競技パフォーマンスUP

Part 89  パフォーマンスに落とし込め! Part 3

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Part 89  パフォーマンスに落とし込め! Part 3

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  • 目  的:ストレングストレーニングで培った能力をパフォーマンスに反映させる
  • メリット:競技能力の向上

Part 1ではSSCによる爆発的なパワー発揮方法、Part 2ではストレングストレーニングと柔軟性の関係について解説した。最終回となる今回は試合に向けたコンディショニングについて紹介していこう。

参考:パフォーマンスに落とし込め! Part 1
参考:パフォーマンスに落とし込め! Part 2

■ピリオダイゼーションについて

多くのトレーニーは毎日同じような内容のトレーニングを行っている。しかし、ウォリアーのパフォーマンスが向上する一因は「ストレスへの適応」によるものだ。
常に同じ内容のトレーニングをしていたら、それは既にストレスとはならない。また同じトレーニングを長期に渡って継続すると特定の部位に疲労が溜まり、ケガの原因ともなり得る。
トレーニング内容には定期的に変化を与え、新しいストレスに適応させていかねばならない。そうすることによって継続的な向上をもたらすべきなのだ。
トレーニング内容に変化を与える方法の一つとして、「ピリオダイゼーション」が挙げられる。ではピリオダイゼーションの代表的な考え方を紹介していこう。

■ピリオダイゼーションの実際

マトヴェーエフが900人のトップアスリートを調査したところ、最高の記録は10.5~12ヶ月ごとに出されたという。筋力やパワー系ではだいたい半年ごとに最高記録が出され、持久性種目だと5~7ヶ月以内に最高記録が出された例は少ない。また1年サイクルよりも半年サイクルのほうが記録は伸びやすかったようだ。
そこで、約半年(26週間)をマクロサイクルとして考えてみよう。このマクロサイクルをさらに「準備期」と「移行期」、「試合期」に分けていく。
そしてそれぞれの期間をさらに「メゾサイクル」と「ミクロサイクル」に分けていく。

〇準備期

では、具体例を挙げていこう。準備期においては筋力・筋肉量・心肺機能・柔軟性などなど、いわゆる「フィジカル」に相当するものを伸ばしていく時期となる。
26週間のマクロサイクルのうち、ここでは12週間を準備期としてみよう。この12週間において、3回のメゾサイクル(1回4週間)を行うことにする。

最初のメゾサイクル(1週~4週)では筋肥大・体重増加を狙って中重量・ハイボリュームのトレーニングを行う。2回目のメゾサイクル(5週~8週)では筋力増加を狙って高重量のトレーニングを行う。そして3回目のメゾサイクル(9週~12週)では身体の疲労を取り去ることを狙い、高重量は継続しつつもトレーニングのボリューム・頻度を減らしていく。

また4週間のメゾサイクルをさらに分割し、1~2週間のミクロサイクルを考える。ミクロサイクルの中で、一日目は上半身のトレーニング、三日目は下半身のトレーニング、五日目は体幹部のトレーニング、七日目は心肺機能のトレーニングというように区切っていくのだ。

〇移行期

そして移行期(13週~20週)においてはSSCやプライオメトリクスを行い、準備期に蓄えた筋力を爆発的なパワーに転換できるようにしていく。ここでは2回のメゾサイクルとし、13週~16週ではSSCやストップ&ゴーを多用したウェイトトレーニング、17週~20週でハードルホップやメディシンボールを使ったプライオメトリクスを主に行っていく。
これも1~2週のミクロサイクルで区切り、例えば13週と14週ではストップ&ゴー、15週と16週ではSSCというようにしていく。

参考記事:瞬発力を高めるストップ&ゴー

〇試合期(21週~26週)

試合期は「毎週末に試合」というようなことが多いため、ミクロサイクルを主体として考えていくことになる。例としては一日目に上半身のウェイトトレーニングと下半身のプライオメトリクス、三日目に下半身のウェイトトレーニングと上半身のプライオメトリクス、五日目にメディシンボールを主体とした全身の軽いプライオメトリクスを行い、七日目に試合といった流れだ。

試合期においては筋力・パワーを維持しつつ、疲労を抜いていくことが重要となる。ただし同時にトレーニング強度が低くなって筋力・パワーが低下することも防がねばならない。
その対策としては「強度は維持したまま、ボリューム・頻度を減らす」ことが有効である。
準備期に150kgで6回のスクワットをやっていたとしたら、試合期は150kgで3回だけ行うのである。使用重量は変えず、レップスを減らすことによって疲労は抜け、筋力を維持することが可能となる。

〇アクティブレスト

試合期が終わったら、3週間ほどのアクティブレスト(積極的休養)を入れる。ここでは普段使わないような動きを取り入れると良い。また身体の片方ばかり使う動き(テニスや卓球、ゴルフなど)は避け、両方をバランスよく使う動き(バスケットや水泳など)を主に行うようにすると良いだろう。
アクティブレスト期間が終わったら、また準備期に戻る。

これはあくまでも一例であり、マクロサイクルをもっと長くしてもいいし、短くしてもいい。いずれにしても常に同じ内容のトレーニングを行うのではなく、長期的にプログラムを考えて継続的に新鮮な刺激を与えていくようにしてほしい。君のパフォーマンスがとどまることを知らず、伸び続けていくことを願っている。

