身体を作り、機能させる栄養・サプリメント情報 より効率的な身体作りのために
ここ数年のアスリートの進化の立役者ともいえるスポーツサプリメントの筆頭、プロテイン。プロテインと言ってもその種類は様々で、それぞれ異なる特徴を持っている。ここでは日本のサプリメント市場でよく見かけるプロテインについて、それぞれの特徴を解説する。
・ホエイプロテイン
ホエイプロテインは乳たんぱく質の一種であり、牛乳に含まれるプロテインのおよそ20%がこのホエイに当たる。ホエイプロテインの特徴として、吸収がはやい事、BCAA(*1)の中でも特に筋タンパク質の合成に最も重要とされるアミノ酸のロイシンが豊富に含まれていること、また生体内での利用効率が高いことなどが挙げられる。日本でプロテインと言えば、大抵はホエイプロテインの事を指すと言っても過言ではない。
このホエイプロテインだが、牛乳から所謂プロテイン(パウダー)にする製造方法の違いにより、大きく2つの種類に分けることが出来る。
WPC(Whey Protein Concentrate)
最も市場に多く出回っているホエイプロテインはWPC(Whey Protein Concentrate)だろう。日本語にすると「濃縮ホエイタンパク」となる。
まず牛乳を「カゼイン」と「カード」に分離させる。詳しくは後述するが、カゼインは牛乳に含まれるタンパク質の一種であり、消化吸収がゆっくりであるという特徴がある。一方カードとは、凝乳すなわちヨーグルトのことを指す。カードを酵素処理して水を抜いていくとチーズができるのだが、その抜かれた水にホエイが含まれている。
ヨーグルトのふたを開けると、ヨーグルトの上に上澄み液を見た人も多いだろう。それこそがホエイである。この上澄み液から水分を抜き、精製したものがWPCとなる。WPCのタンパク含有量は、平均して100gあたり70~80gである。
WPI(Whey Protein Isolate)
WPCには乳糖や乳脂、灰分などが含まれるが、それらを取り除いてタンパク含有量をさらに高めたものがWPI(Whey Protein Isolate)である。日本語にすると「分離ホエイタンパク」。WPIのタンパク含有量は100gあたり90g以上にまで高まる。また精製度が高い分、WPCよりも消化吸収速度は早くなる。
WPC→WPIとする時の処理として、「フィルター膜処理」あるいは「イオン交換樹脂処理」などの方法がある。フィルター膜処理の方はタンパク質を低温で処理できるとメリットがあり、熱による変性の心配が少ない。一方、余計なものを除去して純粋なタンパク質だけを取り出すという点では、イオン交換樹脂処理の方が優れている。その為、タンパク含有率の高さを求める場合には、イオン交換樹脂処理が勝っているといえる。
ホエイプロテインについて更に詳しく知りたい方は、下記リンクを参照して頂きたい。
・カゼイン
カゼインプロテインもまた、乳たんぱく質の一種であり、牛乳に含まれるプロテインのおよそ80%を占める。ホエイプロテインとは反対に吸収が遅く、またBCAAの含有量もホエイと比較すると若干少ないことが知られている。しかし、カゼインの特徴であるこの吸収の遅さはアスリートにとってはある種メリットももたらす。吸収が遅いことでカゼインは長時間にわたりアミノ酸を供給することができるため、長時間観察するとホエイよりも筋タンパク質合成効果が高いことが報告されている1。そのため、就寝前にカゼインプロテインの摂取が推奨されることがある。
・ソイプロテイン
ソイプロテインとはその名の通り大豆たんぱく質の事であり、先に挙げたホエイやカゼインとは異なり植物性のたんぱく質である。ソイプロテインの特徴としては、グルタミンやアルギニンといったアミノ酸が豊富に含まれていること、さらには脂質の含有率が低いことが挙げられる。また、日本人はカゼインやホエイプロテインに含まれる乳糖を上手く消化吸収できない乳糖不耐症が多いが、ソイプロテインは乳糖を含まない為に乳由来のプロテインが苦手な人でも使用できるというメリットがある。
このように、一口にプロテインと言っても種類は様々である。今回紹介したプロテイン以外にも、最近ではピー(エンドウ豆)、卵白もしくは全卵、ビーフ、ライス(発芽玄米)、さらにはコオロギプロテインなども市場に出回り始めている。それぞれの用途に合わせ、自分の身体に合った最適なプロテインを選んでいただきたい。
(*1)BCAA (Branched- chain amino acids:分岐鎖アミノ酸)
バリン、ロイシン、そしてイソロイシンの3 つのアミノ酸の総称であり、哺乳動物の体内では合成されない必須アミノ酸に分類される。体たんぱく質の構成要素として働く一方で、筋タンパク質合成を刺激する因子としての働きも持つ。
