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競技パフォーマンスUP

京都大学アメリカンフットボール部ギャングスターズ 「やり抜く」ための新ニュートリション・ストラテジー

京都大学アメリカンフットボール部ギャングスターズ 
「やり抜く」ための新ニュートリション・ストラテジー

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京都大学アメリカンフットボール部ギャングスターズ 「やり抜く」ための新ニュートリション・ストラテジー

京都大学アメリカンフットボール部ギャングスターズ 
「やり抜く」ための新ニュートリション・ストラテジー

誰もが知る国立の最難関大学。スポーツ推薦制度を持たず、大半の部員が大学からアメリカンフットボールを始めた経験の浅い選手達。そんなハンデをものともせず、6度の大学日本一に輝いた名門・京都大学ギャングスターズ。

ただし、最後に大学王座を戴冠したのは1996年。ここ20年あまり、関西学生リーグで立命館大、関西学院大の後塵を拝す。

だがそれでも、彼らが目線を落とすことはない。

国立の難関校というハンデを、強さの源泉へ。アドバンテージを最大限に生かし、彼らなりのやり方で虎視眈々と温める「逆襲」のプラン。その中核にあるフィジカル強化、そしてニュートリション戦略について、南川太志S&Cコーチ、キャプテンのDL(ディフェンスライン)渡部大智選手、DB(ディフェンシブバック)のパートリーダー・秋田慎平選手に話を聞いた。

■自分達は何のためにフットボールをやっているのか。

「この春は予定していたオープン戦がいくつか中止になりましたが、緊急事態宣言の発令前後に2試合でき、チームは4月24日の同志社大戦、6月25日の桃山学院大戦の2試合に、いずれも勝利を収めることができました。

試合が組めない期間は紅白戦形式でのスクリメージを毎週こなすなど、今年はそれなりに実戦経験を積むことができています。実戦経験という意味では、昨年のこの時期よりはいいのではないでしょうか。」


南川太志S&Cコーチ(写真左から2人目)はそう語る。

京都大学は誰もが知る国立の最難関大学。スポーツ推薦制度を持たず、部員の大半は大学からアメリカンフットボールを始めた経験の浅い選手達。そんなハンデをものともせず、6度の大学日本一に輝いた名門。それが京都大学ギャングスターズだ。

しかし、最後に大学王座を戴冠してから25年。現在は関西学生リーグで関西学院大、立命館大の後塵を拝す。近年の戦績は厳しく、2016年は6位。2017年は3位に食い込んだものの、2018年は6位、2019年は5位と、低迷が続いていた。

そこに、さらなる試練が襲う。

2020年はまさしく、コロナ禍に翻弄され続けた1年だった。緊急事態宣言に伴い、チームは4月から3カ月間、活動を自粛。7月10日にいったん対面での活動を再開するも、学内の団体でクラスターが発生。わずか10日あまりで、再び1カ月の活動自粛を余儀なくされてしまう。昨年の春シーズン、選手達はクラブハウスへの集合すらかなわず、オンラインでトレーニング、ミーティングを行う以外、活動は許されなかった。

南川「オンライン上のコミュニケーションだけで、チームが一つになることは難しい。自分達は何のためにフットボールをやっているのか。その自問自答をさせられるシーズンでした。もちろん勝つことは大事ですが、それ以前に学生達が集まってチームを作り、4年間という限られた時間の中で、時にはしんどい思いを共有しながら声をかけ合い、一つの目標に向かって進んでいくこと。その価値を痛感しました。」

チームが大学のグラウンドでの練習を再開できたのは8月中旬のこと。そしてコロナ禍の影響で、関西学生アメリカンフットボールリーグは例年から約2カ月遅れの10月に開幕に変更。トーナメント方式での開催となった。

チームはトーナメント初戦、関西大に16対24で惜敗。この1試合で優勝の望みは消えてしまう。それでも、初戦で敗れた同士の2戦目で同志社大に、3戦目で桃山学院大に勝利。特例で順位はつかなかったものの、8チーム中実質5位でシーズンは終了。目標としていた学生王者・関西学院大、そして圧倒的パワーを誇る強豪・立命館大への挑戦権すら得られない、悔いの残る1年だった。

