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水分補給で差をつけろ。 ~身体に必要な「水」

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水分補給で差をつけろ。 ~身体に必要な「水」

水分補給で差をつけろ。 ~身体に必要な「水」

(この記事は2016年7月に公開されました。)

エネルギー産生栄養素といえば、炭水化物と脂肪、そしてたんぱく質だ。それにビタミンとミネラルをつけ加えることで5つの栄養素に分類できる。
「栄養素」の定義、すなわち身体を栄えさせ、養分を与えるもの、という意味から言えば、その5種類が本来の栄養素となる。しかし身体の養分にはならないものの、健康体でいるために必要なものとして「食物繊維」を加え、「六大栄養素」という表現をすることもある。

そしてもう一つ、どうしても必要なものがある。そう、「水」だ。水を加えた「七大栄養素」が十分に補給されてこそ、われわれは生きていくことができる。
水の重要性について、今さら説明する必要はあるまい。体内における化学反応の多くは加水分解反応であり、水がないとATPを作ることもできないし、酵素を作ることもできないし、ホルモンを作ることもできない。断食をしても1~2週間は生きていけるが、水を完全に断つと4~5日で死んでしまうという。

■脱水の影響とは

体内の水分が減れば、血液も減る。そして汗も減る。汗が減れば、体温が上がりやすくなる。すると体温の上昇を防ぐため、皮膚の血流を増やして冷却効果を得ようとする。
しかし血液が少ない状態で皮膚への血流が増えれば、心臓への血流はさらに少なくなる。すると心臓は無理に血液を送り出そうとして心拍数が高まり、心臓への負担が増えていく。
また血流が低下すると、酸素や栄養素の運搬もスムーズにいかなくなる。一般的に体重の1%の水が失われるとパフォーマンスの低下が起こり、喉の渇きを感じるのは2%が失われた時点。そして3%が失われるとパフォーマンスの低下と集中力の低下が自覚されるようになる。また脱水によりACTHやコルチゾルなどの分泌が亢進して筋肉が分解され、酸化ストレスが増加して活性酸素の害を受けやすくもなる。

■水分を満たすことにより・・

逆に、十分に水分を摂取して細胞内が水で満たされた状態だと、どのようなことが起こるのか。この場合、体脂肪の分解が増加し、たんぱく質の分解が抑えられるのである。(※1)
つまり体脂肪を分解してエネルギー化したり、たんぱく質の分解を抑えて筋肉の破壊を防いだりするためには、細胞内が十分に水で満たされていることが必要なのである。
これからの酷暑を迎え、ウォリアーは十分な水分を摂取しなければならない。では、水を大量に飲めば、それだけでいいのだろうか。そうではない。そこには「自発的脱水」という罠が控えているのだ。

■自発的脱水という罠

水を飲むことによって、脱水による悪影響は避けることができる。しかし汗を大量にかけば、同時にミネラルも流出する。そのため水を補給すればするほど体内のミネラルが欠乏し、体液が薄まってしまう。
体液が薄まるのは問題だ。そこで逆に水の排出を増やし、体液を濃くしようとする働きが起こる。この現象を「自発的脱水」と呼ぶ。つまり水を飲めば飲むほど、自発的脱水により体内から水が排出されてしまうという悪循環に陥ってしまうのだ。

■自発的脱水を防ぐために

自発的脱水を防ぐためには水だけでなく、ナトリウムやカリウム、マグネシウムなどのミネラルを含んだドリンクを飲む必要がある。日本体育協会のガイドラインでは「0.1~0.2%の食塩」が推奨されており、これをナトリウムに換算すると「100ml中に40~80mgのナトリウム」となる。

(後編に続く)


参考:日本体育協会による水分補給量の目安

【参考文献】

  • 1: Effects of changes in hydration on protein, glucose and lipid metabolism in man: impact on health European Journal of Clinical Nutrition (2003) 57, Suppl 2, S69-S74. doi:10.1038/sj.ejcn.1601904
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(この記事は2016年7月に公開されました。)

エネルギー産生栄養素といえば、炭水化物と脂肪、そしてたんぱく質だ。それにビタミンとミネラルをつけ加えることで5つの栄養素に分類できる。
「栄養素」の定義、すなわち身体を栄えさせ、養分を与えるもの、という意味から言えば、その5種類が本来の栄養素となる。しかし身体の養分にはならないものの、健康体でいるために必要なものとして「食物繊維」を加え、「六大栄養素」という表現をすることもある。

そしてもう一つ、どうしても必要なものがある。そう、「水」だ。水を加えた「七大栄養素」が十分に補給されてこそ、われわれは生きていくことができる。
水の重要性について、今さら説明する必要はあるまい。体内における化学反応の多くは加水分解反応であり、水がないとATPを作ることもできないし、酵素を作ることもできないし、ホルモンを作ることもできない。断食をしても1~2週間は生きていけるが、水を完全に断つと4~5日で死んでしまうという。

■脱水の影響とは

体内の水分が減れば、血液も減る。そして汗も減る。汗が減れば、体温が上がりやすくなる。すると体温の上昇を防ぐため、皮膚の血流を増やして冷却効果を得ようとする。
しかし血液が少ない状態で皮膚への血流が増えれば、心臓への血流はさらに少なくなる。すると心臓は無理に血液を送り出そうとして心拍数が高まり、心臓への負担が増えていく。
また血流が低下すると、酸素や栄養素の運搬もスムーズにいかなくなる。一般的に体重の1%の水が失われるとパフォーマンスの低下が起こり、喉の渇きを感じるのは2%が失われた時点。そして3%が失われるとパフォーマンスの低下と集中力の低下が自覚されるようになる。また脱水によりACTHやコルチゾルなどの分泌が亢進して筋肉が分解され、酸化ストレスが増加して活性酸素の害を受けやすくもなる。

■水分を満たすことにより・・

逆に、十分に水分を摂取して細胞内が水で満たされた状態だと、どのようなことが起こるのか。この場合、体脂肪の分解が増加し、たんぱく質の分解が抑えられるのである。(※1)
つまり体脂肪を分解してエネルギー化したり、たんぱく質の分解を抑えて筋肉の破壊を防いだりするためには、細胞内が十分に水で満たされていることが必要なのである。
これからの酷暑を迎え、ウォリアーは十分な水分を摂取しなければならない。では、水を大量に飲めば、それだけでいいのだろうか。そうではない。そこには「自発的脱水」という罠が控えているのだ。

■自発的脱水という罠

水を飲むことによって、脱水による悪影響は避けることができる。しかし汗を大量にかけば、同時にミネラルも流出する。そのため水を補給すればするほど体内のミネラルが欠乏し、体液が薄まってしまう。
体液が薄まるのは問題だ。そこで逆に水の排出を増やし、体液を濃くしようとする働きが起こる。この現象を「自発的脱水」と呼ぶ。つまり水を飲めば飲むほど、自発的脱水により体内から水が排出されてしまうという悪循環に陥ってしまうのだ。

■自発的脱水を防ぐために

自発的脱水を防ぐためには水だけでなく、ナトリウムやカリウム、マグネシウムなどのミネラルを含んだドリンクを飲む必要がある。日本体育協会のガイドラインでは「0.1~0.2%の食塩」が推奨されており、これをナトリウムに換算すると「100ml中に40~80mgのナトリウム」となる。

(後編に続く)


参考:日本体育協会による水分補給量の目安

【参考文献】

  • 1: Effects of changes in hydration on protein, glucose and lipid metabolism in man: impact on health European Journal of Clinical Nutrition (2003) 57, Suppl 2, S69-S74. doi:10.1038/sj.ejcn.1601904