【参考文献】
ここ数年のアスリートの進化の立役者ともいえるスポーツサプリメントの筆頭、プロテイン。プロテインと言ってもその種類は様々で、それぞれ異なる特徴を持っている。ここでは日本のサプリメント市場でよく見かけるプロテインについて、それぞれの特徴を解説する。
・ホエイプロテイン
ホエイプロテインは乳たんぱく質の一種であり、牛乳に含まれるプロテインのおよそ20%がこのホエイに当たる。ホエイプロテインの特徴として、吸収がはやい事、BCAA(*1)の中でも特に筋タンパク質の合成に最も重要とされるアミノ酸のロイシンが豊富に含まれていること、また生体内での利用効率が高いことなどが挙げられる。日本でプロテインと言えば、大抵はホエイプロテインの事を指すと言っても過言ではない。
このホエイプロテインだが、牛乳から所謂プロテイン(パウダー)にする製造方法の違いにより、大きく2つの種類に分けることが出来る。
WPC(Whey Protein Concentrate)
最も市場に多く出回っているホエイプロテインはWPC(Whey Protein Concentrate)だろう。日本語にすると「濃縮ホエイタンパク」となる。
まず牛乳を「カゼイン」と「カード」に分離させる。詳しくは後述するが、カゼインは牛乳に含まれるタンパク質の一種であり、消化吸収がゆっくりであるという特徴がある。一方カードとは、凝乳すなわちヨーグルトのことを指す。カードを酵素処理して水を抜いていくとチーズができるのだが、その抜かれた水にホエイが含まれている。
ヨーグルトのふたを開けると、ヨーグルトの上に上澄み液を見た人も多いだろう。それこそがホエイである。この上澄み液から水分を抜き、精製したものがWPCとなる。WPCのタンパク含有量は、平均して100gあたり70~80gである。
WPI(Whey Protein Isolate)
WPCには乳糖や乳脂、灰分などが含まれるが、それらを取り除いてタンパク含有量をさらに高めたものがWPI(Whey Protein Isolate)である。日本語にすると「分離ホエイタンパク」。WPIのタンパク含有量は100gあたり90g以上にまで高まる。また精製度が高い分、WPCよりも消化吸収速度は早くなる。
WPC→WPIとする時の処理として、「フィルター膜処理」あるいは「イオン交換樹脂処理」などの方法がある。フィルター膜処理の方はタンパク質を低温で処理できるとメリットがあり、熱による変性の心配が少ない。一方、余計なものを除去して純粋なタンパク質だけを取り出すという点では、イオン交換樹脂処理の方が優れている。その為、タンパク含有率の高さを求める場合には、イオン交換樹脂処理が勝っているといえる。
ホエイプロテインについて更に詳しく知りたい方は、下記リンクを参照して頂きたい。
・カゼイン
カゼインプロテインもまた、乳たんぱく質の一種であり、牛乳に含まれるプロテインのおよそ80%を占める。ホエイプロテインとは反対に吸収が遅く、またBCAAの含有量もホエイと比較すると若干少ないことが知られている。しかし、カゼインの特徴であるこの吸収の遅さはアスリートにとってはある種メリットももたらす。吸収が遅いことでカゼインは長時間にわたりアミノ酸を供給することができるため、長時間観察するとホエイよりも筋タンパク質合成効果が高いことが報告されている1。そのため、就寝前にカゼインプロテインの摂取が推奨されることがある。
・ソイプロテイン
ソイプロテインとはその名の通り大豆たんぱく質の事であり、先に挙げたホエイやカゼインとは異なり植物性のたんぱく質である。ソイプロテインの特徴としては、グルタミンやアルギニンといったアミノ酸が豊富に含まれていること、さらには脂質の含有率が低いことが挙げられる。また、日本人はカゼインやホエイプロテインに含まれる乳糖を上手く消化吸収できない乳糖不耐症が多いが、ソイプロテインは乳糖を含まない為に乳由来のプロテインが苦手な人でも使用できるというメリットがある。
このように、一口にプロテインと言っても種類は様々である。今回紹介したプロテイン以外にも、最近ではピー(エンドウ豆)、卵白もしくは全卵、ビーフ、ライス(発芽玄米)、さらにはコオロギプロテインなども市場に出回り始めている。それぞれの用途に合わせ、自分の身体に合った最適なプロテインを選んでいただきたい。
(*1)BCAA (Branched- chain amino acids:分岐鎖アミノ酸)
バリン、ロイシン、そしてイソロイシンの3 つのアミノ酸の総称であり、哺乳動物の体内では合成されない必須アミノ酸に分類される。体たんぱく質の構成要素として働く一方で、筋タンパク質合成を刺激する因子としての働きも持つ。
【参考文献】