■ウエイトトレーニングは、やればやるだけ成果が出る。

チームは2010年代から身体作りへの考え方を見直し、ウエイトトレーニングによるフィジカル強化を重点的に行ってきた。

彼らがなぜ、ウエイトトレーニングを重視するのか。その根幹には、実は合理的な思考がある。

南川「入試に向けて計画を立て、受験勉強をコツコツとやり抜いてきた京大生には、努力を継続する力があります。そしてチームには『一度やると決めたら、やり抜く』という伝統のカルチャーがある。その徹底ぶりこそがギャングスターズの強み。その点ウエイトトレーニングは、やればやるだけ成果が出るもの。目標に対し何が必要なのかを考え、それに毎日コツコツと取り組む能力という、京大生の利点を生かせる最たるものなんです。

選手の大半は高校までアメフト未経験。アメフトはおろか、まともに運動した経験のない選手も中にはいて、他大と比べてスタートラインは低い。でもそれをプラスで捉えれば、ほとんどの選手はまっさらな状態である、ということ。アメフトのテクニックも身体作りも、正しいやり方を合理的に教えれば、素直に吸収してくれる。厳しい大学受験を乗り越えてきたことが、立派なアドバンテージになるわけです。」

ただし当然ながら、ライバル校もウエイトトレーニングを重要視している。闇雲にトレーニングを行うだけでは、上位校との差を縮めるのは難しい。特筆すべきは、選手達の目標設定と管理に対するメッシュの細かさだ。一人一人が明確な目標設定を行い、それを幹部、スタッフとグリップ。達成度を厳密にチェックする。

南川「例えばウエイトトレーニングで言えば、攻守ラインやスキルポジションなど、ポジションごとに体重や筋力の目安を設定。それに対して個人個人の目標設定を行っています。

目標設定はいくつかの段階に分かれていて、まず2回生になった段階で、4回生の秋のシーズンでどれぐらいの体重と筋力になっているかを見据えた具体的な目標設定を行います。その上で今年の秋のリーグ初戦までにどういう体重で持っていくか。そのためには今どうするか、というところまで細かく落とし込み、達成度について幹部やパートリーダーが日々フィードバックします。」

チーム全体での管理も緻密だ。特に体重をしっかりとマネジメントしており、チーム全体とポジションごとの平均値、そして個人の数値の増減もチェックする。選手達は毎朝、起床時に必ず体重、体温、日々のコンディションをスマホアプリ上に入力。学生トレーナーが数値を管理、集約し、全員にシェアする。

南川「体重はなかなか一気には増えないので、計画的にやっていくことが大切。京大ではチーム全戦力の平均体重の目標を設定し、チーム全体での増量を進めています。当然スキルポジションのメンバーの増量には限りがあるので、鍵になるのはラインメンの増量です。今年は身長がそこまで高くはないですが、攻守ラインの選手が地道に頑張って数字を押し上げていますね。特にラインの下級生は、入部して20~30㎏増量するケースも珍しくありません。スキルポジションでも、1年で10~15㎏増やす選手は多くいます。

また、今年のチームは人数不足が課題。そのため、ケガをしない身体作りはよけい大事。ウエイトトレーニングを例年になくしっかりやる必要があると思っています。」

■選手同士で競い合うように、身体にいいものを作って食べる。

現在、ウエイトトレーニングとともに重要視しているのが、栄養摂取だ。ひたすら追い込むだけでは、身体はなかなか大きく強くなっていかない。トレーニング量に応じて適切な栄養を摂らなくては、ハードなトレーニングの意味がなくなってしまう。その自覚のもと、正しい栄養を十分な量摂ることに努めている。

