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競技パフォーマンスUP

Part 122 クイックリフトの有効性とプログラミング

クイックリフトの有効性とプログラミング

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Part 122 クイックリフトの有効性とプログラミング

クイックリフトの有効性とプログラミング

ある漫画で「筋肉を増やし過ぎてスピードが落ちた」という描写がされていたが、多くの日本人はこれに納得してしまいがちである。スプリンターをはじめとする多くのアスリートの身体を見れば、それが間違いだと言うことはすぐに理解できるだろう。

ただし素人がいきなりF1のマシンを運転しても、良いタイムが出せるとは限らない。ウェイトトレーニングにおける多くのエクササイズは単純な動きであるが、実際の競技では複雑な動きが行われ、多くの筋肉群が同時に力を発揮できるようになる必要がある。

つまりマシンを強化したら、次は運転技術を磨く必要があるわけだ。そのために有効となるのが「クイックリフト」である。クイックリフトにおいては数多くの筋肉群が使用され、また「静から動」への爆発的な筋力発揮が必要とされる。さらに拮抗筋の関与が少なくなり、「力み」を抑制した動きを学習することができる。

■ハング・ハイプル

クイックリフトの代表格はウェイトリフティングで行われるスナッチとジャークだが、どちらもフォームが難しく、マスターするのには時間がかかる。またパワークリーンも行われることが多いが、キャッチの際に手首を傷めてしまうことがあり、これも初心者にはオススメしにくい。

そこで、「ハング・ハイプル」を紹介しよう。反動を使って行うアップライトロウイングのようなエクササイズだが、いくつか違う点がある。

■ハング・ハイプルのやり方

1.グリップは肩幅より広めに。
2.膝上から爆発的に大胸筋上部から鼻のあたりまで引き挙げる。
3.股関節を足首の力も使い、挙げ切ったときにはつま先立ちになるようにする。
4.バーはできるだけ身体の近くを通るようにする。
5.慣れてきたら重量を重くしていく

ポイントとしては腕の力を極力使わないことで、股関節と足首の伸展動作、そしてシュラッグ動作で肩をすくめきってからヒジが自然と曲がっていくような意識で行うようにする。

■ダンベル・プッシュプレス 

下半身の力を上半身に上手く伝えていくことが多くの競技において重要となるが、それを習得する助けとなるエクササイズの一つが、この「ダンベル・プッシュプレス」である。

■ダンベル・プッシュプレスのやり方

1.軽めの重量でダンベルを握る。
2.軽く膝を曲げ、伸びあがる勢いを利用してダンベルを爆発的に挙げる。これを数回行う。
3.しゃがむときにはなるべく膝を前に出さず、脛を垂直にして腰を後ろに引き、股関節で行うスクワットのような感じでしゃがむ。
4.膝を伸ばしつつも、意識としては大腿部を後ろに追いやるような感じで、ハムストリングスと臀部の力を使って立ち上がり、その爆発力を上半身に連動させる。重心はカカトから足底中央に位置させること。
5.動作中、腹圧と脊柱起立筋群の緊張を維持する。

バーベルを使ってのプッシュプレスに比べ、ダンベルで行うことによってスタビライザーをより多く動員することができる。

意識するのは、上半身の力で挙げるのではなく、ハムと臀部の爆発的な力を上半身に伝えることである。下半身から連動されて伝えられる力によって自然にダンベルが持ち上がってしまうような動きであり、上半身はむしろ動作を安定させるためのスタビライザー的役割に過ぎないと考えよう。

またダンベルを下ろすときは粘らずにストンと落とすが、このときに肩の力で支えるのではなく、下半身の力で受け止めるように心がける。ちょうどジャンプからの着地の際、膝と腰のクッションを上手く使って衝撃を和らげるときの感じである。ハムと臀筋の力で上手くダンベルの重量を受け止め、そこから爆発的に挙げる。ここでの切り返し動作が重要となる。なお腰への負担も大きいため、必要に応じてベルトを着用するのも良いだろう。

■クイックリフトのプログラミング

動作を習得するまでは、軽めの重量でスピーディに行うようにする。しかしそればかりだと、軽い負荷でのパワーばかり高まってしまう。

強い負荷でのパワーを高めるためには、「高重量・低回数」で行う必要がある。また、爆発的に挙げることができなくなってきたら、そこでレップを中止することが大事だ。粘ってゆっくり挙げて数回をプラスアルファしても、目的とする効果は得られない。

またクイックリフトは他のエクササイズに先立って、プログラムの前半で行うようにしたい。他の筋肉が疲労した状態でやってしまうとケガの危険性が高くなり、またフォームも崩れやすくなり、高重量が扱えない。できるだけフレッシュな状態で行うようにすべきである。

では、クイックリフトを導入したプログラムの例を紹介しよう。

■プログラムA

1.ハング・ハイプル 12回→6回→2回→5回→4回→3回
2.スクワット
3.ルーマニアンデッドリフト
4.アブローラー

■プログラムB

1.ダンベル・プッシュプレス 12回→6回→2回→5回→5回→5回
2.ディップス
3.チンニング
4.ウィンドミル

※ハング・ハイプルとダンベル・プッシュプレスの12回→6回→2回まではウォームアップ。そこまでだんだん重量を増やしていく。5回→4回→3回がメインセット。これは全て同じ重量で行う。

