体重・脂肪DOWN
目 的:バルクアップとダイエットの優先順位を決める
メリット:効率的にバルクアップとダイエットができる
体脂肪率が高いと、昔は見えていたはずの腹筋が懐かしくなる。一念発起してトレーニングしても、筋肉は順調に増えていくのに腹部は脂肪に隠れたまま。いつまで経っても腹筋が見えてこない。このようなトレーニーは多いはずだ。
トレーニングすれば代謝が上がって痩せやすくなるはずなのに、なかなか体脂肪率を減らすことができない。これはなぜだろうか。
筋肉は1kgあたり、1日に13kcalを消費するといわれている。これだけでは誤差の範囲内だ。しかし実際には除脂肪体重が1kg増えると、1日に28.5kcal多く消費されるようになる、と国立スポーツ科学センターが発表している。
また国立健康・栄養研究所の発表では、トレーニングで除脂肪体重が1kg増えると、基礎代謝は1日に50kcalほど増えるとされている。
筋肉が増える時は他の組織も増える。心臓や肝臓、腎臓などの内臓が増え、血管も増え、骨も強くなっていく。またノルアドレナリンなど消費カロリーを増やすホルモンの分泌も高まっていく。
また1日に13kcalというのは安静時の話である。日常生活で動き回り、トレーニングもすれば、消費カロリーは跳ね上がっていくだろう。
日本人の健康な男性52名を対象に、全身の代謝状態を調べた研究がある。それによると、体脂肪率が高い人はインスリンの働きが悪いことが判明した(※1)。
脂肪細胞からは、「アディポサイトカイン」と呼ばれる物質が出ている。これには善玉と悪玉があり、善玉にはアディポネクチンやレプチン、悪玉にはTNF-αやPAI-Ⅰなどがある。そして小型の脂肪細胞からは善玉が出るのだが、大型の脂肪細胞からは悪玉が出て、善玉の作用を抑えてしまう。善玉のアディポネクチンにはインスリンの働きを高める作用があり、悪玉のTNF-αにはインスリンの働きを悪くする作用がある。そのため、肥満によってインスリン感受性が低下してしまうのだ。また脂肪細胞が容量オーバーとなると、脂肪酸が細胞の外にあふれ出して、本来なら体脂肪が溜まらない場所(筋肉や肝臓)に溜まってしまう。これを異所性脂肪と呼ぶ。
インスリンは本来ならば筋肉や肝臓に働き、その後で脂肪細胞に働いていく。しかし異所性脂肪が存在し、インスリン感受性が悪くなると、インスリンが脂肪細胞に働きやすくなってしまう。すると体脂肪が落ちにくく、または増えやすくなってしまうのである。
またインスリンが筋肉に働きにくいということは、トレーニングをしても筋肉が増えにくい、つまり効率が悪い、ということでもある。
また体脂肪率が高いと、関節の可動域が狭くなってしまう。肘や膝は曲がりにくくなり、前屈もしにくく、腹筋をするのにもひと苦労となる。トレーニングにおいては、筋肉をしっかりと収縮伸展させることが重要だ。可動域が狭い状態では、トレーニングの効果を最大限に得ることができない。このことから考えると、体脂肪率が高い人は「まずダイエットして体脂肪を減らす。それからトレーニングを頑張って筋肉を増やしていく」方が効率的といえるだろう。
もちろん、ダイエット中もトレーニングはした方がいい。ただしここではウェイトトレーニングだけでなく、有酸素運動も行い、体脂肪を減少させることに専念した方がいいだろう。なおウェイトトレーニングと有酸素運動を組み合わせた、軽めの「サーキットトレーニング」もお勧めしたい。
サーキットというとキツそうなイメージがあるが、何周もやる必要はない。例えば、レッグプレスとレッグカール、カーフレイズ、ベンチプレス、ラットプルダウン、ショルダー・プレス、バイセップスカール、トライセップスエクステンション、アブドミナル・クランチ、バックエクステンションの10エクササイズを1セットだけ行う群と、3セットずつ行う群とに分けて比較した研究がある(※2)。1セット群の運動時間はトータルでわずか16.4分。3セット群の運動時間はトータルで36.7分だった。
結果は驚くなかれ、どちらの群も同じように運動後の安静時基礎代謝が上昇していたのである。しかも72時間後でも1セット群では5.2%、3セット群では4.6%の上昇。つまりたった16分のトレーニング、各エクササイズ1セットずつでも、十分なダイエット効果が得られるのである。最初はこのような簡単なトレーニングから始め、体脂肪が減ってきたところで徐々にハードなトレーニングに移行していくといいだろう。
