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Part 106 物理と化学で攻めていけ

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Part 106 物理と化学で攻めていけ

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  • 目  的:トレーニングの効果が出る本当の理由を知る
  • メリット:効率的な方法を使って正しいトレーニング効果を得られる

たびたび使われる「超回復」という言葉。ハードにトレーニングして筋肉に強い刺激を与えると、筋肉は破壊される。そのため、次に同じ刺激を受けた時に破壊されてしまわないよう、身体は筋肉を前よりも強くする。この繰り返して筋肉が強くなっていくというものだ。
そして超回復には48~72時間かかるから、次のトレーニングまでにそれだけの間隔を空ける必要がある、とされている。
しかし、それはまったくの誤解である。

■超回復の誤解

超回復理論でたびたび持ち出されるグラフがある。トレーニング後に一度低下し、回復しながらベースラインに戻り、ベースラインを越えて超回復していく、というものだ。

実はトレーニングを始めた瞬間から、筋タンパク合成は始まっている。そして同時に、筋肉の分解も始まっている。筋肉はその合成と分解のせめぎあいの中で発達していくのである。

つまり、このグラフ通りに低下したり回復したりしているわけではない。では、なぜ超回復で筋肉が発達すると思われていたのか。実はこのグラフは「グリコーゲン」についてのことなのだ。

カーボローディングが何かは、ウォリアーなら当然知っているだろう。カーボ摂取量を減らし、トレーニングをハードに行ってグリコーゲンを枯渇させる。その後でカーボを補給していくと、ベースラインよりもグリコーゲン貯蔵量が高まる、というものだ。

超回復のグラフは、本当はこの「グリコーゲン回復→超回復」のグラフなのだ。それが筋発達の流れと混同されて広まってしまったのである。
では、超回復ではないとしたら、どのようにして筋肉は発達するのだろうか。

■ストレス応答とは

筋肉の発達は超回復理論ではなく、「ストレス応答」理論によって生じる。ストレスを受けるで、身体は次のように反応していく。

1.警告反応期(ショック相と抗ショック相)
2.抵抗期
3.疲弊期

具体例を挙げて説明しよう。

まったく経験のない人がバーベルを握り、トレーニングを始めたとする。すると筋肉がどうこうという前に、最初は手が痛くなってしまうだろう。この「手が痛くなる」ことが、警告反応期のショック相だ。つまり、バーを握るというストレスに対し、手の痛みという警告を発している状態である。

しかしバーを離すと、痛みは消えるだろう。これが「抗ショック相」だ。
ショック相と抗ショック相を繰り返すうちに、手にマメができてくる。そしてバーを握っても痛みは出なくなってくる。さらに続けると、マメはだんだん大きくなってくる。これはストレスに身体が抵抗し、適応しているということである。これが抵抗期だ。
しかし何時間もトレーニングを続けると、マメが破れてしまう。それが疲弊期だ。要はオーバーワークである。

■物理的ストレスと化学的ストレス

ストレス応答理論で考えると、抵抗期を長く続け、疲弊期に陥らないようにトレーニングをしていくことが重要だとわかる。

だが、ストレスとは何だろうか。筋肉に与えられるストレスは、物理的なものと化学的なものに分けられる。

物理的ストレスとは、普通のトレーニングで起こるものだ。ヘビーな重量で筋肉に刺激を与え、筋繊維を破壊していく。これは機械的であり、メカニカルなストレスである。

一方、化学的ストレスとは細胞の内部環境の変化と考えるとわかりやすい。エネルギー源であるクレアチンリン酸濃度の急激な低下や酸素濃度の低下、乳酸やピルビン酸などの酸によるpH低下、活性酸素の発生などである。軽い重量でハイレップスのトレーニングを行うことで、化学的ストレスを与えることができる。

■どちらが効果的?

