健康・体力・美容UP

Part 104   「使える筋肉」と「使えない筋肉」

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  • 目  的:トレーニングするための目的を知る
  • メリット:目的に応じたトレーニングができる

使える筋肉、使えない筋肉といった言い回しがある。「見せ筋」という言葉もあるようだ。一般にアスリートの筋肉は使え、ボディビルダーの筋肉は使えないと言われる。それについてボディビルダー側からの反論もかなり多くある。

しかしそもそも「使える筋肉」とはなんなのか。議論の前にその定義が必要となる。「使える筋肉」の定義があやふやだからこそ、議論の収拾がつかなくなるのだ。

 

「競技において動ける身体」という定義はどうか。これは一つの「使える筋肉」である。しかし野球選手が水泳をやっても、サッカー選手が野球をやっても、そう上手くはないだろう。つまり別の競技になった途端、その筋肉は使えなくなる。競技によって使う筋肉はもちろん違うし、筋肉を動かす「脳の働き」も全く異なってくるのだから。

 

またボディビルダーはボディビルという競技において、使える筋肉だともいえる。クジャクが美しい羽根を見せびらかすように、魅せられるように筋肉を鍛えるというのは本能に適っているのである。

 

では「日常生活に役立つかどうか」という定義はどうだろう。しかし球を網の中に入れるのが上手でも何の役にも立たないし、走るのが速くても車には敵わないし、格闘技が強くても警察沙汰になったらかえって不利になってしまう。

 

つまりスポーツをしても、それが日常生活に役立つということは、あまりないと言っていいだろう。ボディビルダーの厚い筋肉は、ナイフを持った暴漢に襲われたとき、内臓に達するようなケガから守ってくれるかもしれないが。

 

ボディビルダーの筋肉が「使えない」と言われるのは、「期待値が大きいから」でもある。

他のスポーツ選手は、外見は一般人と大差ない。しかしボディビルダーは如何にも一般人とは異なっており、それだけ「なんかやってくれそう」的なパフォーマンスを求められるのかもしれない。

 

とはいっても日常生活で筋肉のメリットを発揮する場など、そうはないのだから、理不尽にもガッカリされるわけだ。

 

ボディビルダーとアスリートとで、筋肉そのものの構成に違いがあるわけではない。では、競技能力の上下は、何が決定するのだろうか。

 

ここでは神経系の発達がカギとなる。例えれば、筋肉量の多い身体は馬力があり、トルクの高い車である。ドライバーの腕がよければ、周りの車を一気に抜き去ることができるだろう。しかし腕が悪ければ、軽自動車にも追い抜かれてしまうに違いない。

 

筋肉を発達させるということは、馬力やトルクを引き上げるということになる。技術練習に励み、そのポテンシャルをすべて引き出してやることができれば、最高のパフォーマンスを獲得することができるはずだ。

 

ウェイトトレーニングを行う上で、もう一つ重要なポイントがある。それは「ボトルネック」を解消できるということだ。多くの古い指導者は、「アスリートは、その競技だけを行えば、その競技に必要な筋肉が鍛えられる」と信じている。力士だったら四股だけ踏んでいれば十分、野球選手だったら投球練習、素振りだけやっていれば十分という考え方だ。

 

しかし、「鎖は、その一番弱いところで切れる」。これをボトルネックと呼ぶ。ある選手の上半身のパワーが100だったとしても、下半身のパワーが30だったら、発揮できるパワーは30にとどまるのだ。

 

もっと細分化させてみよう。ピッチャーを例に取ってみる。球を投げる時には数多くの筋肉が使われるが、例えばある選手は股関節内転のパワーが150、股関節外旋のパワーが100、肩関節伸展のパワーが80、肘関節伸展のパワーが20だったとする。この場合、そのピッチャーが発揮できるパワーは20に過ぎない。

 

このピッチャーが「投げるだけ」で鍛えたとしよう。その場合、アンバランスさは是正できない。肘関節伸展が弱いまま、全体的に鍛えられていく。しかしウェイトトレーニングで肘関節伸展を強化し、80に持っていけば、トータルのパワーは一気に80になるわけだ。さらに全体のバランスがよくなるようにボトルネックを解消できるようにしていけば、短期間で150以上のパワーを発揮できるようになるだろう。

 

アスリートがウェイトトレーニングを取り入れる時、何も考えずにBIG3やコアトレーニングを行ったりする。それでは非効率的だ。まずは自分の弱点を見つけ出し、そこを集中的に強化してボトルネックを解消しなければならない。

 

よってチーム全体で同じようなプログラムを組むのも良いとはいえない。個人によって、行うべき種目は変わってくるはずなのである。

 

