健康・体力・美容UP
ウォリアーの天敵といえばケガや風邪だが、それに加え、この季節は花粉症に悩まされるウォリアーも多いのではないだろうか。今回は花粉症対策に役立つ栄養摂取について解説していこう。
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【本記事のまとめ】
1.グルタミンで腸の免疫システムを強化しろ
2.オニオンリングでケルセチン補給
3.青魚やEPAサプリメントはマストアイテム
4.免疫強化と症状悪化に、ビタミンとマグネシウムを
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花粉症はアレルギーの一種だ。では「アレルギー」とはいったい何なのか?
簡単に説明すると「免疫反応の一種で、カラダに入って来た異物を攻撃・排除しようとして起こる反応。しかし反応が過剰&過敏であり、カラダにとって都合の悪い症状を引き起こすもの」となる。
ちなみにアレルギー(Allergy)の語源は、ギリシア語のAllos(Altered=異なる)という言葉と、Ergon(Action=反応)という言葉が組み合わさったもの。つまり、通常の生体反応と違った反応のことを指しているわけだ。
免疫反応によって、身体は「自分ではないもの=異物」を攻撃・排除する。しかし異物だからといって、何でもかんでも免疫が働いてしまっては困るだろう。例えば肉や魚が異物となり、それらに免疫反応が起こるようでは、食事すらもマトモにできない。
私たちが日常的に触れるもの、身体に特に害をなさないものに対しては、免疫が働かないようにできている。それを「免疫寛容」と呼ぶ。
花粉のアレルギーも同じことだ。免疫寛容が上手く働かなくなったため、普通の人だったらなんともないのに、花粉症の人は花粉を異物と認め、免疫システムが働いてしまうのである。
では、免疫寛容を正常にするためにはどうすれば良いのか。
まずは腸の状態を改善することだ。腸はバリアとしての役目も果たしており、腸の粘膜が正常な状態であれば、大きい分子が通れないようになっている。
しかし腸の状態が悪いと粘膜が荒れ、分子量の大きい物質も通してしまう。「リーキーガット」という言葉を聞いたことがあるかもしれないが、それはこの状態を指している。
こうして腸を通ってしまった分子量の大きい物質(花粉など)が、アレルギーの原因となるのである。
免疫システムにおいて異物を攻撃・排除するときには、二つの方法がある。一つは異物を直接攻撃する方法で、これを自然免疫という。
もう一つは「抗体」というタンパク質を媒介として処理する方法で、これは獲得免疫という。
自然免疫の最前線に立つのが粘膜だ。粘膜に異物が侵入してくると、咳やクシャミ、鼻水、下痢、涙などのアクションが起こる。これも免疫反応となる。
腸も同じことだ。腸の粘膜が弱くなると、リーキーガットとなって異物を侵入させてしまう。
つまり粘膜を強化することがアレルギー対策の第一歩である。ここで役立つのが「ビタミンA」だ。また花粉症は別にして、普段から喉が荒れやすいようなウォリアーは、ビタミンAの要求量が多いともいえる。ビタミンAにより粘膜全般を強くできれば、鼻や喉からの異物侵入にも強くなれる。
さらにグルタミンも重要だ。グルタミンは腸の重要なエネルギー源であり、また免疫細胞のエネルギー源でもある。もともとグルタミンは胃潰瘍の薬として使われていた経緯もあり、粘膜の強化にも役立ってくれる。
ビタミンAとグルタミンにより、腸内環境はかなり改善され、異物の侵入を許さなくなるはずだ。
それでも異物が侵入してくることはある。するとどうなるか。
粘膜や皮膚、腸などには「マスト細胞」というものがあり、病原体が体内に入ってきた時に、その情報を伝える役割をしている。しかし実はこのマスト細胞こそが、アレルギーの主役となってしまうのだ。
マスト細胞は「免疫グロブリンE」と結合しやすい構造になっている。免疫グロブリンEは、獲得免疫において働く抗体の一つだ。
マスト細胞に免疫グロブリンEが結合すると、それをシグナルとして、さまざまな化学物質が放出される。特に重要となるのが「ヒスタミン」だ。ヒスタミンはもともとマスト細胞内に蓄えられていて、異物を排出する働きを持っている。この働きがつまり、鼻水やクシャミなのだ。
そしてもう一つ重要なのが、「ロイコトリエン」という脂肪から作られる物質だ。これは鼻の血管を拡張して鼻詰まりを引き起こしたり、目の血管の透過性を高めて目のかゆみを引き起こしたりする。