目 的:バルクアップとダイエットの優先順位を決める
メリット:効率的にバルクアップとダイエットができる
体脂肪率が高いと、昔は見えていたはずの腹筋が懐かしくなる。一念発起してトレーニングしても、筋肉は順調に増えていくのに腹部は脂肪に隠れたまま。いつまで経っても腹筋が見えてこない。このようなトレーニーは多いはずだ。
トレーニングすれば代謝が上がって痩せやすくなるはずなのに、なかなか体脂肪率を減らすことができない。これはなぜだろうか。
筋肉は1kgあたり、1日に13kcalを消費するといわれている。これだけでは誤差の範囲内だ。しかし実際には除脂肪体重が1kg増えると、1日に28.5kcal多く消費されるようになる、と国立スポーツ科学センターが発表している。
また国立健康・栄養研究所の発表では、トレーニングで除脂肪体重が1kg増えると、基礎代謝は1日に50kcalほど増えるとされている。
筋肉が増える時は他の組織も増える。心臓や肝臓、腎臓などの内臓が増え、血管も増え、骨も強くなっていく。またノルアドレナリンなど消費カロリーを増やすホルモンの分泌も高まっていく。
また1日に13kcalというのは安静時の話である。日常生活で動き回り、トレーニングもすれば、消費カロリーは跳ね上がっていくだろう。
日本人の健康な男性52名を対象に、全身の代謝状態を調べた研究がある。それによると、体脂肪率が高い人はインスリンの働きが悪いことが判明した(※1)。
脂肪細胞からは、「アディポサイトカイン」と呼ばれる物質が出ている。これには善玉と悪玉があり、善玉にはアディポネクチンやレプチン、悪玉にはTNF-αやPAI-Ⅰなどがある。そして小型の脂肪細胞からは善玉が出るのだが、大型の脂肪細胞からは悪玉が出て、善玉の作用を抑えてしまう。善玉のアディポネクチンにはインスリンの働きを高める作用があり、悪玉のTNF-αにはインスリンの働きを悪くする作用がある。そのため、肥満によってインスリン感受性が低下してしまうのだ。また脂肪細胞が容量オーバーとなると、脂肪酸が細胞の外にあふれ出して、本来なら体脂肪が溜まらない場所(筋肉や肝臓)に溜まってしまう。これを異所性脂肪と呼ぶ。
インスリンは本来ならば筋肉や肝臓に働き、その後で脂肪細胞に働いていく。しかし異所性脂肪が存在し、インスリン感受性が悪くなると、インスリンが脂肪細胞に働きやすくなってしまう。すると体脂肪が落ちにくく、または増えやすくなってしまうのである。
またインスリンが筋肉に働きにくいということは、トレーニングをしても筋肉が増えにくい、つまり効率が悪い、ということでもある。
また体脂肪率が高いと、関節の可動域が狭くなってしまう。肘や膝は曲がりにくくなり、前屈もしにくく、腹筋をするのにもひと苦労となる。トレーニングにおいては、筋肉をしっかりと収縮伸展させることが重要だ。可動域が狭い状態では、トレーニングの効果を最大限に得ることができない。このことから考えると、体脂肪率が高い人は「まずダイエットして体脂肪を減らす。それからトレーニングを頑張って筋肉を増やしていく」方が効率的といえるだろう。
もちろん、ダイエット中もトレーニングはした方がいい。ただしここではウェイトトレーニングだけでなく、有酸素運動も行い、体脂肪を減少させることに専念した方がいいだろう。なおウェイトトレーニングと有酸素運動を組み合わせた、軽めの「サーキットトレーニング」もお勧めしたい。
サーキットというとキツそうなイメージがあるが、何周もやる必要はない。例えば、レッグプレスとレッグカール、カーフレイズ、ベンチプレス、ラットプルダウン、ショルダー・プレス、バイセップスカール、トライセップスエクステンション、アブドミナル・クランチ、バックエクステンションの10エクササイズを1セットだけ行う群と、3セットずつ行う群とに分けて比較した研究がある(※2)。1セット群の運動時間はトータルでわずか16.4分。3セット群の運動時間はトータルで36.7分だった。
結果は驚くなかれ、どちらの群も同じように運動後の安静時基礎代謝が上昇していたのである。しかも72時間後でも1セット群では5.2%、3セット群では4.6%の上昇。つまりたった16分のトレーニング、各エクササイズ1セットずつでも、十分なダイエット効果が得られるのである。最初はこのような簡単なトレーニングから始め、体脂肪が減ってきたところで徐々にハードなトレーニングに移行していくといいだろう。