サプリメント最前線

ホエイプロテインの違いとは?

ホエイプロテインの違いとは?

最も効率よく筋肉を発達させるプロテイン、それはホエイプロテインだ。数々の研究がそれを如実に示している。

10週間に渡ってトレーニングし、同時にホエイあるいはカゼインを摂取したところ、ホエイ群のほうが除脂肪体重と筋力において大きな改善を示していた(※1)。また、トレーニング前にホエイプロテインを飲むことにより、筋肉を分解するコルチゾルを減らすことができ、同時にテストステロンのレベルが高くなった、という結果が報告されている。だが、大豆プロテインではこの作用は得られなかった(※2)。

また高齢者を対象に、135日間に渡ってホエイまたはカゼインを摂取しながらトレーニングしてもらったところ、やはりホエイの方が高い筋力向上効果を示している(※3)。ホエイとカゼイン、大豆プロテインを比較した研究でも、やはりホエイが最大の筋タンパク合成効果を示しているのである(※4)。

■WPC(Whey Protein Concentrate)

ホエイプロテインにはいくつかの種類がある。その中で最も市場に多く出回っているのが、WPC(Whey Protein Concentrate)だろう。日本語にすると「濃縮ホエイタンパク」となる。

ではWPCはどのようにして作られるのだろうか。

まずは牛乳を「カゼイン」と「カード」に分離させる。カゼインは牛乳に含まれるタンパク質の一種だが、消化吸収がゆっくりとなるため、一気に血中アミノ酸レベルを高めるのには向いていない。ゆっくりと消化吸収され、持続的にアミノ酸が放出されることから、カゼインは寝る前に飲むよう推奨されることが多い。そしてカードとは、凝乳すなわちヨーグルトのことだ。カードを酵素処理して水を抜いていくとチーズができるのだが、その抜かれた水にホエイが含まれている。

ヨーグルトのふたを開けると、上澄み液が見えるはずだ。それこそがホエイである。この上澄み液から水分を抜き、精製したものがWPCとなるわけだ。WPCのタンパク含有量は、平均して100gあたり70~80gである。

■WPI(Whey Protein Isolate)

WPCには乳糖や乳脂、灰分などが含まれるが、それらを取り除いてタンパク含有量をさらに高めたものがWPI(Whey Protein Isolate)である。日本語にすると「分離ホエイタンパク」。WPIのタンパク含有量は100gあたり90g以上にまで高まる。また精製度が高い分、WPCよりも消化吸収速度は早くなる。

なおWPC→WPIとする時の処理として、「フィルター膜処理」あるいは「イオン交換樹脂処理」などの方法がある。フィルター膜処理の方はタンパク質を低温で処理できるとメリットがあり、熱による変性の心配が少ない。しかし、余計なものを除去して純粋なタンパク質だけを取り出すという点では、イオン交換樹脂処理の方が優れている。タンパク含有率の高さを求める場合には、イオン交換樹脂処理が勝っているといえる。

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■WPCとWPIの違いとは

この通り、WPIの方がタンパク質としての純度は高い。しかし、そのための処理にコストがかかるため、一般的にはWPIはWPCよりも高価になる。安価にプロテインをガンガン飲むなら、WPCを優先させて考えたい。

ただしWPCにも問題がある。WPCには乳糖が多くの割合で残っているため、牛乳を飲むと下痢してしまう乳糖不耐性のウォリアーは、どうしてもお腹が緩くなったりガスが溜まったりしてしまう。その場合はWPI一択となる。

また厳しいダイエットを行っているウォリアーの場合も、乳糖や乳脂肪を避けて余計なカロリー摂取を防ぐため、WPIを選ぶようにした方がいいだろう。さらに吸収速度にこだわる場合も、WPIのほうがやや有利となる。WPCには微量ではあるが乳脂肪が残り、それが消化吸収を遅くしてしまうのだ。

なおホエイプロテインには、免疫グロブリンやラクトフェリンなど、免疫を向上させてくれるものが多く含まれている。しかし残念ながら、これらは加工によって壊されてしまう。そのため、ホエイプロテインによる免疫向上効果(※5、※6)を狙うのであれば、加工の少ないWPCを選択する方がいい、ということになろう。

