競技パフォーマンスUP

超速チャージで差をつけろ ~水とミネラルと糖質

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超速チャージで差をつけろ ~水とミネラルと糖質

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もっと水を飲め!
ウォリアーの常識だ。
体内の水分が減れば心臓への血流が悪くなり、栄養や酸素の運搬もスムーズにいかなくなる。
一般的には、体重の1%の水が失われるとパフォーマンスの低下が起こり始め、2%が失われた時点で喉の渇きを覚え始める、とされている。
つまり、喉が渇いた時点で水を飲んでも、もう遅いのだ。
そして3%以上が失われるとパフォーマンスの低下が自覚できるようになり、集中力も低下する。


■自発的脱水とミネラルの必要性

水は必要だ。
しかし、「ただの水」では足りない。そこには「自発的脱水」という罠がある。
汗をかくと、ミネラルが流出する。
その状態で水を飲むと、体内のミネラル濃度が薄まってしまう。
そこで、水を汗や尿から排出してミネラル濃度を回復させようとする働きが起こる。これが「自発的脱水」である。

自発的脱水を防ぐためには、水だけでなく、ナトリウムやカリウム、マグネシウムなどのミネラルを含んだドリンクを飲むようにしたい。
なお日本体育協会のガイドラインでは「0.1~0.2%の食塩」が推奨されており、これをナトリウムに換算すると「100ml中に40~80mgのナトリウム」となる。

水とミネラルを補給しておけば、とりあえず運動を続けることは可能となる。
しかし、何かを忘れていないか?
そう、運動にはエネルギーが必要だ。
水もミネラルも、エネルギーを産み出すことはできない。
エネルギーを産み出すのは糖質と脂質、そしてたんぱく質だ。
ただし脂質は消化吸収に時間がかかる。残念ながら運動中のエネルギー補給には不向きだろう。
残るは糖質とたんぱく質だ。


■最適の糖質とは ~その量と種類

まずは糖質から考えよう。
運動中に糖質を含んだドリンクを飲むことで、血糖値の低下を抑えることができる。
それだけでなく、エネルギー産生が維持され、疲労に至るまでの時間を長くすることができる。 (※1)

運動中にドリンクを飲む場合、重要なのは「胃もたれしない」ことである。
胃もたれを防ぐためには、そのドリンクが「等張性」であることが必要となる。
等張性というのは、人間の身体の細胞と同じ浸透圧であるということだ。
同じ浸透圧だと、水は胃から小腸に移行しやすいのである。
ミネラルや糖質を配合することで、等張性のドリンクにすることが可能となる。

しかし小腸から水が吸収される際には、浸透圧は低い方が有利となる。
等張性よりも浸透圧が低いことを「低張性(hypotonic)」と呼ぶ。
「ただの水」は低張性なので、小腸においては等張性のドリンクよりも早く吸収されるのである。
つまり胃から小腸への移行だけでなく、小腸での吸収速度も考えると、「やや低張性」のドリンクがいい、ということになる。

ただし低張性とは、含まれる糖質の量も少ないということ。
それではエネルギー補給にならない。では、糖質量としてどれくらいの量を確保すればいいのだろうか。
血糖値を維持するためには、1時間当たり30~60gの糖質を補給すればよしとされる。 また糖質濃度が8%以下ならば、それほど胃もたれの心配もしなくていいようだ。 (※2)

次号では、糖質の種類と、運動中にたんぱく質を摂ることのメリットを解説していこう。

 

(後編に続く)

【参考文献】

  • 1 :Muscle glycogen utilization during prolonged strenuous exercise when fed carbohydrate. J Appl Physiol (1985). 1986 Jul;61(1):165-72.
  • 2 :Benefits of fluid replacement with carbohydrate during exercise. Med Sci Sports Exerc. 1992 Sep;24(9 Suppl):S324-30.
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もっと水を飲め!
ウォリアーの常識だ。
体内の水分が減れば心臓への血流が悪くなり、栄養や酸素の運搬もスムーズにいかなくなる。
一般的には、体重の1%の水が失われるとパフォーマンスの低下が起こり始め、2%が失われた時点で喉の渇きを覚え始める、とされている。
つまり、喉が渇いた時点で水を飲んでも、もう遅いのだ。
そして3%以上が失われるとパフォーマンスの低下が自覚できるようになり、集中力も低下する。


■自発的脱水とミネラルの必要性

水は必要だ。
しかし、「ただの水」では足りない。そこには「自発的脱水」という罠がある。
汗をかくと、ミネラルが流出する。
その状態で水を飲むと、体内のミネラル濃度が薄まってしまう。
そこで、水を汗や尿から排出してミネラル濃度を回復させようとする働きが起こる。これが「自発的脱水」である。

自発的脱水を防ぐためには、水だけでなく、ナトリウムやカリウム、マグネシウムなどのミネラルを含んだドリンクを飲むようにしたい。
なお日本体育協会のガイドラインでは「0.1~0.2%の食塩」が推奨されており、これをナトリウムに換算すると「100ml中に40~80mgのナトリウム」となる。

水とミネラルを補給しておけば、とりあえず運動を続けることは可能となる。
しかし、何かを忘れていないか?
そう、運動にはエネルギーが必要だ。
水もミネラルも、エネルギーを産み出すことはできない。
エネルギーを産み出すのは糖質と脂質、そしてたんぱく質だ。
ただし脂質は消化吸収に時間がかかる。残念ながら運動中のエネルギー補給には不向きだろう。
残るは糖質とたんぱく質だ。


■最適の糖質とは ~その量と種類

まずは糖質から考えよう。
運動中に糖質を含んだドリンクを飲むことで、血糖値の低下を抑えることができる。
それだけでなく、エネルギー産生が維持され、疲労に至るまでの時間を長くすることができる。 (※1)

運動中にドリンクを飲む場合、重要なのは「胃もたれしない」ことである。
胃もたれを防ぐためには、そのドリンクが「等張性」であることが必要となる。
等張性というのは、人間の身体の細胞と同じ浸透圧であるということだ。
同じ浸透圧だと、水は胃から小腸に移行しやすいのである。
ミネラルや糖質を配合することで、等張性のドリンクにすることが可能となる。

しかし小腸から水が吸収される際には、浸透圧は低い方が有利となる。
等張性よりも浸透圧が低いことを「低張性(hypotonic)」と呼ぶ。
「ただの水」は低張性なので、小腸においては等張性のドリンクよりも早く吸収されるのである。
つまり胃から小腸への移行だけでなく、小腸での吸収速度も考えると、「やや低張性」のドリンクがいい、ということになる。

ただし低張性とは、含まれる糖質の量も少ないということ。
それではエネルギー補給にならない。では、糖質量としてどれくらいの量を確保すればいいのだろうか。
血糖値を維持するためには、1時間当たり30~60gの糖質を補給すればよしとされる。 また糖質濃度が8%以下ならば、それほど胃もたれの心配もしなくていいようだ。 (※2)

次号では、糖質の種類と、運動中にたんぱく質を摂ることのメリットを解説していこう。

 

(後編に続く)

【参考文献】

  • 1 :Muscle glycogen utilization during prolonged strenuous exercise when fed carbohydrate. J Appl Physiol (1985). 1986 Jul;61(1):165-72.
  • 2 :Benefits of fluid replacement with carbohydrate during exercise. Med Sci Sports Exerc. 1992 Sep;24(9 Suppl):S324-30.