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体重・筋量UP

Part 82 効率的なレップス数とは

Part 82 「効率的なレップス数とは」

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Part 82 効率的なレップス数とは

Part 82 「効率的なレップス数とは」

  • 目  的:筋肥大・筋力向上の効率化
  • メリット:試行錯誤することなく最短距離で筋肥大・筋力向上を実現できる

初心者がスポーツクラブに入会すると、マニュアル化されたビギナー向けのトレーニングプログラムをやらされる。たいていは「ベンチプレスを10回3セット、スクワットを10回3セット・・」といったお決まりの内容だ。
なぜ10回なのか。なぜ3セットなのか。胸も脚も同じレップス、セット数で良いのだろうか。指導している側も、よくわかっていないことが多い。そこで今回は「効率的なレップス数」について考えてみよう。

■ウェイトトレーニングは無酸素運動である

スプリンターがマラソンランナーよりも筋肉量が多いことに異論のある人はいないだろう。筋肥大・筋力向上を実現するためのトレーニングとは有酸素運動ではなく、無酸素運動でなければならない。
つまり何百回もできるような軽い重量、運動強度では、筋肉は発達しない。100mダッシュに代表されるような、短時間で疲労困憊に陥るだけの重い重量、高い強度で行う必要があるのだ。
重い重量で行えば、必然的にレップスは少なくなる。これまで経験的に導き出されてきたのが、ギリギリ1回できる重量の70%以上は必要だという法則だ。この場合、10~15レップスが可能となる。「10回3セット」というのは、経験的に産み出されたプロトコルなのである。
ただし重量が重すぎて2~3レップスしかできないようだと、フォームが崩れて怪我をする危険性が高まる。また筋肉ではなく神経系の負担が高まるため、筋肉に十分な刺激を与えることができないとされる。
では何百レップスとはいかずとも、10~15レップスより多いレップスだと効果はないのだろうか。また2~3レップスで正しいフォームでやった場合も効果はないのだろうか。

■筋肉の形状の違い

筋肉は大きく「紡錘状筋(平行筋)」と「羽状筋」とに分けることができる。紡錘状筋は筋肉が長軸方向に対して並行かつ直線的に並んでおり、速いスピードで収縮することができる。代表的な紡錘状筋は上腕二頭筋や大胸筋である。

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対して羽状筋は筋肉が長軸方向に対して斜めに並んでおり、より多くの筋繊維を配置できる構造となっている。そのため、強いパワーを発揮することができる。代表的な羽状筋は上腕三頭筋や大腿四頭筋、腓腹筋である。
短い距離の動きで強いパワーを発揮する羽状筋は、高重量でのトレーニングに反応しやすいはずだ。逆に紡錘状筋は筋肉が大きなストロークで伸び縮みするため、軽めの重量でしっかりとストレッチ⇔収縮させるような動きを心がけると良いだろう。

■筋肉の性質の違い

筋肉は部位によって「速筋」が多い部位と「遅筋」が多い部位とに分けられる。速筋が多い部位の代表格は上腕三頭筋で、ある調査では上腕三頭筋の67.5%が速筋だったと言われている。速筋が多く、羽状筋である上腕三頭筋は高重量・低レップスのトレーニングがもっとも適していると言えるだろう。
逆に遅筋が多い部位の代表格がヒラメ筋で、87.7%が遅筋だったという報告もある。ただしヒラメ筋は羽状筋でもあり、必ずしも高レップスが適しているとは言えない。
もちろんこれらのデータは平均値であり、個体差は大きい。ヒトによっては上腕三頭筋でも遅筋が多かったり、ヒラメ筋であっても速筋が多かったりということもある。

■レップス数の比較研究では

大胸筋や上腕二頭筋などの紡錘状筋は軽めの重量、上腕三頭筋などの羽状筋は重い重量でと書いたが、本当にそうなのだろうか。
ベンチプレスを「75%1RMで10回3セット群」と「30%1RMで限界までを4セット群」とで比較した研究がある。その結果、大胸筋の筋肥大は30%1RM群のほうが大きく、上腕三頭筋の筋肥大は75%1RM群のほうが大きくなっていた1
またトレーニング経験者を対象に「8~12レップスで3セット群」と「25~35レップスで3セット群」で比較したところ、上腕二頭筋は25~35レップス群のほうが筋肥大し、上腕三頭筋は8~12レップス群のほうが筋肥大したという研究もある2
つまり大胸筋や上腕二頭筋は低重量ハイレップス、上腕三頭筋は高重量ローレップスが効果的だったわけである。
30%1RMとか25~35レップスとか聞くと、「本当にそんな低重量・ハイレップスで効果があるの?」とビックリするかもしれない。今までの常識からは考えられないことだが、最近の研究結果からして「筋肥大の効果はある」と断ぜざるを得ない。