ただしそうした免疫向上物質とは別に、WPCであれWPIであれ、アミノ酸の「システイン」は多く含まれている。システインはグルタチオンというタンパク質を体内で増やしてくれる作用を持っているのだが、これには活性酸素を除去したり、重金属を排出したり過酸化物を除去したりする機能がある。そのためWPCもWPIも、摂取することによって健康面における良い影響が期待できるはずだ。

なおWPIは純度が高い分、高価とは言っても、グラムあたりのタンパク質で計算してみると、実はWPCと比べてそれほど金額に違いはないことがある。WPCのタンパク含有率が70%で、WPIのタンパク含有率が91%だったとすると、WPIの金額が1.3倍になってちょうど同等になる。このあたりの計算も購入時には注意しておきたい。

■WPCとWPIの使い分けは

「1種類のプロテインだけだと味に飽きてしまう」と語るウォリアーも多い。その場合は飲むタイミングによってWPCとWPIを使い分け、ついでに味を変えるようにしてもいいだろう。

ホエイプロテインを飲む最初のタイミング、それは起床直後だ。就寝中は栄養補給ができないため、起床時の体内アミノ酸レベルは最低になっている。このままだと筋肉の分解が進んでしまうが、起きてすぐに朝食で十分なタンパク質を摂取できるウォリアーは数少ないだろう。

そのような場合は、迅速に血中アミノ酸レベルを高めてくれるWPIを起き抜けに一気に飲む。そして雑用を済ませて数十分したところで、ゆっくりと朝食でタンパク質を補給するのだ。そうすればWPIで高まり、血中アミノ酸レベルを持続的に高くキープすることが可能となる。

朝食と昼食の間、昼食と夕食の間など食間にホエイプロテインを飲む場合は、WPCで差し支えない。またトレーニング前に飲む場合も、WPCでいいだろう。ここではWPCに残っている乳糖、乳脂肪がむしろトレーニングのエネルギーになると、ポジティブに考えてみたい。

トレーニング後に飲むホエイプロテイン、これはできればWPIを選びたい。トレーニングで渇いた筋肉に、滞ることなくガッツリとタンパク質を注入してやるのだ。

寝る前のプロテイン、これはWPCで構わない。できればオリーブオイルやエゴマ油など、少量(5gくらい)の油と一緒に飲むようにすると、消化吸収がゆっくりとなり、就寝中のアミノ酸レベルを高い状態でキープすることができる。

プロテインは、ただ飲めば良いというわけではない。しっかりと状況や目的に応じて使い分け、最大の効果を得られるように見極めていきたい。

WPC使用プロテイン

WPI使用プロテイン







  • ※1:The effect of whey isolate and resistance training on strength, body composition, and plasma glutamine.
    Int J Sport Nutr Exerc Metab. 2006 Oct;16(5):494-509.
  • ※2:The effects of soy and whey protein supplementation on acute hormonal reponses to resistance exercise in men.
    J Am Coll Nutr. 2013;32(1):66-74. doi: 10.1080/07315724.2013.770648.
  • ※3:Effect of cysteine-rich whey protein (immunocal®) supplementation in combination with resistance training on muscle strength and lean body mass in non-frail elderly subjects: a randomized, double-blind controlled study.
    J Nutr Health Aging. 2015 May;19(5):531-6. doi: 10.1007/s12603-015-0442-y.
  • ※4:Ingestion of whey hydrolysate, casein, or soy protein isolate: effects on mixed muscle protein synthesis at rest and following resistance exercise in young men.
    J Appl Physiol (1985). 2009 Sep;107(3):987-92. doi: 10.1152/japplphysiol.00076.2009. Epub 2009 Jul 9.
  • ※5:Effect of whey protein isolate on intracellular glutathione and oxidant-induced cell death in human prostate epithelial cells.
    Toxicol In Vitro. 2003 Feb;17(1):27-33.
  • ※6:The influence of dietary whey protein on tissue glutathione and the diseases of aging.
    Clin Invest Med. 1989 Dec;12(6):343-9
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