体重・筋量UP

Part 118 筋肥大の効果はどっち? 自重VSウェイト

Part 118 筋肥大の効果はどっち? 自重VSウェイト

DESIRE TO EVOLUTION

体重・筋量UP

Part 118 筋肥大の効果はどっち? 自重VSウェイト

Part 118 筋肥大の効果はどっち? 自重VSウェイト

筋肥大をさせたいならウェイトトレーニング。これは誰しも異論のないところだろう。その一方で「ジムに行かなくても家での自重トレーニングだけで十分」という声も聞かれる。

実際、自重トレーニングで十分なのだろうか?今回は、いくつかの研究を参考に自重トレーニングとウエイトトレーニングの違いについて考えてみよう。

 —————————————————————————————————————
【本記事のまとめ】 

1.負荷が同じならベンチプレスもプッシュアップも同等の効果が得られた。
2.チンニングはラットプルよりも多くの補助筋を使うことがメリット。
3.自重で行うブルガリアンスクワットはバカにできない
4.チューブを使用すれば自重でも負荷はいくらも調整できる
—————————————————————————————————————

先に少々細かい話をしておこう。ウェイトトレーニングの「ウェイト」とは一般にバーベルやダンベルのことを指すが、トレーニングマシンもプレートの重量(ウェイト)を扱うことになるため、マシントレーニングもウェイトトレーニングに含まれる。

もちろん自分の体重もそうだ。つまり自重トレーニングも広い意味でのウェイトトレーニングに含まれるのである。

ではブルワーカー🄬(シリンダーやスプリングが内蔵されたアイソメトリック・トレーニング機器)はどうか。これは重量を扱っているとはいえない。チューブはどうか。これもウェイトとは言えないだろう。

ヤヤコシイので、「負荷」をかけるトレーニングはすべて「レジスタンストレーニング」と呼ぶことにしよう、とする動きもある。ただし、あまり広まってはいないが…。

■プッシュアップの効果

 さて自重トレーニングの効果である。日本で行われた面白い研究があるので紹介しよう。

18名の大学生を対象に、腕立て伏せあるいはベンチプレスを3セット、週2回のトレーニングを8週間に渡って行わせた。9名は腕立て伏せ、9名はベンチプレス。ベンチプレスは40%1RM相当で、腕立て伏せも同等の負荷になるように調節した(膝立てなどにして)。

その結果、筋肥大と筋力向上において同等の効果が得られているのだ(※1)。

40%1RMでは軽いのではないか、と思われるが、この負荷でベンチプレスの挙上重量も平均60kgから平均65kgにアップしているのである。

では負荷をもっと増やしたらどうなるのか。

チューブの両端を手で押さえ、背中にチューブを引っかけて行えば、腕立て伏せの負荷を高めることができる。この方法でギリギリ6回できる負荷を使って週2回腕立て伏せを行い、ベンチプレスと比較したスペインでの研究がある(※2)。その結果、筋力の向上において、やはり両者とも同等の効果が出たのだ。筋電図による評価においても、差は認められなかった。

なお腕立て伏せではプランク状態になるため、体幹部の筋肉も刺激することができる。これもメリットの一つとなろう。腕立て伏せができない場合は、膝立てで行うようにすると良い。

 ■懸垂の効果

 では懸垂(チンニング)とラットプルダウンを比較してみよう。

 筋電図による測定では、懸垂のほうが広背筋や上腕二頭筋において強い活動を起こしていることが示されている。なお腹直筋や大胸筋などはラットプルダウンのほうが強く活動しているようだ。これはラットプルダウンが骨盤を固定することによるものだろう(※3)。

 固定される場所の多いラットプルダウンに比べ、懸垂は両手しか固定される場所がない。そのため多くの補助筋を使うことになり、モーターユニット動員数も多くなる。

 ただしデメリットとして、筋力がある程度ないとできないという問題がある。その場合はチューブなどを使ってアシストするといいだろう。

■優秀なブルガリアンスクワット

下半身の種目としてはバーベルを担いで行うスクワットが王道だが、自重で行うブルガリアンスクワットもバカにできない。

スクワットとブルガリアンスクワットを同じ負荷(104セット)で比較したところ、ブルガリアンスクワットのほうが仕事量は少ないにもかかわらず、テストステロン分泌が多かったことが示されている(※4)。