では、物理的ストレスと化学的ストレス、どちらが筋肉をより発達させるのだろうか。研究によれば、筋肥大効果としては両者に大きな違いはない。

49名のトレーニング経験者を用いて行われた研究では、8~12レップス群(物理的ストレス)と20~25レップス群(化学的ストレス)とに分けて12週間後の結果を測定している(※1)。トレーニングは2分割で週4回、各エクササイズは3セット。自力でできなくなるまで行わせた。

その結果、筋肥大効果としては両者に違いはないと結論づけられている。ただし筋力は8~12レップス群のほうが伸びている。

またトレーニング経験者を対象に「8~12レップスで3セット群」と「25~35レップスで3セット群」で比較したところ、上腕二頭筋は25~35レップス群のほうが筋肥大し、上腕三頭筋は8~12レップス群の方が筋肥大した、という研究もある(※2)。ただしスクワットやベンチプレスの筋力は8~12レップス群のほうが遥かに向上している。逆に50%1RMで限界まで行えるレップスについては、25~35レップス群の方が増加している。

他にも同じような研究が数多くあるが、結論としては次のようになる。

・筋肥大においてはどちらも同等の効果がある
・筋力については高重量低回数のほうが効果的
・筋持久力については低重量高回数のほうが効果的

これは抵抗期、すなわち適応現象によるものだろう。高重量でやれば筋力が増えるように適応し、高回数でやれば持久力が増えるように適応していくということだ。ただし筋肥大効果としては、どちらも同等ということになる。

まとめると、筋力を増やしたい場合は高重量、持久力を増やしたければ高回数、筋肥大させたければその両方とも、ということだ。目的に応じてトレーニング内容を変えていくといいだろう。

 


  • ※1:Neither load nor systemic hormones determine resistance training-mediated hypertrophy or strength gains in resistance-trained young men.
    J Appl Physiol (1985). 2016 Jul 1;121(1):129-38. doi: 10.1152/japplphysiol.00154.2016. Epub 2016 May 12.
  • ※2:Effects of Low- vs. High-Load Resistance Training on Muscle Strength and Hypertrophy in Well-Trained Men.
    J Strength Cond Res. 2015 Oct;29(10):2954-63. doi: 10.1519/JSC.0000000000000958.

 

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たびたび使われる「超回復」という言葉。ハードにトレーニングして筋肉に強い刺激を与えると、筋肉は破壊される。そのため、次に同じ刺激を受けた時に破壊されてしまわないよう、身体は筋肉を前よりも強くする。この繰り返して筋肉が強くなっていくというものだ。
そして超回復には48~72時間かかるから、次のトレーニングまでにそれだけの間隔を空ける必要がある、とされている。
しかし、それはまったくの誤解である。

■超回復の誤解

超回復理論でたびたび持ち出されるグラフがある。トレーニング後に一度低下し、回復しながらベースラインに戻り、ベースラインを越えて超回復していく、というものだ。

実はトレーニングを始めた瞬間から、筋タンパク合成は始まっている。そして同時に、筋肉の分解も始まっている。筋肉はその合成と分解のせめぎあいの中で発達していくのである。

つまり、このグラフ通りに低下したり回復したりしているわけではない。では、なぜ超回復で筋肉が発達すると思われていたのか。実はこのグラフは「グリコーゲン」についてのことなのだ。

カーボローディングが何かは、ウォリアーなら当然知っているだろう。カーボ摂取量を減らし、トレーニングをハードに行ってグリコーゲンを枯渇させる。その後でカーボを補給していくと、ベースラインよりもグリコーゲン貯蔵量が高まる、というものだ。

超回復のグラフは、本当はこの「グリコーゲン回復→超回復」のグラフなのだ。それが筋発達の流れと混同されて広まってしまったのである。
では、超回復ではないとしたら、どのようにして筋肉は発達するのだろうか。

