体重・脂肪DOWN
目的:心肺機能改善、体脂肪減少
メリット:短時間の運動で効果を得ることができる
「インターバルトレーニング」を部活動で行ったことのあるウォリアーも多いはずだ。グランドを全力で1周走り、次の1周はジョグ。それを繰り返すといったインターバルトレーニングは「きつくてイヤな」思い出しかないかもしれない。
スピードスケートの名コーチ入澤孝一氏がこれをブラッシュアップし、効果を高め、黒岩彰選手(カルガリー五輪銀メダリスト)など多くの選手を育て上げた。そして入澤氏がその方法の科学的根拠を求め、田畑泉氏に依頼して研究が始まった。そして田畑氏がその方法を論文にまとめて発表したところ、欧米で瞬く間に広まったのである。
その方法を「タバタ・トレーニング」と呼ぶ。具体的には「20秒全力(最大酸素摂取量の170%)⇔10秒軽く」を6~7セット行う、というものだ。トータル4分といったところで、非常に短時間の運動である。
なぜこの方法が効果をもたらすのか。
最大酸素摂取量の100%は、その人が摂取できる最大限の酸素を取り入れていることになる。これを遥かに超える170%でトレーニングすることにより、有酸素性エネルギー供給機構が最大限に刺激される。これが最大酸素摂取量を増やすことにつながる。つまり有酸素性能力を高めるわけだ。
また170%ということは、酸素が足りなくなる。このとき身体はエネルギーを前借りして他から持ってくる(酸素借)。それが無酸素系エネルギー供給機構だ。激しい運動後は呼吸が乱れた状態が続くが、これは「前借りした酸素(酸素負債)を返している状態」と考えてほしい(図1)
図1. 高強度運動中のエネルギー代謝(酸素借と酸素負債)
タバタ・トレーニングをやってみよう。最初の数セットはそれほどきつくないはずだ。全力での運動なので、無酸素性エネルギー供給が大半であり、有酸素性エネルギー供給はまだまだ少ない。しかし後半になってくると、だんだんきつくなってくる。無酸素性エネルギー供給ができなくなり、有酸素性エネルギー供給に頼らざるを得なくなってくる。そして最終セットのころには酸素摂取量がマックスに至り、最大酸素摂取量を増やすような刺激を与えられる、というわけだ。
それまでは有酸素能力は軽いランニングなど、無酸素能力はダッシュという感じで別々に分けてトレーニングするのが一般的だったが、タバタ論文の発表によって、両方を同時に鍛えることがトレンドとなった。
しかしオリジナルのタバタ・トレーニングは非常にきつく、多くの人はこなせない。Youtubeなどで「脂肪燃焼に効果的」などと言われているが、本来のタバタ・トレーニングは心肺機能強化のためのプロトコルであり、オリンピックレベルのアスリートでないと、ちゃんとこなすことはできないのだ。
そこで、脂肪燃焼を狙う一般向けの方法も考え出された。オリジナルと違うこれらのトレーニング法は「高強度インターバルトレーニング(HIIT)」と呼ばれる。例えば「60秒全力⇔75秒軽く」を8~12セットといったものだ。オリジナルは「全力:軽く」の割合が2:1なのに対し、こちらは4:5なので、だいぶ楽になってくる(図2)。
図2. オリジナルTABATAトレーニングと一般向けアレンジ
その代わり全体としての運動時間は長くなるが、脂肪燃焼や健康管理が目的で、一般的なHIITでは短くて物足りないというウォリアーは、こちらを試してみるといいだろう。
さらに楽にして、「8秒間のダッシュ⇔12秒間軽く」を20分に渡って行う方法も効果を示している(※1, ※2)。このプロトコルと普通の有酸素運動(最大酸素摂取量の60分間で40分間のエアロバイク)を比較した結果、HIITの方が多くの皮下脂肪(2.5kg)を減らすことができ、特に腹部の脂肪が大幅に減少した、という結果が出ている。
タバタ・トレーニング、もしくはHIITを行う場合、「自転車エルゴメーター」を使うことを勧めたい。回転数は1分間に100程度とし、全力で指定秒数(タバタなら20秒)は漕げる負荷を見つけ出す。インターバル(タバタなら10秒)の間は、軽い負荷に切り替えて漕ぐようにする。
自転車エルゴメーターでのTABATAトレーニング ※安全に十分配慮して行っています
ただし、いきなり始めるのではなく、最初の5分は軽く漕いでウォームアップをしたい。そして、終えてからも5~10分は軽く漕ぎ、クールダウンさせるようにするといいだろう。
自転車エルゴメーターがない場合、「バーピー」がいいだろう。立った状態から腕立て伏せの態勢をとり、また立ち上がってジャンプする。これを全速力で繰り返すのだ。
バーピージャンプでのTABATAトレーニング ※安全に十分配慮して行っています
インターバルの間は軽く「その場足踏み」などをするといい。あるいは階段などを全力ダッシュし、ゆっくりと降りてくるのを繰り返すという方法もある。
なお「上半身だけ」でのHIITは運動強度が低く、効果は薄い。できるだけ全身を動かすような動きで行うようにしたい。
