体重・筋量UP

Part 111 フリーウェイトかマシントレーニングか

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Part 111 フリーウェイトかマシントレーニングか

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目的:フリーウェイトとマシントレーニングの違いを知る
メリット:フリーウェイトとマシン、それぞれのよさを知った上でプログラムを作れる

 バーベルやダンベルのことを「フリーウェイト」と呼び、昔のトレーニーたちはフリーウェイトだけでトレーニングをしてきた。しかし時代が進み、トレーニングマシンが作られるようになった。多くのジムはフリーウェイトとトレーニングマシンの両方を設備として持っているが、それらをどのように使い分ければいいのだろうか。

 ■角度によって負荷が変わる 

フリーウェイトの一番の問題は、角度によって負荷が変わるということだ。バーベルカールの場合、最初は軽く、だんだん重くなり、最後はまた軽くなる。これは重力のベクトル(鉛直)と、関節の曲がる方向(円)との違いによるものだ。

 また垂直に挙げる場合でも、例えばスクワットの場合は最初が重く、だんだんと軽くなってくる。これは関節が深く曲がっている時は力を発揮しにくく、あまり曲がっていない時は力を発揮しやすいからだ。

 しかしカムの形状に留意したトレーニングマシンを使えば、角度によって負荷が大きく変わるようなことはない。関節を伸ばしている時も曲げている時も、同じように強い負荷をかけ続けることができる。

 この点で考えれば、マシンのほうが優れているといえるだろう。

■ネガティブでの負荷は? 

筋肉が伸びながら力を出す方が、人体は強い負荷を発揮できる。100kgのベンチプレスを挙げることができなくても、ゆっくりと下ろすことはできるかもしれない。

 筋肉が伸びながら力を発揮することを「エキセントリック」あるいは「ネガティブ」と呼び、逆に縮みながら負荷を発揮することを「コンセントリック」あるいは「ポジティブ」と呼ぶ。

 トレーニングマシンの場合、どんなに設計が優秀であっても摩擦が必ず生じる。そして摩擦はポジティブ動作の時はウェイトを重くするように働き、ネガティブ動作の時はウェイトを軽くするように働く。そのため、マシントレーニングは本来強い力が発揮できるネガティブ局面において、負荷が弱まってしまうという問題がある。

 ネガティブで強い負荷がかかると筋肉痛になりやすいが、フリーウェイトでは筋肉痛になるのに、マシンだとならないということもよく聞く話であろう。

■モーターユニットとスタビライザー

 1つの運動神経とそれが支配する筋線維のことを「モーターユニット」と呼ぶ。フリーウェイトは軌道が安定していない。そのため、動作を安定させようとして多くの神経が必要とされる。この時、多くのモーターユニットが動員されることになる。つまりフリーウェイトの方が、多くの筋線維を動員することにもなる。


これは単一の筋肉での話だが、軌道を安定させるために他の筋肉が使われることもある。これを補助筋(スタビライザー)と呼ぶ。フリーウェイトはスタビライザーも必要とするため、より多くの筋肉を使う。逆にマシンは軌道が安定しているため、モーターユニット動員数は少なくなり、スタビライザーもあまり使われない。

 ■身体に合わないマシンもある

 多くのトレーニングマシンは海外で作られており、作りも大きくなっている。そのため骨格的に小さい日本人や女性の場合、マシンが身体に合わないことも多い。

 最近では日本人向けに作られたコンパクトなマシンも出てきているようなので、そういったマシンが置いてあるジムを選ぶといいだろう。

 ■初心者はどちらから?

 初心者は動作の簡単なマシントレーニングから行うことが多い。しかし前述の通り、マシンではスタビライザーが鍛えられない。そのため、いざフリーウェイトに移行した時にふらついてしまい、動作の習得に時間がかかることがある。

 またフリーウェイトはケガをしやすいといわれるが、決してそんなことはない。もちろん間違ったフォームでスクワットやデッドリフトを行えばケガを誘発しかねないが、正しいフォームを習得させてくれるトレーナーがいるジムならば、その心配は不要だろう。むしろ身体に合わないトレーニングマシンを無理に使う方が、ケガの原因になりかねないともいえる。

 初心者の場合、基本的ないくつかの種目はフリーウェイトで行い(習い)、残りはマシンを使うといいだろう。例えばベンチプレスとスクワットはフリーウェイトで行い、マシントレーニングとしてラットプルダウンやショルダープレス、プレスダウン、アブドミナルマシンなどを行うようにする。

 そして中級になるにつれ、フリーウェイトの割合を増やしていくのだ。上級になったらほとんどをフリーウェイトで行い、補助的にマシントレーニングを行うぐらいでいいだろう。