彼らが関西学生リーグを席巻した90年代。躍進を支えたのが、1992年に竣工したクラブハウスだった。トレーニングルームやミーティングルームの他、食堂を備え、大学近辺で一人暮らしをしている選手達が質の高い栄養を摂取できるように配慮。選手達は、管理栄養士の指導のもと作られた栄養価の高い食事を、朝と夜の2回摂ることで、強い身体を作っていった。

しかし昨年、コロナ禍に伴う大学の内規の変更でクラブハウスの使用が禁止。今年に入ってトレーニングルームの使用許可は下りたものの、食堂は今も使えない。そのため選手達は各自、外食や自炊で対応。ここでも京大流の緻密な管理が行われている。

まず、チームが管理栄養士の指導のもと、たんぱく質や炭水化物、ビタミン類や食物繊維など、アスリートが摂るべき栄養素のリストを作成。選手達はそれに基づき、自らの食事内容を検討。食事の写真を撮ってメッセージアプリ上にシェアし、それに対して幹部やパートリーダーが「ツッコミ」を入れていく。

南川「みんな面白がってやっています。さまざまな指摘が入ってくるので、それなりに準備が必要。そして『今日は何を作ろうか』『次はこの食事を作ってみよう』とやっていくうちに、身体に必要な栄養素について考える習慣が徐々についてくる。そして指摘したりされたりを繰り返す中で、選手同士で競い合って身体にいいものを食べるカルチャーが生まれつつあります。

さらに、OBの方々からの自炊の支援も大きかったです。エネルギー摂取の中心となるお米と、タンパク質について、多大なサポートをいただきました。クラブハウスでの食事が制限される中、主食の大きな部分と、準備しづらい副菜のたんぱく質をいただけたのは、大きな助けとなりました。」

一昨年まで、クラブハウスに食堂を持っていることが強みになっていたが、昨年から選手個人の外食や自炊に代替えせざるを得なくなった。このことが、結果的にいいシナジー効果を生んだ。チームはコロナ禍という逆境を、選手達の栄養に関する知識と自覚の向上へとつなげていった。

「今は上級生ほど質の高い、つけ入るスキのない食事をしています。経験の浅い下級生が時々、食事の量や栄養素が足りないことがあるので、それに対して上級生が『こういう栄養が足りていないぞ』『もっとたくさん食えよ』という風にツッコミを入れていくことが多いですね。

例えばこの仕組みを始めたばかりのころ『僕の試合前のルーティーンはこれです』と言って唐揚げ定食を食べている選手がいました。それに対して『いや、試合前に揚げ物は脂質も多いし吸収も悪いからアカンやろ!』というように指摘する。それを全員が見れるアプリ上で行うことで、全体が『ゲン担ぎよりも栄養バランスをしっかり考えよう』となっていく。下級生のころはジャンクフードなど手軽な食事で済ませようとする選手もいますが、そういったことは学年が上がるにつれてなくなっていきます。」

語るのは、キャプテンのDL渡部大智選手。現在、身長180cm体重120㎏。入部当時の体重90~95㎏だったが、3年間ウエイトトレーニングに打ち込み、25㎏の増量に成功した。

チームでは数少ないアメフト経験者で下級生のころから試合に出場してきたが、昨年から自炊に取り組んだことで、栄養バランスをより意識するようになった。


渡部「以前は例えば『肉とご飯を食べていればOK』ぐらいのざっくりした感じで捉えていましたが、今はそれが緻密になった。例えばたんぱく質と炭水化物を摂る時、野菜を食べてビタミンもちゃんと摂らないと吸収が悪くなるとか、たんぱく質も鶏肉ばかりじゃなく、魚や大豆製品などからもバランスよく摂る方がいいとか。あとは品数を多くすることも意識していますね」

DBのパートリーダー・秋田慎平選手は、小学校から高校までフラッグフットボールを経験。大学に入ってアメリカンフットボールを始めた。現在、身長180㎝体重86~87㎏。入部当初は62~63㎏だったが、やはり25㎏近い増量に成功している。