ここで役立ってくるのが、「メチル化カテキン」と呼ばれる物質だ。お茶に含まれるこの成分は免疫グロブリンEが作られる量を減らし、また免疫グロブリンEがマスト細胞に結合するのを邪魔する作用を持っているの。
メチル化カテキンを含むお茶としては、「凍頂ウーロン茶」と「紅富貴(べにふうき)茶」が知られている。
次にマスト細胞からのヒスタミンやロイコトリエンの放出を抑えることだ。これにはバイオフラボノイドの一種である「ケルセチン」が効果を発揮する。
ケルセチンはマスト細胞の膜を強化し、安定性を高め、ヒスタミンなどが余計に放出されないように働いてくれる。ケルセチンはタマネギに多く含まれ、また脂溶性物質なので、オニオンリングなどを食べるようにするといいだろう。またルイボスティーにも、ケルセチンが多く含まれる。
次に「ビタミンC」だ。ビタミンCはマスト細胞の中でヒスタミンが作られるのを抑え、また放出されたヒスタミンを水酸化反応によって無力化してくれる。ただしかなりの量が必要で、1日3g以上は必須となる。
またロイコトリエンはアラキドン酸という脂肪酸から作られるが、この合成を防いでくれるのがEPAだ。青魚を多めに食べるとともに、EPAのサプリメントも摂るようにしておきたい。
免疫細胞は異物による刺激を受けると、細胞内にビタミンD受容体やビタミンD活性化酵素を発現する。そしてビタミンDを活性型(カルシトリオール)に変換し、これが自然免疫を増強してくれる。
さらに活性型ビタミンDは周辺の免疫細胞による抗体産生をコントロールしてくれるのだ。
活性型ビタミンDが少ないと免疫グロブリンEが増加してしまうことも知られている。
日光に当たることで活性型ビタミンDをつくることができるため、サーファーには花粉症がいないという都市伝説もあるくらいである。
またマグネシウムも有効となる。マグネシウムはマスト細胞が過剰なヒスタミンを放出するのを防いでくれるのだ。マグネシウムが不足しているとヒスタミンの遊離が促進されてしまい、花粉症の症状を悪化させてしまう。
花粉自体が侵入してこないように空気清浄機やマスクを駆使することも必要だが、こうした栄養戦略も非常に有効である。ぜひ試してほしい。
ウォリアーの天敵といえばケガや風邪だが、それに加え、この季節は花粉症に悩まされるウォリアーも多いのではないだろうか。今回は花粉症対策に役立つ栄養摂取について解説していこう。
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【本記事のまとめ】
1.グルタミンで腸の免疫システムを強化しろ
2.オニオンリングでケルセチン補給
3.青魚やEPAサプリメントはマストアイテム
4.免疫強化と症状悪化に、ビタミンとマグネシウムを
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花粉症はアレルギーの一種だ。では「アレルギー」とはいったい何なのか?
簡単に説明すると「免疫反応の一種で、カラダに入って来た異物を攻撃・排除しようとして起こる反応。しかし反応が過剰&過敏であり、カラダにとって都合の悪い症状を引き起こすもの」となる。
ちなみにアレルギー(Allergy)の語源は、ギリシア語のAllos(Altered=異なる)という言葉と、Ergon(Action=反応)という言葉が組み合わさったもの。つまり、通常の生体反応と違った反応のことを指しているわけだ。
免疫反応によって、身体は「自分ではないもの=異物」を攻撃・排除する。しかし異物だからといって、何でもかんでも免疫が働いてしまっては困るだろう。例えば肉や魚が異物となり、それらに免疫反応が起こるようでは、食事すらもマトモにできない。
私たちが日常的に触れるもの、身体に特に害をなさないものに対しては、免疫が働かないようにできている。それを「免疫寛容」と呼ぶ。
花粉のアレルギーも同じことだ。免疫寛容が上手く働かなくなったため、普通の人だったらなんともないのに、花粉症の人は花粉を異物と認め、免疫システムが働いてしまうのである。
では、免疫寛容を正常にするためにはどうすれば良いのか。
まずは腸の状態を改善することだ。腸はバリアとしての役目も果たしており、腸の粘膜が正常な状態であれば、大きい分子が通れないようになっている。
しかし腸の状態が悪いと粘膜が荒れ、分子量の大きい物質も通してしまう。「リーキーガット」という言葉を聞いたことがあるかもしれないが、それはこの状態を指している。