多くの人にとって104セットのブルガリアンスクワットはかなりキツく、自重でも十分なはずだ。ジムに行って重いバーベルを担ぐまでもない、ということである。

また両足で立って行うスクワットに比べ、ブルガリアンスクワットはフォームを安定させるために補助筋、特に大殿筋と中殿筋が使われる。これらを鍛えたい場合にも有効である。

さらに片脚で行うため、脚に強い負荷がかかる一方で、腰への負担が少ない。腰に不安をかかえるウォリアーにもいいだろう。

負荷をかけたい場合はチューブを両手に持ち、真ん中を足で踏んで行えばいい。

自重でできる代表的な種目とジムでできる種目を比較してきたが、決して自重が劣るわけではないことをわかってもらえたと思う。もちろん、「自重+ジム」ならば最強だ。自重トレーニングをマスターすることで、ジムトレの引き出しが増えることもある。

 例えばベンチプレスが混んでいてできない時は、腕立て伏せをすればいい。パワーラックが混んでいたら、ブルガリアンスクワットを行えばいい。そう思うだけでも心の余裕が出て、筋肥大につながるものだ。

【参考文献】

  • ※1:Low-load bench press and push-up induce similar muscle hypertrophy and strength gain J Exerc Sci Fit. 2017 Jun;15(1):37-42.
  • ※2:Bench press and push-up at comparable levels of muscle activity results in similar strength gains J Strength Cond Res. 2015 Jan;29(1):246-53.
  • ※3:Kinematic and electromyographic comparisons between chin-ups and lat-pull down exercises Sports Biomech. 2013 Sep;12(3):302-13.
  • ※4:Effects of unilateral and bilateral lower-body heavy resistance exercise on muscle activity and testosterone responses J Strength Cond Res. 2012 Apr;26(4):1094-100.
Share
twitter
facebook
印刷用ページへ

筋肥大をさせたいならウェイトトレーニング。これは誰しも異論のないところだろう。その一方で「ジムに行かなくても家での自重トレーニングだけで十分」という声も聞かれる。

実際、自重トレーニングで十分なのだろうか?今回は、いくつかの研究を参考に自重トレーニングとウエイトトレーニングの違いについて考えてみよう。

 —————————————————————————————————————
【本記事のまとめ】 

1.負荷が同じならベンチプレスもプッシュアップも同等の効果が得られた。
2.チンニングはラットプルよりも多くの補助筋を使うことがメリット。
3.自重で行うブルガリアンスクワットはバカにできない
4.チューブを使用すれば自重でも負荷はいくらも調整できる
—————————————————————————————————————

先に少々細かい話をしておこう。ウェイトトレーニングの「ウェイト」とは一般にバーベルやダンベルのことを指すが、トレーニングマシンもプレートの重量(ウェイト)を扱うことになるため、マシントレーニングもウェイトトレーニングに含まれる。

もちろん自分の体重もそうだ。つまり自重トレーニングも広い意味でのウェイトトレーニングに含まれるのである。

ではブルワーカー🄬(シリンダーやスプリングが内蔵されたアイソメトリック・トレーニング機器)はどうか。これは重量を扱っているとはいえない。チューブはどうか。これもウェイトとは言えないだろう。

ヤヤコシイので、「負荷」をかけるトレーニングはすべて「レジスタンストレーニング」と呼ぶことにしよう、とする動きもある。ただし、あまり広まってはいないが…。

■プッシュアップの効果

 さて自重トレーニングの効果である。日本で行われた面白い研究があるので紹介しよう。

18名の大学生を対象に、腕立て伏せあるいはベンチプレスを3セット、週2回のトレーニングを8週間に渡って行わせた。9名は腕立て伏せ、9名はベンチプレス。ベンチプレスは40%1RM相当で、腕立て伏せも同等の負荷になるように調節した(膝立てなどにして)。