脚の筋肉はどうか。トレーニング未経験者32名を対象にした研究で、レッグプレスとスクワット、レッグエクステンションを「3~5レップスで4セット、インターバル3分群」と「9~11レップスで3セット、インターバル2分群」、「20~28レップスで2セット、インターバル1分群」とで比較した。
その結果20~28レップス群のみ筋肥大効果が今ひとつで、3~5レップス群と9~11レップス群は同等の筋肥大効果があったとされている3
また全身の筋肉を対象に、2~4レップスで行った群と8~12レップスで行った群とに分けて8週間に渡りトレーニングさせて比較した研究では、2~4レップス群は筋力向上が著しく、8~12レップス群は筋肥大効果が高かったとされている4

こうしてみると、筋力向上に関してはどの部位においても高重量ローレップスである必要があると言えそうだ。筋肥大が目的なら紡錘状筋は軽めの重量でハイレップスも行うようにするといいだろう。

次回は「効率的なセット数」について考察していく。


参考文献

※1: Low-Load Bench Press Training to Fatigue Results in Muscle Hypertrophy Similar to High-Load Bench Press Training
International Journal of Clinical Medicine 4 (2): 114-121 2013 Feb

※2: Effects of Low- vs. High-Load Resistance Training on Muscle Strength and Hypertrophy in Well-Trained Men.
J Strength Cond Res. 2015 Oct;29(10):2954-63. doi: 10.1519/JSC.0000000000000958.

※3: Muscular adaptations in response to three different resistance-training regimens: specificity of repetition maximum training zones.
Eur J Appl Physiol. 2002 Nov;88(1-2):50-60. Epub 2002 Aug 15.

※4: Differential Effects of Heavy Versus Moderate Loads on Measures of Strength and Hypertrophy in Resistance-Trained Men.
J Sports Sci Med. 2016 Dec 1;15(4):715-722. eCollection 2016.

 

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初心者がスポーツクラブに入会すると、マニュアル化されたビギナー向けのトレーニングプログラムをやらされる。たいていは「ベンチプレスを10回3セット、スクワットを10回3セット・・」といったお決まりの内容だ。
なぜ10回なのか。なぜ3セットなのか。胸も脚も同じレップス、セット数で良いのだろうか。指導している側も、よくわかっていないことが多い。そこで今回は「効率的なレップス数」について考えてみよう。

■ウェイトトレーニングは無酸素運動である

スプリンターがマラソンランナーよりも筋肉量が多いことに異論のある人はいないだろう。筋肥大・筋力向上を実現するためのトレーニングとは有酸素運動ではなく、無酸素運動でなければならない。
つまり何百回もできるような軽い重量、運動強度では、筋肉は発達しない。100mダッシュに代表されるような、短時間で疲労困憊に陥るだけの重い重量、高い強度で行う必要があるのだ。
重い重量で行えば、必然的にレップスは少なくなる。これまで経験的に導き出されてきたのが、ギリギリ1回できる重量の70%以上は必要だという法則だ。この場合、10~15レップスが可能となる。「10回3セット」というのは、経験的に産み出されたプロトコルなのである。
ただし重量が重すぎて2~3レップスしかできないようだと、フォームが崩れて怪我をする危険性が高まる。また筋肉ではなく神経系の負担が高まるため、筋肉に十分な刺激を与えることができないとされる。
では何百レップスとはいかずとも、10~15レップスより多いレップスだと効果はないのだろうか。また2~3レップスで正しいフォームでやった場合も効果はないのだろうか。

■筋肉の形状の違い

筋肉は大きく「紡錘状筋(平行筋)」と「羽状筋」とに分けることができる。紡錘状筋は筋肉が長軸方向に対して並行かつ直線的に並んでおり、速いスピードで収縮することができる。代表的な紡錘状筋は上腕二頭筋や大胸筋である。