「本格的に身体作りに取り組んだのは大学に入ってから。1回生の時、とにかくたくさんご飯を食べてプロテインを飲んで、時間が空いたら何かを食べて、寝る前にプロテインを飲んでという生活をして、ガッツリ上げました。もともと胃腸が強いので、その後もしっかり食べて順調に増えていきました。

昨年から自炊を始めたら意外と楽しくて、ツナで炊き込みご飯を作ったりと、凝ることも時々(笑)。あとは食べ合わせも考えるようになりましたね。例えば納豆と卵を一緒に食べるとたんぱく質の吸収がよくなると聞き、取り入れてみたりもしました。」

もちろん、食事だけではなかなか十分な栄養素を摂り切れない。そういった時は、サプリメントを積極的に活用している。

秋田「今は毎日の食事でたんぱく質をなるべく摂りつつ、足りない分をプロテインホエイ100で補う。これがベースで、あとはトレーニング中のBCAAですね。1回生の冬の増量期から飲み始めたのですが、筋トレの数値が安定して伸びていきました。それと最近、エナジージェルをトレーニング前に飲んでいて、ルーティーン化しています。飲むとやる気が増して、強くなれる気がします(笑)。

大学に入って以来、ずっとDNSの製品を使っています。海外の安いサプリメントもありますが、DNSはそれらと比べて信頼度が高いので、安心して身体を大きくできます。」

プロテインホエイ100

【1食(35g)あたり】

エネルギー:142kcal、たんぱく質:24.2g(無水物換算値:25.3g)、脂質:2.9g、炭水化物:4.7g、ナトリウム:118mg(食塩相当量:0.3g)

詳しい情報・ご購入はこちらから DNS Online Shop


エネルギー:22kcal、たんぱく質:5.0g、脂質:0.02g、炭水化物:0.4g、ナトリウム:9mg(食塩相当量:0~0.1g)、L-ロイシン:2,450.0mg、L-バリン:1,375.5mg、L-イソロイシン:1,375.5mg“]

チーム全体として、今や練習やウエイトトレーニングの後にプロテインを飲むのは当然のこと。そこに何を加えるかについては、基本的に選手に任されている。トレーニング前やトレーニング中にBCAAを摂ったり、栄養素の吸収を助けるためにビタミンSPを積極的に活用するなど、知識のある選手達がリードする形で情報交換を行い、栄養に関する知識を高めている。

BCAA

【1回(5.5g)あたり】

エネルギー:22kcal、たんぱく質:5.0g、脂質:0.02g、炭水化物:0.4g、ナトリウム:9mg(食塩相当量:0~0.1g)、L-ロイシン:2,450.0mg、L-バリン:1,375.5mg、L-イソロイシン:1,375.5mg

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■困難をチャンスに変える。

テスト期間でもある7月は、個人の身体作りとパート練習が主体。春の試合で出た課題をひたすら潰していた。ウエイトトレーニングはクラブハウスの設備を使い、ポジションごとに時間をずらすなどの工夫をしながら取り組む。また、学外施設である、京都スポーツプロジェクトのサポートもと、加速度計やGPSといった最新のデジタルデバイスを活用し、より効率的な強化にも取り組んでいる。やると決めたらやる精神的な土壌に、最新の科学的知見に基づいた選手強化を組み合わせ、目指すのは関西のトップ2・関西学院大と立命館大と互角以上に戦える身体作りだ。

昨年と比べて、状況はかなり好転した。目標はあくまで、学生日本一。だが、そこに至る道のりは非常に険しく、苦しいものになるのも間違いない。

渡部「上位チームと一番違うのは個人のレベルだと思います。アメリカンフットボールは最終的に1対1の勝負へと収斂する。だから、関学や立命館を相手にしても1対1をしっかりブレイクできるレベルに持っていくことです。

もちろん、差があることはわかっています。だからこそ、やらなくてはいけないのは今のこの時期。今こそ各自がしっかりと課題を克服する。そして8月に入ってから、それをチームの強さへと変えていきます」