こうして腸を通ってしまった分子量の大きい物質(花粉など)が、アレルギーの原因となるのである。
免疫システムにおいて異物を攻撃・排除するときには、二つの方法がある。一つは異物を直接攻撃する方法で、これを自然免疫という。
もう一つは「抗体」というタンパク質を媒介として処理する方法で、これは獲得免疫という。
自然免疫の最前線に立つのが粘膜だ。粘膜に異物が侵入してくると、咳やクシャミ、鼻水、下痢、涙などのアクションが起こる。これも免疫反応となる。
腸も同じことだ。腸の粘膜が弱くなると、リーキーガットとなって異物を侵入させてしまう。
つまり粘膜を強化することがアレルギー対策の第一歩である。ここで役立つのが「ビタミンA」だ。また花粉症は別にして、普段から喉が荒れやすいようなウォリアーは、ビタミンAの要求量が多いともいえる。ビタミンAにより粘膜全般を強くできれば、鼻や喉からの異物侵入にも強くなれる。
さらにグルタミンも重要だ。グルタミンは腸の重要なエネルギー源であり、また免疫細胞のエネルギー源でもある。もともとグルタミンは胃潰瘍の薬として使われていた経緯もあり、粘膜の強化にも役立ってくれる。
ビタミンAとグルタミンにより、腸内環境はかなり改善され、異物の侵入を許さなくなるはずだ。
それでも異物が侵入してくることはある。するとどうなるか。
粘膜や皮膚、腸などには「マスト細胞」というものがあり、病原体が体内に入ってきた時に、その情報を伝える役割をしている。しかし実はこのマスト細胞こそが、アレルギーの主役となってしまうのだ。
マスト細胞は「免疫グロブリンE」と結合しやすい構造になっている。免疫グロブリンEは、獲得免疫において働く抗体の一つだ。
マスト細胞に免疫グロブリンEが結合すると、それをシグナルとして、さまざまな化学物質が放出される。特に重要となるのが「ヒスタミン」だ。ヒスタミンはもともとマスト細胞内に蓄えられていて、異物を排出する働きを持っている。この働きがつまり、鼻水やクシャミなのだ。
そしてもう一つ重要なのが、「ロイコトリエン」という脂肪から作られる物質だ。これは鼻の血管を拡張して鼻詰まりを引き起こしたり、目の血管の透過性を高めて目のかゆみを引き起こしたりする。
ここで役立ってくるのが、「メチル化カテキン」と呼ばれる物質だ。お茶に含まれるこの成分は免疫グロブリンEが作られる量を減らし、また免疫グロブリンEがマスト細胞に結合するのを邪魔する作用を持っているの。
メチル化カテキンを含むお茶としては、「凍頂ウーロン茶」と「紅富貴(べにふうき)茶」が知られている。
次にマスト細胞からのヒスタミンやロイコトリエンの放出を抑えることだ。これにはバイオフラボノイドの一種である「ケルセチン」が効果を発揮する。
ケルセチンはマスト細胞の膜を強化し、安定性を高め、ヒスタミンなどが余計に放出されないように働いてくれる。ケルセチンはタマネギに多く含まれ、また脂溶性物質なので、オニオンリングなどを食べるようにするといいだろう。またルイボスティーにも、ケルセチンが多く含まれる。
次に「ビタミンC」だ。ビタミンCはマスト細胞の中でヒスタミンが作られるのを抑え、また放出されたヒスタミンを水酸化反応によって無力化してくれる。ただしかなりの量が必要で、1日3g以上は必須となる。
またロイコトリエンはアラキドン酸という脂肪酸から作られるが、この合成を防いでくれるのがEPAだ。青魚を多めに食べるとともに、EPAのサプリメントも摂るようにしておきたい。
免疫細胞は異物による刺激を受けると、細胞内にビタミンD受容体やビタミンD活性化酵素を発現する。そしてビタミンDを活性型(カルシトリオール)に変換し、これが自然免疫を増強してくれる。
さらに活性型ビタミンDは周辺の免疫細胞による抗体産生をコントロールしてくれるのだ。
活性型ビタミンDが少ないと免疫グロブリンEが増加してしまうことも知られている。
日光に当たることで活性型ビタミンDをつくることができるため、サーファーには花粉症がいないという都市伝説もあるくらいである。
またマグネシウムも有効となる。マグネシウムはマスト細胞が過剰なヒスタミンを放出するのを防いでくれるのだ。マグネシウムが不足しているとヒスタミンの遊離が促進されてしまい、花粉症の症状を悪化させてしまう。
花粉自体が侵入してこないように空気清浄機やマスクを駆使することも必要だが、こうした栄養戦略も非常に有効である。ぜひ試してほしい。