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対して羽状筋は筋肉が長軸方向に対して斜めに並んでおり、より多くの筋繊維を配置できる構造となっている。そのため、強いパワーを発揮することができる。代表的な羽状筋は上腕三頭筋や大腿四頭筋、腓腹筋である。
短い距離の動きで強いパワーを発揮する羽状筋は、高重量でのトレーニングに反応しやすいはずだ。逆に紡錘状筋は筋肉が大きなストロークで伸び縮みするため、軽めの重量でしっかりとストレッチ⇔収縮させるような動きを心がけると良いだろう。

■筋肉の性質の違い

筋肉は部位によって「速筋」が多い部位と「遅筋」が多い部位とに分けられる。速筋が多い部位の代表格は上腕三頭筋で、ある調査では上腕三頭筋の67.5%が速筋だったと言われている。速筋が多く、羽状筋である上腕三頭筋は高重量・低レップスのトレーニングがもっとも適していると言えるだろう。
逆に遅筋が多い部位の代表格がヒラメ筋で、87.7%が遅筋だったという報告もある。ただしヒラメ筋は羽状筋でもあり、必ずしも高レップスが適しているとは言えない。
もちろんこれらのデータは平均値であり、個体差は大きい。ヒトによっては上腕三頭筋でも遅筋が多かったり、ヒラメ筋であっても速筋が多かったりということもある。

■レップス数の比較研究では

大胸筋や上腕二頭筋などの紡錘状筋は軽めの重量、上腕三頭筋などの羽状筋は重い重量でと書いたが、本当にそうなのだろうか。
ベンチプレスを「75%1RMで10回3セット群」と「30%1RMで限界までを4セット群」とで比較した研究がある。その結果、大胸筋の筋肥大は30%1RM群のほうが大きく、上腕三頭筋の筋肥大は75%1RM群のほうが大きくなっていた1
またトレーニング経験者を対象に「8~12レップスで3セット群」と「25~35レップスで3セット群」で比較したところ、上腕二頭筋は25~35レップス群のほうが筋肥大し、上腕三頭筋は8~12レップス群のほうが筋肥大したという研究もある2
つまり大胸筋や上腕二頭筋は低重量ハイレップス、上腕三頭筋は高重量ローレップスが効果的だったわけである。
30%1RMとか25~35レップスとか聞くと、「本当にそんな低重量・ハイレップスで効果があるの?」とビックリするかもしれない。今までの常識からは考えられないことだが、最近の研究結果からして「筋肥大の効果はある」と断ぜざるを得ない。

脚の筋肉はどうか。トレーニング未経験者32名を対象にした研究で、レッグプレスとスクワット、レッグエクステンションを「3~5レップスで4セット、インターバル3分群」と「9~11レップスで3セット、インターバル2分群」、「20~28レップスで2セット、インターバル1分群」とで比較した。
その結果20~28レップス群のみ筋肥大効果が今ひとつで、3~5レップス群と9~11レップス群は同等の筋肥大効果があったとされている3
また全身の筋肉を対象に、2~4レップスで行った群と8~12レップスで行った群とに分けて8週間に渡りトレーニングさせて比較した研究では、2~4レップス群は筋力向上が著しく、8~12レップス群は筋肥大効果が高かったとされている4

こうしてみると、筋力向上に関してはどの部位においても高重量ローレップスである必要があると言えそうだ。筋肥大が目的なら紡錘状筋は軽めの重量でハイレップスも行うようにするといいだろう。

次回は「効率的なセット数」について考察していく。


参考文献

※1: Low-Load Bench Press Training to Fatigue Results in Muscle Hypertrophy Similar to High-Load Bench Press Training
International Journal of Clinical Medicine 4 (2): 114-121 2013 Feb

※2: Effects of Low- vs. High-Load Resistance Training on Muscle Strength and Hypertrophy in Well-Trained Men.
J Strength Cond Res. 2015 Oct;29(10):2954-63. doi: 10.1519/JSC.0000000000000958.

※3: Muscular adaptations in response to three different resistance-training regimens: specificity of repetition maximum training zones.
Eur J Appl Physiol. 2002 Nov;88(1-2):50-60. Epub 2002 Aug 15.

※4: Differential Effects of Heavy Versus Moderate Loads on Measures of Strength and Hypertrophy in Resistance-Trained Men.
J Sports Sci Med. 2016 Dec 1;15(4):715-722. eCollection 2016.

 

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