(Part 2を読む)

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  • 目  的:ストレングストレーニングで培った能力をパフォーマンスに反映させる
  • メリット:競技能力の向上

Part 1ではSSCによる爆発的なパワー発揮方法、Part 2ではストレングストレーニングと柔軟性の関係について解説した。最終回となる今回は試合に向けたコンディショニングについて紹介していこう。

参考:パフォーマンスに落とし込め! Part 1
参考:パフォーマンスに落とし込め! Part 2

■ピリオダイゼーションについて

多くのトレーニーは毎日同じような内容のトレーニングを行っている。しかし、ウォリアーのパフォーマンスが向上する一因は「ストレスへの適応」によるものだ。
常に同じ内容のトレーニングをしていたら、それは既にストレスとはならない。また同じトレーニングを長期に渡って継続すると特定の部位に疲労が溜まり、ケガの原因ともなり得る。
トレーニング内容には定期的に変化を与え、新しいストレスに適応させていかねばならない。そうすることによって継続的な向上をもたらすべきなのだ。
トレーニング内容に変化を与える方法の一つとして、「ピリオダイゼーション」が挙げられる。ではピリオダイゼーションの代表的な考え方を紹介していこう。

■ピリオダイゼーションの実際

マトヴェーエフが900人のトップアスリートを調査したところ、最高の記録は10.5~12ヶ月ごとに出されたという。筋力やパワー系ではだいたい半年ごとに最高記録が出され、持久性種目だと5~7ヶ月以内に最高記録が出された例は少ない。また1年サイクルよりも半年サイクルのほうが記録は伸びやすかったようだ。
そこで、約半年(26週間)をマクロサイクルとして考えてみよう。このマクロサイクルをさらに「準備期」と「移行期」、「試合期」に分けていく。
そしてそれぞれの期間をさらに「メゾサイクル」と「ミクロサイクル」に分けていく。

〇準備期

では、具体例を挙げていこう。準備期においては筋力・筋肉量・心肺機能・柔軟性などなど、いわゆる「フィジカル」に相当するものを伸ばしていく時期となる。
26週間のマクロサイクルのうち、ここでは12週間を準備期としてみよう。この12週間において、3回のメゾサイクル(1回4週間)を行うことにする。

最初のメゾサイクル(1週~4週)では筋肥大・体重増加を狙って中重量・ハイボリュームのトレーニングを行う。2回目のメゾサイクル(5週~8週)では筋力増加を狙って高重量のトレーニングを行う。そして3回目のメゾサイクル(9週~12週)では身体の疲労を取り去ることを狙い、高重量は継続しつつもトレーニングのボリューム・頻度を減らしていく。

また4週間のメゾサイクルをさらに分割し、1~2週間のミクロサイクルを考える。ミクロサイクルの中で、一日目は上半身のトレーニング、三日目は下半身のトレーニング、五日目は体幹部のトレーニング、七日目は心肺機能のトレーニングというように区切っていくのだ。

〇移行期

そして移行期(13週~20週)においてはSSCやプライオメトリクスを行い、準備期に蓄えた筋力を爆発的なパワーに転換できるようにしていく。ここでは2回のメゾサイクルとし、13週~16週ではSSCやストップ&ゴーを多用したウェイトトレーニング、17週~20週でハードルホップやメディシンボールを使ったプライオメトリクスを主に行っていく。
これも1~2週のミクロサイクルで区切り、例えば13週と14週ではストップ&ゴー、15週と16週ではSSCというようにしていく。

参考記事:瞬発力を高めるストップ&ゴー

〇試合期(21週~26週)

試合期は「毎週末に試合」というようなことが多いため、ミクロサイクルを主体として考えていくことになる。例としては一日目に上半身のウェイトトレーニングと下半身のプライオメトリクス、三日目に下半身のウェイトトレーニングと上半身のプライオメトリクス、五日目にメディシンボールを主体とした全身の軽いプライオメトリクスを行い、七日目に試合といった流れだ。

試合期においては筋力・パワーを維持しつつ、疲労を抜いていくことが重要となる。ただし同時にトレーニング強度が低くなって筋力・パワーが低下することも防がねばならない。
その対策としては「強度は維持したまま、ボリューム・頻度を減らす」ことが有効である。
準備期に150kgで6回のスクワットをやっていたとしたら、試合期は150kgで3回だけ行うのである。使用重量は変えず、レップスを減らすことによって疲労は抜け、筋力を維持することが可能となる。

〇アクティブレスト

試合期が終わったら、3週間ほどのアクティブレスト(積極的休養)を入れる。ここでは普段使わないような動きを取り入れると良い。また身体の片方ばかり使う動き(テニスや卓球、ゴルフなど)は避け、両方をバランスよく使う動き(バスケットや水泳など)を主に行うようにすると良いだろう。
アクティブレスト期間が終わったら、また準備期に戻る。

これはあくまでも一例であり、マクロサイクルをもっと長くしてもいいし、短くしてもいい。いずれにしても常に同じ内容のトレーニングを行うのではなく、長期的にプログラムを考えて継続的に新鮮な刺激を与えていくようにしてほしい。君のパフォーマンスがとどまることを知らず、伸び続けていくことを願っている。

(Part 2を読む)