競技パフォーマンスUP

Part 77 マックスパワーを高める5/3/1法とは何か

Part 77 「マックスパワーを高める5/3/1法とは何か」

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Part 77 マックスパワーを高める5/3/1法とは何か

Part 77 「マックスパワーを高める5/3/1法とは何か」

  • 目  的:最大筋力向上、神経系の適応
  • メリット:安全に最大筋力を向上できる、プログラミングが容易

ベンチプレスで100kgを挙げるのが目標だ。今は80kgで3回が精いっぱい。ところで80kgで何回挙げられるようになれば、100kgを挙げられるのだろうか?
トレーニングを始めたばかりのとき、こんな疑問を抱いたことが誰にでもあるはずだ。

「RM換算表」というものがある。RMとはRepetition Maximumの略で、ギリギリ1回挙げられる重量を1RMとする。その80%の重量だったら、それを80%1RMと表す。このとき、80%1RMではギリギリ何回挙げることができるのか。60%1RMでは何回挙げられるのか。それを表にしたものを、RM換算表と呼ぶ。
もちろん個人差はあるが、大ざっぱに言ってベンチプレスの場合、80%1RMだと10回挙げることができる。そして90%1RMだと5回挙げることができる。スクワットやデッドリフトの場合、80%1RMだと8回挙げられ、90%1RMだと4回挙げられる。
速筋と遅筋の割合や神経系の発達度の違い、補助筋の筋力、神経伝達物質の状況など様々なファクターがこの換算に関係するが、一番大きいのは「慣れ」であろう。

普段から高回数でトレーニングしていると、いきなりMAXに挑戦しても挙げることはできない。心理的なハードルも高いだろう。逆に普段から高重量で行い、MAXにチャレンジしていると、換算表の重量よりも重い重量が挙がることがある。
しかし毎回MAXにチャレンジするのはオーバーワークにも繋がるし、ケガの危険性も高い。そこで徐々に高重量に慣らしていく「サイクルトレーニング」というテクニックが、パワーリフティングなどの世界で行われている。

■サイクルトレーニングの例 1RMが100kgの場合

1週目:80kg * 8回
2週目:82.5kg * 8回
3週目:85kg * 6回
4週目:87.5kg * 6回
5週目:90kg * 5回
6週目:92.5kg * 5回
7週目:97.5kg * 3回
8週目:100kg * 2回
9週目:マックスにチャレンジ。102.5kg~105kg。

このように何週間かかけて使用重量を増やしつつ、レップスを減らしていく。そしてワンサイクルで2.5~5%の重量アップを狙う。それが一般的なサイクルトレーニングだ。
ただしこの方法は重量やレップスの設定、トータルの期間の設定などに経験が必要となる。特に初心者は無理に重量を伸ばそうとして、いきなり最初の2~3週目でつまずいてしまったりするものだ。
そこでここ数年で流行り始めたテクニックが、パワーリフターのJim Wendlerが考察した「5/3/1法」である。これはBIG3(スクワットとベンチプレス、デッドリフト)を伸ばすための簡便なサイクルで、具体的には次のように行う。

■5/3/1法 ウォームアップは除く

1週目:65%/5, 75%/5, 85%/5
2週目:70%/3, 80%/3, 90%/3
3週目:75%/5, 85%/3, 95%/1
4週目:40%/5, 50%/5, 60%/5

5/3/1法においては、メインセットはすべて重量を増やしつつ行い、トータルで3セットを行う。1週目は5回3セット。2週目は3回3セット、そして3週目は5回→3回→1回となり、4週目は「デロード」として軽い重量で5回3セットを行う。
エクササイズはBIG3の他に、ミリタリープレスも行う。この4エクササイズを「コアリフト」とし、さらに追加でチンニングやディップスなども入れていく。
5週目からはベンチプレスとミリタリープレスは5ポンド(日本なら2.5kg)、スクワットとデッドは10ポンド(日本なら5kg)を当初の1RMに追加して計算する。これを継続することで、4週間につき2.5kg~5kgの向上が確実に期待できるとされている。

パッと見て、これでは楽過ぎると感じるウォリアーも多いだろう。しかしそれは違う。トレーニングは「やればやるほど良い」というものではない。何年にも渡って頑張ってトレーニングしているのに、身体もパワーもまったく変わっていないトレーニーをジムで見かけることはないか?
彼らはオーバーワークに陥っている可能性が高い。自らの身体を省みて「そういえば、ここ数年変わっていないかも…」と感じるようなら、ぜひこの5/3/1法を数カ月でいいので試してほしい。

