニングの効率を高めるためには、できるだけ多くの筋繊維を使うことが必要だ。多くのモーターユニットを動員できれば、それだけ多くの筋繊維を働かせることができる。そのためにはヘビーウェイトを用いることが重要だが、軽い重量でも多くのモーターユニットを動員させる方法がある。
それが「爆発的挙上」だ。一気にウェイトを持ち上げることで、多くのモーターユニットを動員することができるのだ。 (※1)

18~19歳のトレーニング経験のある若者20名を被験者として、3週間のベンチプレスを行わせた研究がある。
10名には爆発的に挙上するように伝え、残りの10名には自由に行わせた。
爆発的挙上グループは、平均0.8秒で挙上していた。下ろすときの速度は2秒。
自由に挙げたグループは平均1.3秒で挙上し、下ろすときの速度は1.5秒だった。
使用重量はどちらのグループも55%1RMであった。
このトレーニングを週2回行ったところ、爆発的挙上グループは10.2%の最大筋力向上と2.22%の最大速度向上が見られたのである。自由グループはどちらも向上が見られなかった。 (※2)

55%1RMという軽い重量でも、爆発的に挙げることで筋力が向上したのだ。
ヘビーにトレーニングしているが、なかなか筋力とスピードが高まらないと感じるウォリアーは、重量を軽くして爆発的に挙上するトレーニングを採り入れるといいかもしれない。

爆発的挙上は主に速筋繊維を刺激する。ということは、持久力系競技に効果はないのだろうか?
そうでもない。持久力系競技のアスリートが9週間にわたってさまざまなジャンプやレッグエクステンション、レッグプレスなどを爆発的に行ったところ、対照群と比較して5000mのランニングタイムが顕著に向上していたのだ。 (※3)

爆発的な挙上において、ケガをする危険性は高まるのであろうか。
それも心配ない。高齢女性を対象に行った研究で、12週間に渡って高重量・爆発的挙上タイプのエクササイズを行ったところ、安全に筋力を増加させることができている。 (※4)

また38名の老齢男女を対象に40%1RMでスピーディーに行う群と80%1RMで普通に行う群、対照群に分けて12週間のトレーニングを行ったところ、最大筋力とパワーの向上に違いはなかった。そしてピーク速度は40%1RMで行った群のほうが高まっていたという。 (※5)
スピーディーに行うこと自体はそれほどケガを誘発せず、使用重量が軽くなる分だけむしろ安全性は高まる。
普段とは違った刺激を与えることによって筋力とパワーを伸ばすだけでなく、スピードも高められるかもしれない。

「どうも最近伸び悩んでいる」というウォリアーは、試しに使用重量を軽くし、爆発的に挙げる期間を設けてみてはどうだろうか。

(Part 63を読む)
(Part を65読む)

 

【参考文献】

  • 1 :Ballistic movement: muscle activation and neuromuscular adaptation. Can J Appl Physiol. 1994 Dec;19(4):363-78.
  • 2 :Effect of different pushing speeds on bench press. Int J Sports Med. 2012 May;33(5):376-80. doi: 10.1055/s-0031-1299702. Epub 2012 Feb 8.
  • 3 :Explosive-strength training improves 5-km running time by improving running economy and muscle power. J Appl Physiol (1985). 1999 May;86(5):1527-33.
  • 4 :Explosive heavy‐resistance training in old and very old adults: changes in rapid muscle force, strength and power. Scandinavian journal of medicine & science in sports 18.6 (2008): 773-782.
  • 5 :A comparison of high-speed power training and traditional slow-speed resistance training in older men and women. J Strength Cond Res. 2010 Dec;24(12):3369-80. doi: 10.1519/JSC.0b013e3181f00c7c.
Share
twitter
facebook
印刷用ページへ

◆目的
筋力向上、スピード向上パフォーマンスアップ

◆メリット
効率的なトレーニング

「モーターユニット」という言葉がある。
これは1本の神経と、それが支配している筋繊維のことを指す。
そしてモーターユニットの数や1本の神経が支配している筋繊維の数は、筋肉の部位によって異なってくる。

例えば広頚筋のモーターユニット数は1096であり、1本の神経が支配する筋繊維数は25だ。
これに対して腓腹筋のモーターユニット数は579であり、1本の神経が支配する筋繊維数は1934となる。