クイックリフトをこれまでのトレーニングプログラムに上手く導入し、筋力とパワー、スピードを高めていくようにしよう。

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ある漫画で「筋肉を増やし過ぎてスピードが落ちた」という描写がされていたが、多くの日本人はこれに納得してしまいがちである。スプリンターをはじめとする多くのアスリートの身体を見れば、それが間違いだと言うことはすぐに理解できるだろう。

ただし素人がいきなりF1のマシンを運転しても、良いタイムが出せるとは限らない。ウェイトトレーニングにおける多くのエクササイズは単純な動きであるが、実際の競技では複雑な動きが行われ、多くの筋肉群が同時に力を発揮できるようになる必要がある。

つまりマシンを強化したら、次は運転技術を磨く必要があるわけだ。そのために有効となるのが「クイックリフト」である。クイックリフトにおいては数多くの筋肉群が使用され、また「静から動」への爆発的な筋力発揮が必要とされる。さらに拮抗筋の関与が少なくなり、「力み」を抑制した動きを学習することができる。

■ハング・ハイプル

クイックリフトの代表格はウェイトリフティングで行われるスナッチとジャークだが、どちらもフォームが難しく、マスターするのには時間がかかる。またパワークリーンも行われることが多いが、キャッチの際に手首を傷めてしまうことがあり、これも初心者にはオススメしにくい。

そこで、「ハング・ハイプル」を紹介しよう。反動を使って行うアップライトロウイングのようなエクササイズだが、いくつか違う点がある。

■ハング・ハイプルのやり方

1.グリップは肩幅より広めに。
2.膝上から爆発的に大胸筋上部から鼻のあたりまで引き挙げる。
3.股関節を足首の力も使い、挙げ切ったときにはつま先立ちになるようにする。
4.バーはできるだけ身体の近くを通るようにする。
5.慣れてきたら重量を重くしていく

ポイントとしては腕の力を極力使わないことで、股関節と足首の伸展動作、そしてシュラッグ動作で肩をすくめきってからヒジが自然と曲がっていくような意識で行うようにする。

■ダンベル・プッシュプレス 

下半身の力を上半身に上手く伝えていくことが多くの競技において重要となるが、それを習得する助けとなるエクササイズの一つが、この「ダンベル・プッシュプレス」である。

■ダンベル・プッシュプレスのやり方

1.軽めの重量でダンベルを握る。
2.軽く膝を曲げ、伸びあがる勢いを利用してダンベルを爆発的に挙げる。これを数回行う。
3.しゃがむときにはなるべく膝を前に出さず、脛を垂直にして腰を後ろに引き、股関節で行うスクワットのような感じでしゃがむ。
4.膝を伸ばしつつも、意識としては大腿部を後ろに追いやるような感じで、ハムストリングスと臀部の力を使って立ち上がり、その爆発力を上半身に連動させる。重心はカカトから足底中央に位置させること。
5.動作中、腹圧と脊柱起立筋群の緊張を維持する。

バーベルを使ってのプッシュプレスに比べ、ダンベルで行うことによってスタビライザーをより多く動員することができる。

意識するのは、上半身の力で挙げるのではなく、ハムと臀部の爆発的な力を上半身に伝えることである。下半身から連動されて伝えられる力によって自然にダンベルが持ち上がってしまうような動きであり、上半身はむしろ動作を安定させるためのスタビライザー的役割に過ぎないと考えよう。

またダンベルを下ろすときは粘らずにストンと落とすが、このときに肩の力で支えるのではなく、下半身の力で受け止めるように心がける。ちょうどジャンプからの着地の際、膝と腰のクッションを上手く使って衝撃を和らげるときの感じである。ハムと臀筋の力で上手くダンベルの重量を受け止め、そこから爆発的に挙げる。ここでの切り返し動作が重要となる。なお腰への負担も大きいため、必要に応じてベルトを着用するのも良いだろう。

■クイックリフトのプログラミング

動作を習得するまでは、軽めの重量でスピーディに行うようにする。しかしそればかりだと、軽い負荷でのパワーばかり高まってしまう。

強い負荷でのパワーを高めるためには、「高重量・低回数」で行う必要がある。また、爆発的に挙げることができなくなってきたら、そこでレップを中止することが大事だ。粘ってゆっくり挙げて数回をプラスアルファしても、目的とする効果は得られない。

またクイックリフトは他のエクササイズに先立って、プログラムの前半で行うようにしたい。他の筋肉が疲労した状態でやってしまうとケガの危険性が高くなり、またフォームも崩れやすくなり、高重量が扱えない。できるだけフレッシュな状態で行うようにすべきである。

では、クイックリフトを導入したプログラムの例を紹介しよう。

■プログラムA

1.ハング・ハイプル 12回→6回→2回→5回→4回→3回
2.スクワット
3.ルーマニアンデッドリフト
4.アブローラー

■プログラムB

1.ダンベル・プッシュプレス 12回→6回→2回→5回→5回→5回
2.ディップス
3.チンニング
4.ウィンドミル

※ハング・ハイプルとダンベル・プッシュプレスの12回→6回→2回まではウォームアップ。そこまでだんだん重量を増やしていく。5回→4回→3回がメインセット。これは全て同じ重量で行う。

クイックリフトをこれまでのトレーニングプログラムに上手く導入し、筋力とパワー、スピードを高めていくようにしよう。