すべては再び日本一の座に返り咲くため。コロナ禍によって訪れた困難をチャンスに変えるべく、チームは自らのアドバンテージを最大に生かし、すべてに粘り強く取り組んでいく。その積み重ねはこの秋のリーグ戦で、京大らしい力強いプレーとして結実するはずだ。

雌伏を超え、逆襲へ。時は来た。

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誰もが知る国立の最難関大学。スポーツ推薦制度を持たず、大半の部員が大学からアメリカンフットボールを始めた経験の浅い選手達。そんなハンデをものともせず、6度の大学日本一に輝いた名門・京都大学ギャングスターズ。

ただし、最後に大学王座を戴冠したのは1996年。ここ20年あまり、関西学生リーグで立命館大、関西学院大の後塵を拝す。

だがそれでも、彼らが目線を落とすことはない。

国立の難関校というハンデを、強さの源泉へ。アドバンテージを最大限に生かし、彼らなりのやり方で虎視眈々と温める「逆襲」のプラン。その中核にあるフィジカル強化、そしてニュートリション戦略について、南川太志S&Cコーチ、キャプテンのDL(ディフェンスライン)渡部大智選手、DB(ディフェンシブバック)のパートリーダー・秋田慎平選手に話を聞いた。

■自分達は何のためにフットボールをやっているのか。

「この春は予定していたオープン戦がいくつか中止になりましたが、緊急事態宣言の発令前後に2試合でき、チームは4月24日の同志社大戦、6月25日の桃山学院大戦の2試合に、いずれも勝利を収めることができました。

試合が組めない期間は紅白戦形式でのスクリメージを毎週こなすなど、今年はそれなりに実戦経験を積むことができています。実戦経験という意味では、昨年のこの時期よりはいいのではないでしょうか。」

南川太志S&Cコーチはそう語る。


南川太志S&Cコーチ(写真左から2人目)


京都大学は誰もが知る国立の最難関大学。スポーツ推薦制度を持たず、部員の大半は大学からアメリカンフットボールを始めた経験の浅い選手達。そんなハンデをものともせず、6度の大学日本一に輝いた名門。それが京都大学ギャングスターズだ。

しかし、最後に大学王座を戴冠してから25年。現在は関西学生リーグで関西学院大、立命館大の後塵を拝す。近年の戦績は厳しく、2016年は6位。2017年は3位に食い込んだものの、2018年は6位、2019年は5位と、低迷が続いていた。

そこに、さらなる試練が襲う。

2020年はまさしく、コロナ禍に翻弄され続けた1年だった。緊急事態宣言に伴い、チームは4月から3カ月間、活動を自粛。7月10日にいったん対面での活動を再開するも、学内の団体でクラスターが発生。わずか10日あまりで、再び1カ月の活動自粛を余儀なくされてしまう。昨年の春シーズン、選手達はクラブハウスへの集合すらかなわず、オンラインでトレーニング、ミーティングを行う以外、活動は許されなかった。

南川「オンライン上のコミュニケーションだけで、チームが一つになることは難しい。自分達は何のためにフットボールをやっているのか。その自問自答をさせられるシーズンでした。もちろん勝つことは大事ですが、それ以前に学生達が集まってチームを作り、4年間という限られた時間の中で、時にはしんどい思いを共有しながら声をかけ合い、一つの目標に向かって進んでいくこと。その価値を痛感しました。」

チームが大学のグラウンドでの練習を再開できたのは8月中旬のこと。そしてコロナ禍の影響で、関西学生アメリカンフットボールリーグは例年から約2カ月遅れの10月に開幕に変更。トーナメント方式での開催となった。

チームはトーナメント初戦、関西大に16対24で惜敗。この1試合で優勝の望みは消えてしまう。それでも、初戦で敗れた同士の2戦目で同志社大に、3戦目で桃山学院大に勝利。特例で順位はつかなかったものの、8チーム中実質5位でシーズンは終了。目標としていた学生王者・関西学院大、そして圧倒的パワーを誇る強豪・立命館大への挑戦権すら得られない、悔いの残る1年だった。