 心機一転、ジムに入会してトレーニングを始めようとする人も多いはずだ。ジムを選ぶ上で、この考え方をぜひ参考にしてほしい。 

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目的:フリーウェイトとマシントレーニングの違いを知る
メリット:フリーウェイトとマシン、それぞれのよさを知った上でプログラムを作れる

 バーベルやダンベルのことを「フリーウェイト」と呼び、昔のトレーニーたちはフリーウェイトだけでトレーニングをしてきた。しかし時代が進み、トレーニングマシンが作られるようになった。多くのジムはフリーウェイトとトレーニングマシンの両方を設備として持っているが、それらをどのように使い分ければいいのだろうか。

 ■角度によって負荷が変わる 

フリーウェイトの一番の問題は、角度によって負荷が変わるということだ。バーベルカールの場合、最初は軽く、だんだん重くなり、最後はまた軽くなる。これは重力のベクトル(鉛直)と、関節の曲がる方向(円)との違いによるものだ。

 また垂直に挙げる場合でも、例えばスクワットの場合は最初が重く、だんだんと軽くなってくる。これは関節が深く曲がっている時は力を発揮しにくく、あまり曲がっていない時は力を発揮しやすいからだ。

 しかしカムの形状に留意したトレーニングマシンを使えば、角度によって負荷が大きく変わるようなことはない。関節を伸ばしている時も曲げている時も、同じように強い負荷をかけ続けることができる。

 この点で考えれば、マシンのほうが優れているといえるだろう。

■ネガティブでの負荷は? 

筋肉が伸びながら力を出す方が、人体は強い負荷を発揮できる。100kgのベンチプレスを挙げることができなくても、ゆっくりと下ろすことはできるかもしれない。

 筋肉が伸びながら力を発揮することを「エキセントリック」あるいは「ネガティブ」と呼び、逆に縮みながら負荷を発揮することを「コンセントリック」あるいは「ポジティブ」と呼ぶ。

 トレーニングマシンの場合、どんなに設計が優秀であっても摩擦が必ず生じる。そして摩擦はポジティブ動作の時はウェイトを重くするように働き、ネガティブ動作の時はウェイトを軽くするように働く。そのため、マシントレーニングは本来強い力が発揮できるネガティブ局面において、負荷が弱まってしまうという問題がある。

 ネガティブで強い負荷がかかると筋肉痛になりやすいが、フリーウェイトでは筋肉痛になるのに、マシンだとならないということもよく聞く話であろう。

■モーターユニットとスタビライザー

 1つの運動神経とそれが支配する筋線維のことを「モーターユニット」と呼ぶ。フリーウェイトは軌道が安定していない。そのため、動作を安定させようとして多くの神経が必要とされる。この時、多くのモーターユニットが動員されることになる。つまりフリーウェイトの方が、多くの筋線維を動員することにもなる。


これは単一の筋肉での話だが、軌道を安定させるために他の筋肉が使われることもある。これを補助筋(スタビライザー)と呼ぶ。フリーウェイトはスタビライザーも必要とするため、より多くの筋肉を使う。逆にマシンは軌道が安定しているため、モーターユニット動員数は少なくなり、スタビライザーもあまり使われない。

 ■身体に合わないマシンもある

 多くのトレーニングマシンは海外で作られており、作りも大きくなっている。そのため骨格的に小さい日本人や女性の場合、マシンが身体に合わないことも多い。

 最近では日本人向けに作られたコンパクトなマシンも出てきているようなので、そういったマシンが置いてあるジムを選ぶといいだろう。

 ■初心者はどちらから?

 初心者は動作の簡単なマシントレーニングから行うことが多い。しかし前述の通り、マシンではスタビライザーが鍛えられない。そのため、いざフリーウェイトに移行した時にふらついてしまい、動作の習得に時間がかかることがある。

 またフリーウェイトはケガをしやすいといわれるが、決してそんなことはない。もちろん間違ったフォームでスクワットやデッドリフトを行えばケガを誘発しかねないが、正しいフォームを習得させてくれるトレーナーがいるジムならば、その心配は不要だろう。むしろ身体に合わないトレーニングマシンを無理に使う方が、ケガの原因になりかねないともいえる。

 初心者の場合、基本的ないくつかの種目はフリーウェイトで行い(習い)、残りはマシンを使うといいだろう。例えばベンチプレスとスクワットはフリーウェイトで行い、マシントレーニングとしてラットプルダウンやショルダープレス、プレスダウン、アブドミナルマシンなどを行うようにする。

 そして中級になるにつれ、フリーウェイトの割合を増やしていくのだ。上級になったらほとんどをフリーウェイトで行い、補助的にマシントレーニングを行うぐらいでいいだろう。

 心機一転、ジムに入会してトレーニングを始めようとする人も多いはずだ。ジムを選ぶ上で、この考え方をぜひ参考にしてほしい。