その結果、筋肥大と筋力向上において同等の効果が得られているのだ(※1)。

40%1RMでは軽いのではないか、と思われるが、この負荷でベンチプレスの挙上重量も平均60kgから平均65kgにアップしているのである。

では負荷をもっと増やしたらどうなるのか。

チューブの両端を手で押さえ、背中にチューブを引っかけて行えば、腕立て伏せの負荷を高めることができる。この方法でギリギリ6回できる負荷を使って週2回腕立て伏せを行い、ベンチプレスと比較したスペインでの研究がある(※2)。その結果、筋力の向上において、やはり両者とも同等の効果が出たのだ。筋電図による評価においても、差は認められなかった。

なお腕立て伏せではプランク状態になるため、体幹部の筋肉も刺激することができる。これもメリットの一つとなろう。腕立て伏せができない場合は、膝立てで行うようにすると良い。

 ■懸垂の効果

 では懸垂(チンニング)とラットプルダウンを比較してみよう。

 筋電図による測定では、懸垂のほうが広背筋や上腕二頭筋において強い活動を起こしていることが示されている。なお腹直筋や大胸筋などはラットプルダウンのほうが強く活動しているようだ。これはラットプルダウンが骨盤を固定することによるものだろう(※3)。

 固定される場所の多いラットプルダウンに比べ、懸垂は両手しか固定される場所がない。そのため多くの補助筋を使うことになり、モーターユニット動員数も多くなる。

 ただしデメリットとして、筋力がある程度ないとできないという問題がある。その場合はチューブなどを使ってアシストするといいだろう。

■優秀なブルガリアンスクワット

下半身の種目としてはバーベルを担いで行うスクワットが王道だが、自重で行うブルガリアンスクワットもバカにできない。

スクワットとブルガリアンスクワットを同じ負荷(104セット)で比較したところ、ブルガリアンスクワットのほうが仕事量は少ないにもかかわらず、テストステロン分泌が多かったことが示されている(※4)。

多くの人にとって104セットのブルガリアンスクワットはかなりキツく、自重でも十分なはずだ。ジムに行って重いバーベルを担ぐまでもない、ということである。

また両足で立って行うスクワットに比べ、ブルガリアンスクワットはフォームを安定させるために補助筋、特に大殿筋と中殿筋が使われる。これらを鍛えたい場合にも有効である。

さらに片脚で行うため、脚に強い負荷がかかる一方で、腰への負担が少ない。腰に不安をかかえるウォリアーにもいいだろう。

負荷をかけたい場合はチューブを両手に持ち、真ん中を足で踏んで行えばいい。

自重でできる代表的な種目とジムでできる種目を比較してきたが、決して自重が劣るわけではないことをわかってもらえたと思う。もちろん、「自重+ジム」ならば最強だ。自重トレーニングをマスターすることで、ジムトレの引き出しが増えることもある。

 例えばベンチプレスが混んでいてできない時は、腕立て伏せをすればいい。パワーラックが混んでいたら、ブルガリアンスクワットを行えばいい。そう思うだけでも心の余裕が出て、筋肥大につながるものだ。

【参考文献】

  • ※1:Low-load bench press and push-up induce similar muscle hypertrophy and strength gain J Exerc Sci Fit. 2017 Jun;15(1):37-42.
  • ※2:Bench press and push-up at comparable levels of muscle activity results in similar strength gains J Strength Cond Res. 2015 Jan;29(1):246-53.
  • ※3:Kinematic and electromyographic comparisons between chin-ups and lat-pull down exercises Sports Biomech. 2013 Sep;12(3):302-13.
  • ※4:Effects of unilateral and bilateral lower-body heavy resistance exercise on muscle activity and testosterone responses J Strength Cond Res. 2012 Apr;26(4):1094-100.
筋量upにオススメの商品はこちら