なお多くのアスリートが、実はボディビルダーのような「見せ筋」に憧れているということも知っておくといいだろう。

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  • 目  的:トレーニングするための目的を知る
  • メリット:目的に応じたトレーニングができる

使える筋肉、使えない筋肉といった言い回しがある。「見せ筋」という言葉もあるようだ。一般にアスリートの筋肉は使え、ボディビルダーの筋肉は使えないと言われる。それについてボディビルダー側からの反論もかなり多くある。

しかしそもそも「使える筋肉」とはなんなのか。議論の前にその定義が必要となる。「使える筋肉」の定義があやふやだからこそ、議論の収拾がつかなくなるのだ。

 

「競技において動ける身体」という定義はどうか。これは一つの「使える筋肉」である。しかし野球選手が水泳をやっても、サッカー選手が野球をやっても、そう上手くはないだろう。つまり別の競技になった途端、その筋肉は使えなくなる。競技によって使う筋肉はもちろん違うし、筋肉を動かす「脳の働き」も全く異なってくるのだから。

 

またボディビルダーはボディビルという競技において、使える筋肉だともいえる。クジャクが美しい羽根を見せびらかすように、魅せられるように筋肉を鍛えるというのは本能に適っているのである。

 

では「日常生活に役立つかどうか」という定義はどうだろう。しかし球を網の中に入れるのが上手でも何の役にも立たないし、走るのが速くても車には敵わないし、格闘技が強くても警察沙汰になったらかえって不利になってしまう。

 

つまりスポーツをしても、それが日常生活に役立つということは、あまりないと言っていいだろう。ボディビルダーの厚い筋肉は、ナイフを持った暴漢に襲われたとき、内臓に達するようなケガから守ってくれるかもしれないが。

 

ボディビルダーの筋肉が「使えない」と言われるのは、「期待値が大きいから」でもある。

他のスポーツ選手は、外見は一般人と大差ない。しかしボディビルダーは如何にも一般人とは異なっており、それだけ「なんかやってくれそう」的なパフォーマンスを求められるのかもしれない。

 

とはいっても日常生活で筋肉のメリットを発揮する場など、そうはないのだから、理不尽にもガッカリされるわけだ。

 

ボディビルダーとアスリートとで、筋肉そのものの構成に違いがあるわけではない。では、競技能力の上下は、何が決定するのだろうか。

 

ここでは神経系の発達がカギとなる。例えれば、筋肉量の多い身体は馬力があり、トルクの高い車である。ドライバーの腕がよければ、周りの車を一気に抜き去ることができるだろう。しかし腕が悪ければ、軽自動車にも追い抜かれてしまうに違いない。

 

筋肉を発達させるということは、馬力やトルクを引き上げるということになる。技術練習に励み、そのポテンシャルをすべて引き出してやることができれば、最高のパフォーマンスを獲得することができるはずだ。

 

ウェイトトレーニングを行う上で、もう一つ重要なポイントがある。それは「ボトルネック」を解消できるということだ。多くの古い指導者は、「アスリートは、その競技だけを行えば、その競技に必要な筋肉が鍛えられる」と信じている。力士だったら四股だけ踏んでいれば十分、野球選手だったら投球練習、素振りだけやっていれば十分という考え方だ。

 

しかし、「鎖は、その一番弱いところで切れる」。これをボトルネックと呼ぶ。ある選手の上半身のパワーが100だったとしても、下半身のパワーが30だったら、発揮できるパワーは30にとどまるのだ。

 

もっと細分化させてみよう。ピッチャーを例に取ってみる。球を投げる時には数多くの筋肉が使われるが、例えばある選手は股関節内転のパワーが150、股関節外旋のパワーが100、肩関節伸展のパワーが80、肘関節伸展のパワーが20だったとする。この場合、そのピッチャーが発揮できるパワーは20に過ぎない。

 

このピッチャーが「投げるだけ」で鍛えたとしよう。その場合、アンバランスさは是正できない。肘関節伸展が弱いまま、全体的に鍛えられていく。しかしウェイトトレーニングで肘関節伸展を強化し、80に持っていけば、トータルのパワーは一気に80になるわけだ。さらに全体のバランスがよくなるようにボトルネックを解消できるようにしていけば、短期間で150以上のパワーを発揮できるようになるだろう。

 

アスリートがウェイトトレーニングを取り入れる時、何も考えずにBIG3やコアトレーニングを行ったりする。それでは非効率的だ。まずは自分の弱点を見つけ出し、そこを集中的に強化してボトルネックを解消しなければならない。

 

よってチーム全体で同じようなプログラムを組むのも良いとはいえない。個人によって、行うべき種目は変わってくるはずなのである。

 

なお多くのアスリートが、実はボディビルダーのような「見せ筋」に憧れているということも知っておくといいだろう。