一般に顔面や頸、指のように複雑な動きをする部位はモーターユニット数が多く、支配する筋繊維数は少なくなる。
逆に単純な動きをする部位はモーターユニット数が少なく、支配する筋繊維数が多くなる。

エクササイズについても同じことがいえる。

ベンチプレスやスクワットなどをフリーウェイトで行う場合は複雑な動きとなるため、動員されるモーターユニット数は多くなる。
逆にカーフレイズをマシンで行うような場合は単純な動きであるため、モーターユニットはあまり動員されない。

ウェイトトレーニングの効率を高めるためには、できるだけ多くの筋繊維を使うことが必要だ。多くのモーターユニットを動員できれば、それだけ多くの筋繊維を働かせることができる。そのためにはヘビーウェイトを用いることが重要だが、軽い重量でも多くのモーターユニットを動員させる方法がある。

それが「爆発的挙上」だ。一気にウェイトを持ち上げることで、多くのモーターユニットを動員することができるのだ。 (※1)

18~19歳のトレーニング経験のある若者20名を被験者として、3週間のベンチプレスを行わせた研究がある。
10名には爆発的に挙上するように伝え、残りの10名には自由に行わせた。

爆発的挙上グループは、平均0.8秒で挙上していた。下ろすときの速度は2秒。
自由に挙げたグループは平均1.3秒で挙上し、下ろすときの速度は1.5秒だった。
使用重量はどちらのグループも55%1RMであった。

このトレーニングを週2回行ったところ、爆発的挙上グループは10.2%の最大筋力向上と2.22%の最大速度向上が見られたのである。自由グループはどちらも向上が見られなかった。 (※2)

55%1RMという軽い重量でも、爆発的に挙げることで筋力が向上したのだ。
ヘビーにトレーニングしているが、なかなか筋力とスピードが高まらないと感じるウォリアーは、重量を軽くして爆発的に挙上するトレーニングを採り入れるといいかもしれない。

爆発的挙上は主に速筋繊維を刺激する。ということは、持久力系競技に効果はないのだろうか?
そうでもない。持久力系競技のアスリートが9週間にわたってさまざまなジャンプやレッグエクステンション、レッグプレスなどを爆発的に行ったところ、対照群と比較して5000mのランニングタイムが顕著に向上していたのだ。 (※3)

爆発的な挙上において、ケガをする危険性は高まるのであろうか。
それも心配ない。高齢女性を対象に行った研究で、12週間に渡って高重量・爆発的挙上タイプのエクササイズを行ったところ、安全に筋力を増加させることができている。 (※4)

また38名の老齢男女を対象に40%1RMでスピーディーに行う群と80%1RMで普通に行う群、対照群に分けて12週間のトレーニングを行ったところ、最大筋力とパワーの向上に違いはなかった。そしてピーク速度は40%1RMで行った群のほうが高まっていたという。 (※5)

スピーディーに行うこと自体はそれほどケガを誘発せず、使用重量が軽くなる分だけむしろ安全性は高まる。
普段とは違った刺激を与えることによって筋力とパワーを伸ばすだけでなく、スピードも高められるかもしれない。

「どうも最近伸び悩んでいる」というウォリアーは、試しに使用重量を軽くし、爆発的に挙げる期間を設けてみてはどうだろうか。

Mr.D

【参考文献】

  • 1 :Ballistic movement: muscle activation and neuromuscular adaptation. Can J Appl Physiol. 1994 Dec;19(4):363-78.
  • 2 :Effect of different pushing speeds on bench press. Int J Sports Med. 2012 May;33(5):376-80. doi: 10.1055/s-0031-1299702. Epub 2012 Feb 8.
  • 3 :Explosive-strength training improves 5-km running time by improving running economy and muscle power. J Appl Physiol (1985). 1999 May;86(5):1527-33.
  • 4 :Explosive heavy‐resistance training in old and very old adults: changes in rapid muscle force, strength and power. Scandinavian journal of medicine & science in sports 18.6 (2008): 773-782.
  • 5 :A comparison of high-speed power training and traditional slow-speed resistance training in older men and women. J Strength Cond Res. 2010 Dec;24(12):3369-80. doi: 10.1519/JSC.0b013e3181f00c7c.