■ストレス応答とは

筋肉の発達は超回復理論ではなく、「ストレス応答」理論によって生じる。ストレスを受けるで、身体は次のように反応していく。

1.警告反応期(ショック相と抗ショック相)
2.抵抗期
3.疲弊期

具体例を挙げて説明しよう。

まったく経験のない人がバーベルを握り、トレーニングを始めたとする。すると筋肉がどうこうという前に、最初は手が痛くなってしまうだろう。この「手が痛くなる」ことが、警告反応期のショック相だ。つまり、バーを握るというストレスに対し、手の痛みという警告を発している状態である。

しかしバーを離すと、痛みは消えるだろう。これが「抗ショック相」だ。
ショック相と抗ショック相を繰り返すうちに、手にマメができてくる。そしてバーを握っても痛みは出なくなってくる。さらに続けると、マメはだんだん大きくなってくる。これはストレスに身体が抵抗し、適応しているということである。これが抵抗期だ。
しかし何時間もトレーニングを続けると、マメが破れてしまう。それが疲弊期だ。要はオーバーワークである。

■物理的ストレスと化学的ストレス

ストレス応答理論で考えると、抵抗期を長く続け、疲弊期に陥らないようにトレーニングをしていくことが重要だとわかる。

だが、ストレスとは何だろうか。筋肉に与えられるストレスは、物理的なものと化学的なものに分けられる。

物理的ストレスとは、普通のトレーニングで起こるものだ。ヘビーな重量で筋肉に刺激を与え、筋繊維を破壊していく。これは機械的であり、メカニカルなストレスである。

一方、化学的ストレスとは細胞の内部環境の変化と考えるとわかりやすい。エネルギー源であるクレアチンリン酸濃度の急激な低下や酸素濃度の低下、乳酸やピルビン酸などの酸によるpH低下、活性酸素の発生などである。軽い重量でハイレップスのトレーニングを行うことで、化学的ストレスを与えることができる。

■どちらが効果的?

では、物理的ストレスと化学的ストレス、どちらが筋肉をより発達させるのだろうか。研究によれば、筋肥大効果としては両者に大きな違いはない。

49名のトレーニング経験者を用いて行われた研究では、8~12レップス群(物理的ストレス)と20~25レップス群(化学的ストレス)とに分けて12週間後の結果を測定している(※1)。トレーニングは2分割で週4回、各エクササイズは3セット。自力でできなくなるまで行わせた。

その結果、筋肥大効果としては両者に違いはないと結論づけられている。ただし筋力は8~12レップス群のほうが伸びている。

またトレーニング経験者を対象に「8~12レップスで3セット群」と「25~35レップスで3セット群」で比較したところ、上腕二頭筋は25~35レップス群のほうが筋肥大し、上腕三頭筋は8~12レップス群の方が筋肥大した、という研究もある(※2)。ただしスクワットやベンチプレスの筋力は8~12レップス群のほうが遥かに向上している。逆に50%1RMで限界まで行えるレップスについては、25~35レップス群の方が増加している。

他にも同じような研究が数多くあるが、結論としては次のようになる。

・筋肥大においてはどちらも同等の効果がある
・筋力については高重量低回数のほうが効果的
・筋持久力については低重量高回数のほうが効果的

これは抵抗期、すなわち適応現象によるものだろう。高重量でやれば筋力が増えるように適応し、高回数でやれば持久力が増えるように適応していくということだ。ただし筋肥大効果としては、どちらも同等ということになる。

まとめると、筋力を増やしたい場合は高重量、持久力を増やしたければ高回数、筋肥大させたければその両方とも、ということだ。目的に応じてトレーニング内容を変えていくといいだろう。

 


  • ※1:Neither load nor systemic hormones determine resistance training-mediated hypertrophy or strength gains in resistance-trained young men.
    J Appl Physiol (1985). 2016 Jul 1;121(1):129-38. doi: 10.1152/japplphysiol.00154.2016. Epub 2016 May 12.
  • ※2:Effects of Low- vs. High-Load Resistance Training on Muscle Strength and Hypertrophy in Well-Trained Men.
    J Strength Cond Res. 2015 Oct;29(10):2954-63. doi: 10.1519/JSC.0000000000000958.

 

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