■ウエイトトレーニングは、やればやるだけ成果が出る。

チームは2010年代から身体作りへの考え方を見直し、ウエイトトレーニングによるフィジカル強化を重点的に行ってきた。

彼らがなぜ、ウエイトトレーニングを重視するのか。その根幹には、実は合理的な思考がある。

南川「入試に向けて計画を立て、受験勉強をコツコツとやり抜いてきた京大生には、努力を継続する力があります。そしてチームには『一度やると決めたら、やり抜く』という伝統のカルチャーがある。その徹底ぶりこそがギャングスターズの強み。その点ウエイトトレーニングは、やればやるだけ成果が出るもの。目標に対し何が必要なのかを考え、それに毎日コツコツと取り組む能力という、京大生の利点を生かせる最たるものなんです。

選手の大半は高校までアメフト未経験。アメフトはおろか、まともに運動した経験のない選手も中にはいて、他大と比べてスタートラインは低い。でもそれをプラスで捉えれば、ほとんどの選手はまっさらな状態である、ということ。アメフトのテクニックも身体作りも、正しいやり方を合理的に教えれば、素直に吸収してくれる。厳しい大学受験を乗り越えてきたことが、立派なアドバンテージになるわけです。」

ただし当然ながら、ライバル校もウエイトトレーニングを重要視している。闇雲にトレーニングを行うだけでは、上位校との差を縮めるのは難しい。特筆すべきは、選手達の目標設定と管理に対するメッシュの細かさだ。一人一人が明確な目標設定を行い、それを幹部、スタッフとグリップ。達成度を厳密にチェックする。

南川「例えばウエイトトレーニングで言えば、攻守ラインやスキルポジションなど、ポジションごとに体重や筋力の目安を設定。それに対して個人個人の目標設定を行っています。

目標設定はいくつかの段階に分かれていて、まず2回生になった段階で、4回生の秋のシーズンでどれぐらいの体重と筋力になっているかを見据えた具体的な目標設定を行います。その上で今年の秋のリーグ初戦までにどういう体重で持っていくか。そのためには今どうするか、というところまで細かく落とし込み、達成度について幹部やパートリーダーが日々フィードバックします。」


体重の目標設定


チーム全体での管理も緻密だ。特に体重をしっかりとマネジメントしており、チーム全体とポジションごとの平均値、そして個人の数値の増減もチェックする。選手達は毎朝、起床時に必ず体重、体温、日々のコンディションをスマホアプリ上に入力。学生トレーナーが数値を管理、集約し、全員にシェアする。


日々の体重管理の重要性


南川「体重はなかなか一気には増えないので、計画的にやっていくことが大切。京大ではチーム全戦力の平均体重の目標を設定し、チーム全体での増量を進めています。当然スキルポジションのメンバーの増量には限りがあるので、鍵になるのはラインメンの増量です。今年は身長がそこまで高くはないですが、攻守ラインの選手が地道に頑張って数字を押し上げていますね。特にラインの下級生は、入部して20~30㎏増量するケースも珍しくありません。スキルポジションでも、1年で10~15㎏増やす選手は多くいます。

また、今年のチームは人数不足が課題。そのため、ケガをしない身体作りはよけい大事。ウエイトトレーニングを例年になくしっかりやる必要があると思っています。」

■選手同士で競い合うように、身体にいいものを作って食べる。

現在、ウエイトトレーニングとともに重要視しているのが、栄養摂取だ。ひたすら追い込むだけでは、身体はなかなか大きく強くなっていかない。トレーニング量に応じて適切な栄養を摂らなくては、ハードなトレーニングの意味がなくなってしまう。その自覚のもと、正しい栄養を十分な量摂ることに努めている。