目的:心肺機能改善、体脂肪減少
メリット:短時間の運動で効果を得ることができる
「インターバルトレーニング」を部活動で行ったことのあるウォリアーも多いはずだ。グランドを全力で1周走り、次の1周はジョグ。それを繰り返すといったインターバルトレーニングは「きつくてイヤな」思い出しかないかもしれない。
スピードスケートの名コーチ入澤孝一氏がこれをブラッシュアップし、効果を高め、黒岩彰選手(カルガリー五輪銀メダリスト)など多くの選手を育て上げた。そして入澤氏がその方法の科学的根拠を求め、田畑泉氏に依頼して研究が始まった。そして田畑氏がその方法を論文にまとめて発表したところ、欧米で瞬く間に広まったのである。
その方法を「タバタ・トレーニング」と呼ぶ。具体的には「20秒全力(最大酸素摂取量の170%)⇔10秒軽く」を6~7セット行う、というものだ。トータル4分といったところで、非常に短時間の運動である。
なぜこの方法が効果をもたらすのか。
最大酸素摂取量の100%は、その人が摂取できる最大限の酸素を取り入れていることになる。これを遥かに超える170%でトレーニングすることにより、有酸素性エネルギー供給機構が最大限に刺激される。これが最大酸素摂取量を増やすことにつながる。つまり有酸素性能力を高めるわけだ。
また170%ということは、酸素が足りなくなる。このとき身体はエネルギーを前借りして他から持ってくる(酸素借)。それが無酸素系エネルギー供給機構だ。激しい運動後は呼吸が乱れた状態が続くが、これは「前借りした酸素(酸素負債)を返している状態」と考えてほしい(図1)
図1. 高強度運動中のエネルギー代謝(酸素借と酸素負債)
タバタ・トレーニングをやってみよう。最初の数セットはそれほどきつくないはずだ。全力での運動なので、無酸素性エネルギー供給が大半であり、有酸素性エネルギー供給はまだまだ少ない。しかし後半になってくると、だんだんきつくなってくる。無酸素性エネルギー供給ができなくなり、有酸素性エネルギー供給に頼らざるを得なくなってくる。そして最終セットのころには酸素摂取量がマックスに至り、最大酸素摂取量を増やすような刺激を与えられる、というわけだ。
それまでは有酸素能力は軽いランニングなど、無酸素能力はダッシュという感じで別々に分けてトレーニングするのが一般的だったが、タバタ論文の発表によって、両方を同時に鍛えることがトレンドとなった。
しかしオリジナルのタバタ・トレーニングは非常にきつく、多くの人はこなせない。Youtubeなどで「脂肪燃焼に効果的」などと言われているが、本来のタバタ・トレーニングは心肺機能強化のためのプロトコルであり、オリンピックレベルのアスリートでないと、ちゃんとこなすことはできないのだ。
そこで、脂肪燃焼を狙う一般向けの方法も考え出された。オリジナルと違うこれらのトレーニング法は「高強度インターバルトレーニング(HIIT)」と呼ばれる。例えば「60秒全力⇔75秒軽く」を8~12セットといったものだ。オリジナルは「全力:軽く」の割合が2:1なのに対し、こちらは4:5なので、だいぶ楽になってくる(図2)。
図2. オリジナルTABATAトレーニングと一般向けアレンジ
その代わり全体としての運動時間は長くなるが、脂肪燃焼や健康管理が目的で、一般的なHIITでは短くて物足りないというウォリアーは、こちらを試してみるといいだろう。
さらに楽にして、「8秒間のダッシュ⇔12秒間軽く」を20分に渡って行う方法も効果を示している(※1, ※2)。このプロトコルと普通の有酸素運動(最大酸素摂取量の60分間で40分間のエアロバイク)を比較した結果、HIITの方が多くの皮下脂肪(2.5kg)を減らすことができ、特に腹部の脂肪が大幅に減少した、という結果が出ている。
タバタ・トレーニング、もしくはHIITを行う場合、「自転車エルゴメーター」を使うことを勧めたい。回転数は1分間に100程度とし、全力で指定秒数(タバタなら20秒)は漕げる負荷を見つけ出す。インターバル(タバタなら10秒)の間は、軽い負荷に切り替えて漕ぐようにする。
自転車エルゴメーターでのTABATAトレーニング ※安全に十分配慮して行っています
ただし、いきなり始めるのではなく、最初の5分は軽く漕いでウォームアップをしたい。そして、終えてからも5~10分は軽く漕ぎ、クールダウンさせるようにするといいだろう。
自転車エルゴメーターがない場合、「バーピー」がいいだろう。立った状態から腕立て伏せの態勢をとり、また立ち上がってジャンプする。これを全速力で繰り返すのだ。
バーピージャンプでのTABATAトレーニング ※安全に十分配慮して行っています
インターバルの間は軽く「その場足踏み」などをするといい。あるいは階段などを全力ダッシュし、ゆっくりと降りてくるのを繰り返すという方法もある。
なお「上半身だけ」でのHIITは運動強度が低く、効果は薄い。できるだけ全身を動かすような動きで行うようにしたい。