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  • 目  的:最大筋力向上、神経系の適応
  • メリット:安全に最大筋力を向上できる、プログラミングが容易

ベンチプレスで100kgを挙げるのが目標だ。今は80kgで3回が精いっぱい。ところで80kgで何回挙げられるようになれば、100kgを挙げられるのだろうか?
トレーニングを始めたばかりのとき、こんな疑問を抱いたことが誰にでもあるはずだ。

「RM換算表」というものがある。RMとはRepetition Maximumの略で、ギリギリ1回挙げられる重量を1RMとする。その80%の重量だったら、それを80%1RMと表す。このとき、80%1RMではギリギリ何回挙げることができるのか。60%1RMでは何回挙げられるのか。それを表にしたものを、RM換算表と呼ぶ。
もちろん個人差はあるが、大ざっぱに言ってベンチプレスの場合、80%1RMだと10回挙げることができる。そして90%1RMだと5回挙げることができる。スクワットやデッドリフトの場合、80%1RMだと8回挙げられ、90%1RMだと4回挙げられる。
速筋と遅筋の割合や神経系の発達度の違い、補助筋の筋力、神経伝達物質の状況など様々なファクターがこの換算に関係するが、一番大きいのは「慣れ」であろう。

普段から高回数でトレーニングしていると、いきなりMAXに挑戦しても挙げることはできない。心理的なハードルも高いだろう。逆に普段から高重量で行い、MAXにチャレンジしていると、換算表の重量よりも重い重量が挙がることがある。
しかし毎回MAXにチャレンジするのはオーバーワークにも繋がるし、ケガの危険性も高い。そこで徐々に高重量に慣らしていく「サイクルトレーニング」というテクニックが、パワーリフティングなどの世界で行われている。

■サイクルトレーニングの例 1RMが100kgの場合

1週目:80kg * 8回
2週目:82.5kg * 8回
3週目:85kg * 6回
4週目:87.5kg * 6回
5週目:90kg * 5回
6週目:92.5kg * 5回
7週目:97.5kg * 3回
8週目:100kg * 2回
9週目:マックスにチャレンジ。102.5kg~105kg。

このように何週間かかけて使用重量を増やしつつ、レップスを減らしていく。そしてワンサイクルで2.5~5%の重量アップを狙う。それが一般的なサイクルトレーニングだ。
ただしこの方法は重量やレップスの設定、トータルの期間の設定などに経験が必要となる。特に初心者は無理に重量を伸ばそうとして、いきなり最初の2~3週目でつまずいてしまったりするものだ。
そこでここ数年で流行り始めたテクニックが、パワーリフターのJim Wendlerが考察した「5/3/1法」である。これはBIG3(スクワットとベンチプレス、デッドリフト)を伸ばすための簡便なサイクルで、具体的には次のように行う。

■5/3/1法 ウォームアップは除く

1週目:65%/5, 75%/5, 85%/5
2週目:70%/3, 80%/3, 90%/3
3週目:75%/5, 85%/3, 95%/1
4週目:40%/5, 50%/5, 60%/5

5/3/1法においては、メインセットはすべて重量を増やしつつ行い、トータルで3セットを行う。1週目は5回3セット。2週目は3回3セット、そして3週目は5回→3回→1回となり、4週目は「デロード」として軽い重量で5回3セットを行う。
エクササイズはBIG3の他に、ミリタリープレスも行う。この4エクササイズを「コアリフト」とし、さらに追加でチンニングやディップスなども入れていく。
5週目からはベンチプレスとミリタリープレスは5ポンド(日本なら2.5kg)、スクワットとデッドは10ポンド(日本なら5kg)を当初の1RMに追加して計算する。これを継続することで、4週間につき2.5kg~5kgの向上が確実に期待できるとされている。

パッと見て、これでは楽過ぎると感じるウォリアーも多いだろう。しかしそれは違う。トレーニングは「やればやるほど良い」というものではない。何年にも渡って頑張ってトレーニングしているのに、身体もパワーもまったく変わっていないトレーニーをジムで見かけることはないか?
彼らはオーバーワークに陥っている可能性が高い。自らの身体を省みて「そういえば、ここ数年変わっていないかも…」と感じるようなら、ぜひこの5/3/1法を数カ月でいいので試してほしい。