彼らが関西学生リーグを席巻した90年代。躍進を支えたのが、1992年に竣工したクラブハウスだった。トレーニングルームやミーティングルームの他、食堂を備え、大学近辺で一人暮らしをしている選手達が質の高い栄養を摂取できるように配慮。選手達は、管理栄養士の指導のもと作られた栄養価の高い食事を、朝と夜の2回摂ることで、強い身体を作っていった。

しかし昨年、コロナ禍に伴う大学の内規の変更でクラブハウスの使用が禁止。今年に入ってトレーニングルームの使用許可は下りたものの、食堂は今も使えない。そのため選手達は各自、外食や自炊で対応。ここでも京大流の緻密な管理が行われている。

まず、チームが管理栄養士の指導のもと、たんぱく質や炭水化物、ビタミン類や食物繊維など、アスリートが摂るべき栄養素のリストを作成。選手達はそれに基づき、自らの食事内容を検討。食事の写真を撮ってメッセージアプリ上にシェアし、それに対して幹部やパートリーダーが「ツッコミ」を入れていく。


部員による食事投稿


南川「みんな面白がってやっています。さまざまな指摘が入ってくるので、それなりに準備が必要。そして『今日は何を作ろうか』『次はこの食事を作ってみよう』とやっていくうちに、身体に必要な栄養素について考える習慣が徐々についてくる。そして指摘したりされたりを繰り返す中で、選手同士で競い合って身体にいいものを食べるカルチャーが生まれつつあります。

さらに、OBの方々からの自炊の支援も大きかったです。エネルギー摂取の中心となるお米と、タンパク質について、多大なサポートをいただきました。クラブハウスでの食事が制限される中、主食の大きな部分と、準備しづらい副菜のたんぱく質をいただけたのは、大きな助けとなりました。」

一昨年まで、クラブハウスに食堂を持っていることが強みになっていたが、昨年から選手個人の外食や自炊に代替えせざるを得なくなった。このことが、結果的にいいシナジー効果を生んだ。チームはコロナ禍という逆境を、選手達の栄養に関する知識と自覚の向上へとつなげていった。

「今は上級生ほど質の高い、つけ入るスキのない食事をしています。経験の浅い下級生が時々、食事の量や栄養素が足りないことがあるので、それに対して上級生が『こういう栄養が足りていないぞ』『もっとたくさん食えよ』という風にツッコミを入れていくことが多いですね。

例えばこの仕組みを始めたばかりのころ『僕の試合前のルーティーンはこれです』と言って唐揚げ定食を食べている選手がいました。それに対して『いや、試合前に揚げ物は脂質も多いし吸収も悪いからアカンやろ!』というように指摘する。それを全員が見れるアプリ上で行うことで、全体が『ゲン担ぎよりも栄養バランスをしっかり考えよう』となっていく。下級生のころはジャンクフードなど手軽な食事で済ませようとする選手もいますが、そういったことは学年が上がるにつれてなくなっていきます。」

語るのは、キャプテンのDL渡部大智選手。現在、身長180cm体重120㎏。入部当時の体重90~95㎏だったが、3年間ウエイトトレーニングに打ち込み、25㎏の増量に成功した。チームでは数少ないアメフト経験者で下級生のころから試合に出場してきたが、昨年から自炊に取り組んだことで、栄養バランスをより意識するようになった。


DL渡部大智選手


渡部「以前は例えば『肉とご飯を食べていればOK』ぐらいのざっくりした感じで捉えていましたが、今はそれが緻密になった。例えばたんぱく質と炭水化物を摂る時、野菜を食べてビタミンもちゃんと摂らないと吸収が悪くなるとか、たんぱく質も鶏肉ばかりじゃなく、魚や大豆製品などからもバランスよく摂る方がいいとか。あとは品数を多くすることも意識していますね」

DBのパートリーダー・秋田慎平選手は、小学校から高校までフラッグフットボールを経験。大学に入ってアメリカンフットボールを始めた。現在、身長180㎝体重86~87㎏。入部当初は62~63㎏だったが、やはり25㎏近い増量に成功している。


DB秋田慎平選手

「本格的に身体作りに取り組んだのは大学に入ってから。1回生の時、とにかくたくさんご飯を食べてプロテインを飲んで、時間が空いたら何かを食べて、寝る前にプロテインを飲んでという生活をして、ガッツリ上げました。もともと胃腸が強いので、その後もしっかり食べて順調に増えていきました。

昨年から自炊を始めたら意外と楽しくて、ツナで炊き込みご飯を作ったりと、凝ることも時々(笑)。あとは食べ合わせも考えるようになりましたね。例えば納豆と卵を一緒に食べるとたんぱく質の吸収がよくなると聞き、取り入れてみたりもしました。」

もちろん、食事だけではなかなか十分な栄養素を摂り切れない。そういった時は、サプリメントを積極的に活用している。

秋田「今は毎日の食事でたんぱく質をなるべく摂りつつ、足りない分をプロテインホエイ100で補う。これがベースで、あとはトレーニング中のBCAAですね。1回生の冬の増量期から飲み始めたのですが、筋トレの数値が安定して伸びていきました。それと最近、エナジージェルをトレーニング前に飲んでいて、ルーティーン化しています。飲むとやる気が増して、強くなれる気がします(笑)。

大学に入って以来、ずっとDNSの製品を使っています。海外の安いサプリメントもありますが、DNSはそれらと比べて信頼度が高いので、安心して身体を大きくできます。」

プロテインホエイ100

【1食(35g)あたり】

エネルギー:142kcal、たんぱく質:24.2g(無水物換算値:25.3g)、脂質:2.9g、炭水化物:4.7g、ナトリウム:118mg(食塩相当量:0.3g)

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チーム全体として、今や練習やウエイトトレーニングの後にプロテインを飲むのは当然のこと。そこに何を加えるかについては、基本的に選手に任されている。トレーニング前やトレーニング中にBCAAを摂ったり、栄養素の吸収を助けるためにビタミンSPを積極的に活用するなど、知識のある選手達がリードする形で情報交換を行い、栄養に関する知識を高めている。

BCAA

【1回(5.5g)あたり】

エネルギー:22kcal、たんぱく質:5.0g、脂質:0.02g、炭水化物:0.4g、ナトリウム:9mg(食塩相当量:0~0.1g)、L-ロイシン:2,450.0mg、L-バリン:1,375.5mg、L-イソロイシン:1,375.5mg

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■困難をチャンスに変える。

テスト期間でもある7月は、個人の身体作りとパート練習が主体。春の試合で出た課題をひたすら潰していた。ウエイトトレーニングはクラブハウスの設備を使い、ポジションごとに時間をずらすなどの工夫をしながら取り組む。また、学外施設である、京都スポーツプロジェクトのサポートもと、加速度計やGPSといった最新のデジタルデバイスを活用し、より効率的な強化にも取り組んでいる。やると決めたらやる精神的な土壌に、最新の科学的知見に基づいた選手強化を組み合わせ、目指すのは関西のトップ2・関西学院大と立命館大と互角以上に戦える身体作りだ。

昨年と比べて、状況はかなり好転した。目標はあくまで、学生日本一。だが、そこに至る道のりは非常に険しく、苦しいものになるのも間違いない。

渡部「上位チームと一番違うのは個人のレベルだと思います。アメリカンフットボールは最終的に1対1の勝負へと収斂する。だから、関学や立命館を相手にしても1対1をしっかりブレイクできるレベルに持っていくことです。

もちろん、差があることはわかっています。だからこそ、やらなくてはいけないのは今のこの時期。今こそ各自がしっかりと課題を克服する。そして8月に入ってから、それをチームの強さへと変えていきます」

すべては再び日本一の座に返り咲くため。コロナ禍によって訪れた困難をチャンスに変えるべく、チームは自らのアドバンテージを最大に生かし、すべてに粘り強く取り組んでいく。その積み重ねはこの秋のリーグ戦で、京大らしい力強いプレーとして結実するはずだ。

雌伏を超え、逆襲へ。時は来た。